「博多への移住で人生が変わった」夫の転勤で仕事を辞めた32歳妻の、華麗なる転身とは

「博多への移住で人生が変わった」夫の転勤で仕事を辞めた32歳妻の、華麗なる転身とは

東京は、飽きない街である。

東京都の人口は、約1,400万。47都道府県ある中、1割以上の日本人は東京に住んでいるという計算だ。

その分、人との出会いが多く、刺激的な仕事も多い。だがもしそんなとき、“東京以外に住む”という選択肢を提示されたら…?

これはそうした経験をした(している)人の、リアルな体験談である。

東京以外での生活は、アリだった?ナシだった?

前回は、シンガポールの駐妻ライフを楽しむ茜さんを紹介した。今回は?



<今週の地方在住者>
名前:香澄さん(仮名)
年齢:32歳
住居:博多


「住めば都って言いますけど、すっかり気に入ってしまいました。ここ、博多での生活」

昨年、日系証券会社に勤める夫の転勤で博多にやってきたという香澄さん。

白い歯を見せて笑う笑顔が、太陽のような明るい女性だ。

現在は夫とともに、繁華街・天神からもほど近い、薬院というエリアのマンションで暮らしている。

しかし彼女にとって地方暮らしは初めての経験。実家は吉祥寺にあり、生まれも育ちも東京なのだ。

「転勤が決まったときは、ついにきたか…という気持ちでした」

28歳で、日系証券会社に勤める夫と結婚を決めた時から全国転勤は覚悟していたという香澄さん。ところが意外にも4年間、転勤の辞令が出なかったので油断していた矢先だった。

「友人たちにも大丈夫なの?なんて心配されたりもしましたね。夫とは結婚3年目ですがまだ子どもはおらず、私自身も美容雑誌の編集部で割と忙しく働いていたので、見ず知らずの土地で専業主婦になるのかって考えると確かに不安はありました」

女子大在学中から美容が好きで、学生時代からアシスタントをしていた香澄さんは、編集部での信頼も厚い。

好きで、やりがいを感じている仕事ではあったが、とはいえ夫を単身赴任させて別々に暮らすという選択肢は彼女の中になかったという。

「東京に戻ったらいつでも帰っておいで、と声をかけてもらい、後ろ髪を引かれながら仕事を辞めました」

そうして東京から博多に移り住んだわけだが、香澄さんにとって、この土地での暮らしが自らの生き方を変える大きな転機となったのだ。


博多に移り住んだ彼女が見つけた、新しい楽しみとは

「知ってました?博多から韓国の釜山に、高速船が出てるの」

博多に引っ越したばかりの頃、まだ親しい友人もいなかった香澄さんは、博多港から釜山港を運行する船の存在を知って歓喜した。

学生時代からアシスタントをするほど、香澄さんは美容好き…いや、美容オタクと呼んでもいい。

特に韓国コスメが大好きで、東京に住んでいた頃も、仕事の合間に弾丸韓国に飛び、コスメショップ巡りを楽しんでいたのだ。

「高速船だと、博多から釜山まで片道3.5時間。料金も往復で3万円かかりません。しかも日帰りする場合はもっと安くなるの。これはもう、行くしかない。そんなわけで、一人で気軽に釜山に出かけるようになったんです」

ひとり釜山に出かけては、毎回新しい韓国コスメを見つけて購入する。

香澄さんは自身のインスタグラムアカウントで、釜山のグルメ情報や、購入した韓国コスメの使用感や効果などを投稿するようになった。

すると…。



「韓国コスメ情報を頻繁に発信するようになったら、とたんにフォロワーが増え始めたんです。東京で会社員をしていた時には1,000人もいなかったフォロワーが、気づいたら2万人近くなっていました」

さらには、東京の友人たちからも「同じの買ってきて欲しい」とか「買わせて欲しい」というコメントやDMが殺到した。

「それで、ふと思ったんです。釜山で仕入れてきた韓国コスメ、自分で売ればいいんじゃない!?って」

博多に来てからというもの、彼女は専業主婦だ。時間ならたっぷりある。

さっそくオンラインショップの準備をして釜山に出かけ、目星をつけておいた売れ筋コスメを仕入れてみることにした。

その仕入れの様子も、インスタライブ機能を使ってリアルタイムに配信。そうすることで、皆がどういうものに興味を示すか反応を見ることができるからだ。

仕入れた商品の宣伝も、もちろんインスタグラムで。

美容雑誌の編集部で働いていた時は考えもしなかったが、もともと情報を整理してまとめることは得意、化粧品に対する知識も興味も人一倍ある。香澄さんにとって韓国コスメのオンラインショップ経営は天職と言えるほどに向いていた。

「30代を超えると、女性って何に一番お金を使うかって、美容なんです。韓国は美容先進国。韓国コスメは、日本の化粧品よりパッケージも可愛かったり、コンセプトやキャッチコピーが斬新だったりしてつい欲しくなる要素がある。なかなか自由に旅行に行けない主婦層を中心に、どんどんリピーターを獲得することができました」

こうして香澄さんは、博多に移り住んで1年も経たぬうちに、専業主婦からネットショップを経営する女社長に、華麗なる転身を遂げたのだ。


すっかり博多ライフを満喫していたが、同じ場所に留まれないのが転勤族の宿命…


「ネットショップやインスタグラムをきっかけにして、今では博多にもたくさんの友人がいます。最初はどうなることかと思いましたが、今ではすっかり満喫しちゃってますね」

そう言って笑う香澄さんはエネルギーに満ち、心から楽しそうな表情をしている。

しかし水を差すようだが、香澄さんの夫は転勤族。そのうちにまた、博多を離れる日がやってくるのだ。

そうすれば、高速船でちょくちょく釜山に行くこともできなくなるし、彼女がせっかく立ち上げたオンラインショップも継続が難しくなるのでは…?

「そうですね。夫がまた転勤になったら、韓国コスメの仕入れ販売はいったん休止するしかないかな。でももう、心配はしていません。だって私には、フォロワー2万人以上のインスタグラムと、リピート顧客のついたオンラインショップがある。この2つを使えば、どこの土地に行っても何かしら仕事に繋げることはできると思うから」

香澄さんはそう言うと、自信たっぷりに頷いてみせた。

「今では夫に転勤辞令が出たこと、そして最初の転勤が運良く博多であったことに感謝しています。転勤でもなければ、私は会社員を辞めたりしなかったと思う。仕方のない事情があったから辞めたわけですが、そのおかげで新しいチャレンジをする楽しみを知ったし、人生を切り開くことができました」

私は幸運だった、と語る香澄さん。

しかし彼女が今、ここ博多で充実した毎日を送っているのは、やはり彼女自身の柔軟なアイデアとしなやかな逞しさがあったからに他ならない。

「もう、夫がどこに転勤になろうがまったく怖くありません」

弾けるような笑顔を見せる香澄さんは、どこまでも前向きでポジティブだ。

おそらく彼女の夫も、妻のこの底抜けに明るい性格、そしてどんな状況にも活路を見出す生命力に助けられているに違いない。


▶NEXT:11月24日 日曜更新予定
京都に嫁いだ女を悩ませる、独特の文化とは



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