朝6時、ママ友から恐ろしいLINEが…!美人妻が“卑怯者”呼ばわりされた理由

朝6時、ママ友から恐ろしいLINEが…!美人妻が“卑怯者”呼ばわりされた理由

御三家。それは、首都圏中学受験界に燦然と輝く、究極の伝統エリート校を指す。

男子は開成・麻布・武蔵。女子は桜蔭・女子学院・雙葉。

挑戦者を待ち受けるのは「親の力が9割」とも言われるデス・ゲーム。

運命の2月1日、「真の勝者」は誰だー。

◆これまでのあらすじ

深田 彩は、夫の真一と息子の翔と3人、南麻布で暮らしている。

ある日、翔が、男子御三家の一角・麻布中学校に入りたいと言いだした。

叔母の祐希からは中学御三家受験は彩には無理だと言われてしまうが、彩は覚悟を決める。

自分も一から翔とともに勉強すると誓い、並走すること1年弱。薫子から「麻布に合格する可能性はある」と言われたことで、友人だった瑠奈の態度が一変して―。



その通知を見たとき、彩はたっぷり3秒、PC画面を凝視した。

「選抜クラス、基準は…218点以上…」

翔の7月クラス分けテストは、220点。

「せ、選抜だーーーーーーーーー!!!」

彩は、ソファの上に飛び乗って叫んだ。

麻布受験を決めてからちょうど1年。来る日も来る日も、翔と二人で勉強をしてきた。

しかし覚悟していたとはいえ、その道のりは険しかった。どんなに勉強しても、4科目偏差値が54を超えることはなく、62の麻布には程遠かった。

しかし、ついに。

画面に表れた数字は58.1。

3つある選抜クラスの3番目に、食い込んだのだ。

「翔!翔!早く帰っておいで!選抜だよ、ついに麻布への扉が開いたかも!」

彩は、誰もいないリビングを無駄にダッシュで往復する。

はやく、翔に見せてやりたい。この数か月の地を這うような努力は、無駄ではなかったのだ。

…それが「地獄の1丁目」だとはまだ知らずに、彩は翔の帰りを待ちわびるのだった。


御三家登竜門・選抜クラス入りを果たした翔と彩。しかし、異変が起こる…!

「無謀な挑戦は、親が止めてあげないと」


翔が選抜入りした新クラス体制が始まって、1週間後。

「深田さん!翔くん最近すごいらしいじゃない!息子に聞いたわ〜」

小学校の保護者会で、馴染みの薄い母親に話しかけられ、彩は少し面食らう。

―えーと、どなたのお母さんだっけな…?

日頃、翔が親しくしている友人の母親でないことは確かだ。

とっさに、胸にかけている入校証を見たが、名前に覚えもなかった。

「え、すごいって…?何のお話でしたっけ?」

戸惑いながら聞き返すと、待ち構えていたかのように、周囲にいた母親数人が彩を囲んだ。

「そうそう!5年の夏から入塾したのに、皆が必死のこの時期に、ほぼメンバー固定の選抜に入ったんですって?!天才君だわ、地頭が違うってかんじ!それとも何か秘訣があるのかしら?」

「ねえ、おうちではどのくらい勉強してるの?平日は何時まで?ほかの塾はどこに通ってる?家庭教師もつけてるよね?」

―あ、同じ塾のお友達か…。

彩はみんなの勢いに圧されながら、どうにか笑顔を作る。

塾に通って1年が経つが、成績が振るわなかった間、ただの一度もこんなふうに話しかけてくる人はいなかった。

最近知ったが、この小学校は、場所柄か7割以上が中学受験をするらしい。当然、翔と同じ塾に通う生徒も大勢いるはずだ。

皆必死で、一番下のクラスに遅れて入ってきた翔など、視界にも入っていなかったのだろう。

この状況は、ようやく「受験仲間」として認められたということか。

「いえ、翔は塾だけです。家では私も一緒にやるようにしてるんですが、選抜に入ったのも初めてだし、たまたまかも…」

するとどうだろう、友好的に見えた3人の表情が一変した。

「え?塾だけ?それでこのタイミングで選抜入りしたってこと?たまたまなんて言われたら、2年生から一度も上のクラスに行ったことない息子の立つ瀬がないわ」

「じゃあどうやってあんなに成績上げたの?うちなんて、クラス替えテストのために学校休んで勉強したのに、下がっちゃったのよ」

納得のいく答えが得られず、母親たちにかすかな苛立ちが見える。

ここでようやく、彩は気が付いた。

後から入ってきた翔が、御三家登竜門である選抜クラス入りを果たしたことを、皆は決して心よく思っていないのだ。その上で、子供のために必死で情報をとりにきている。

「…翔は、遅れを取り戻すために、とても努力しています。その結果が少しずつ出ているのかもしれません。でも、まだまだ志望校には届かないので」

彩が毅然と、できるだけ正直にそういうと、3人の顔に意地悪なトーンが浮かんだ。

「翔君、麻布志望なんですってね?勇気があるわあ。うちも偏差値的には挑戦したらどうかって先生に言われるんだけど、子供のショックを考えるとねえ?無謀な挑戦は、母親がうまくコントロールしてあげなきゃ。塾は実績が欲しいから、多少無茶でも挑戦をけしかけてくるものよ」

「まだ12歳なんだもの、見栄で第一志望を設定して、玉砕させたら可哀想。不合格はトラウマになりかねないし。はっきり言って、無謀な挑戦を止めない母親の責任よね。翔君、4年生分がまるっと抜けてるんでしょ?気が付かない穴があるかも」

心配や親切を装った、絶妙に意地悪なアドバイス。

―いかん、学校での翔の立場がある。大人になってスルーしなきゃ。

そう自分に言い聞かせたものの、顔を上げた彩の口から出たのは、反対の言葉だった。


翔の成績上昇がきっかけで、恐ろしい罠が二人に忍び寄る…?

暴走


彩は、普段は引け目に感じて大っぴらに出さない低めの地声で言った。

「…無謀っていうのは、努力をせずに挑戦することなんじゃないでしょうか。翔は必死です。彼は、高望みは百も承知してますから、私はサポートするだけです」



―しまった、つい本音が出たーっ!

彩の強い口調に固まった3人の母の様子に、我に返った。

翔の挑戦をバカにされたような気がして、つい熱くなってしまった。でもクラスメートの母親と、こんなことで険悪になるわけにはいかない。

「…なーんて、麻布は普通、無理だと思いますよね…でも受けるのは自由かなってことで…。では、失礼しますね」

3人を煙に巻いて、早々にその場を脱出する。

―みんな必死なんだな…。私の言い方が良くなかったのかも。とにかく翔が影響を受けないように、気を付けて見てなくちゃ。

彩はぶるぶると頭を振ると、急いで帰宅した。



「翔、今日は歴史の資料集を読み込んでみたんだ。過去問に出たことがある資料にマーキングしたから、傾向考えながら翔もやってみて」

「わかった。問題解きながらのほうが頭に入るから、こっちからやってみる」

朝の6時。学校に行くまでの2時間の勉強は、寝食と同じ生活の一部になっていた。

「彩〜、翔〜、今日も早いなあ、おはよう」

普段はもっと遅い夫の真一が、珍しくのっそりとリビングに入ってきた。体が大きいので、もはや冬眠明けの熊そのものだ。

「えー、パパどうしたの、出張かなんか?」

翔がちょっと嬉しそうに、隣に来た真一に自分が飲んでいたココアを差し出す。

「うん、そうなんだ、今回はアメリカだからちょっと遠くてなあ〜。翔の顔、見てから行こうと思って。選抜クラス、どうだ?ガリ勉君ばっかだろ?」

わしわしと頭を撫でられ、翔はくすぐったそうに首をすくめた。

「そうだねえ、やっぱりみんな問題処理のスピードが全然違うよ。同じ時間勉強してもあれじゃ追いつけない。だから僕はママと早起きするしかないね」

「そうだな、人間、大なり小なり能力に差があるもんだ。嘆いても始まらんから、努力あるのみだな」

彩は、真一のコーヒーを沸かしながら、二人の会話を聞いていた。

「僕はラッキーだよ。あとから来た挑戦者だもん、頑張るだけ。遅く入ったからって言えるほうはある意味言い訳がある。本当にしんどいのは、ずっと頑張ってきた子だよ。春馬君なんて、1年生から通ってて、このタイミングで選抜落ちちゃったんだ」

「う、ウソでしょ?春馬君て、瑠奈の息子の春馬君?」

彩は驚いてコーヒーを注ぐ手を止め、翔のそばに駆け寄った。

「そうだよ。僕と入れ替わりみたいな感じで、選抜クラスから落ちちゃったんだ。しかも昨日は塾休んでた。そんなこと初めてだからさ」

その時、早朝には珍しくLINEが入り、彩はダイニングの上のスマホに目をやる。

するとそこには、瑠奈からのメッセージが表示されていた。

―卑怯者。カンニングで選抜入りなんてありえない。あなたの息子のこと、塾に通告した。

「か、カンニング?!塾に通告?」

思いもよらない展開に、へなへなとダイングに座りこんだ。


▶NEXT:11月30日 土曜更新予定
少しずつ狂っていく彩と翔のペース。一方、薫子にも異変が?



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