私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、やっとの思いでLINEやデートに漕ぎ着けても、失敗の可能性は常につきまとうのだ。

あんなに盛り上がったはずなのに、突然の既読スルーに予期せぬ別れ。 恋人同士になれたかと思ったのに、いつまでたっても一進一退を繰り返す関係性。そんな経験、無いだろうか?

男女の関係を次に繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?



「日菜子ちゃんといると、本当に楽しいよね」

満面の笑顔で、そう言ってくれた雅紀。彼と二人きりでデートをするのは、今夜が3度目だった。

深夜1時を過ぎた青山通りは、金曜なのにここだけ皆から忘れ去られたように静かで、私たち二人は寒空の下、手を繋ぎながら歩く。

お酒に酔いながらも感じる冬の匂いや、刺すように冷たい空気。

でも今の火照った体には、そのひんやりとした風が心地よくて、私はもう一度雅紀の腕に強く絡みついてみる。

「私も。雅紀といると楽しくて、時間があっという間に過ぎていくよ」

もう一度、二人で顔を見合わせて笑いあう。

何か特別なことがある訳ではないけれど、気づけば笑顔になっている。一緒にいてここまで心地よく、そして楽しいと思える人に出会えたのは、ある意味奇跡なんじゃないかと思う。

「あ、着いちゃった」

二人でフラフラと歩いていると、あっという間に雅紀のマンションの下に着いた、

—今夜は、ここに泊まるんだろうなぁ。

そう思って一緒に入ろうとした瞬間、雅紀は突然真顔になって、こんなことを言い始めた。

「ごめんね、ここまで一緒に歩かせちゃって。日菜子ちゃん、家は中目黒だったよね?タクシー代、これで足りるかな」

「え・・・?」

タクシー代を求めてここまで一緒に来た訳ではない。

私はこのまま付き合えると思って来たのだ。それなのに、どうして彼は突然ここで私を帰そうとしているのだろうか…?


夢のようなひとときから、突然現実に引き戻された女。その敗因とは?

宿題1:初デートで、日菜子が意識すべきだったこととは?


雅紀と出会ったのは、職場だった。職場と言っても私の会社は規模が大きく、部署によって建物さえ違う。担当も年次も違う雅紀とは、それまで顔を合わせる機会がなかった。

しかし先月、同期の男友達に呼ばれた会に顔を出すと、そこにいたのが雅紀だったのだ。

—優しそうだし、素敵な人だなぁ。

そう思っていたら、雅紀も私のことをなぜか気に入ってくれたらしく、その日は一次会からずっと隣に座っていた。

そして連絡先を交換し、彼の方から誘われ、今月に入ってすぐに食事へ行ったのだ。

「実は、可愛い子がいるって噂には聞いていたんだよね。だからこの前の飲み会に日菜子ちゃんがいて、正直テンション上がってさ」

初デートの日。『ラ ブリアンツァ』でそんな風に言ってくれた雅紀に対し、私の胸は“キュン”と本当に音が鳴った気がする。



「そうなんですか?嬉しい」
「でも可愛いだけじゃなくて、こうして話してみると楽しいし、本当に日菜子ちゃんっていいよね」

べた褒めしてくれる雅紀。私は嬉しくて、とびっきりの笑顔を向ける。

自分で言うのもなんだが、男性からはモテる方だ。こうやってデートの時は一生懸命話を聞くし、ニコニコと微笑んでいるだけで相手は喜ぶ。

「それに日菜子ちゃんって、そんな細いのによく食べるしよく飲むし。最高だよね」

日頃から、スタイルをキープする努力はかなりしている。だけど誰かと食事の時は、我慢せずに美味しくご飯をいただくし、お酒も飲む。

せっかく食事へ連れて行ってもらっているのに、“ダイエット中なので・・・”なんて野暮なことは絶対に言わないようにしていた。

「一緒にいる人が楽しいと、ついついお酒も進むんですよね♡」

「そう言ってもらえると嬉しいなぁ。たまにさ、せっかく良い店に連れて行っても全然食べない子とかいるじゃん?あれダメなんだよなぁ。“美味しい!!”って言ってたくさん食べてくれる子って、一緒にいて気持ち良いよね!」

この初デート、かなり好感触だ。

「まだ時間平気?よければもう一杯どう?」

時計を見ると、まだ23時だ。ここで“行かない”という選択肢はない。

雅紀からの誘いに、私は笑顔で応じた。

「もちろん!行きましょう」

結局この日は近くのバーへ移動し、深夜2時まで飲んでいた。楽しくて、とにかく幸せな時間だった。


順調に進んでいたはずの二人。なのに雅紀が本気になれなかった理由とは

宿題2:全3回のデートを終えた、男の正直な感想とは?


初デートから1週間後。

私たちは次のデートを決行した。初デートからそんなにも時間が空かずに次のデートに続くのは、プラスに捉えていいはずだ。

すぐに会いたいと思ってもらえた証拠だし、私自身も早く雅紀に会いたかった。

「何飲む?シャンパンでいいかな?」
「はい♡」
「日菜子ちゃんってお酒強い?この前大丈夫だった?僕は翌日、二日酔いで大変だったよ(笑)」
「あら、本当ですか?」

たしかに、前回二人でワインをトータル3本くらい空けた気がする。翌日、私も二日酔いでしんどかったことを思い出した。

「結構飲みましたからね・・・今日はほどほどにしておきましょう」

しかし時は12月。忘年会シーズン真っ只中であり、年末ムードが高まっている事も相まって、この日も私たちはよく飲んだ。

「もう1軒行きましょうよ♡」
「もちろん。どこ行こうか。日菜子ちゃん、この界隈でどこか飲めるお店知ってる?」

近くに、よく行くバーがある。

「ありますよ!そこでも大丈夫ですか?」
「うん、じゃあそこで飲み直そう」

こうして、この日も私たちは深夜までお酒を酌み交わし、酔いが回るにつれて、距離はどんどん近くなっていく。

そして深夜2時。二人で一緒に、一台のタクシーに乗り込んだ。

「今日、家行ってもいい?」



雅紀の誘いに、酔った頭で一生懸命考える。一瞬いいかなとも思ったが、まだ二回目だし、この勢いで家へ来るのはちょっと違う。

「今日はお互い酔っているので、また今度にしません?」
「そっか、そうだよね。ごめん」

すると彼は爽やかに私を家の前まで送ってくれ、そのままタクシーで去っていった。

—次くらいには、いいかな。

そう思いながら、私たちは3度目のデートをしたのだ。



しかし心を許そうとした3度目のデートで、今度は私が帰されている。

深夜2時過ぎの青山通りに放置され、私は呆然と、時間を確認するために取り出したスマホを握りしめる。

さっきまで私の脳内には冬の恋愛ソングが流れているくらい幸せだったのに、突然現実に引き戻され、酔いも冷めていく。

—この前断った仕返し?なんでなんで??

楽しかった3回のデート。楽しすぎたと言っても過言ではないし、彼もずっと笑顔でテンションが高かった。

それなのに、どうして突然彼の態度は変わったのだろうか。

そしてこの日以来、私は雅紀と二人で飲みに行くことは無くなってしまったのだ。


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