芸能人の恋人や妻になる「一般女性」って、一体どんな人?

週刊誌やワイドショーすら多くは語らない、ヴェールに包まれた“芸能人の彼女“たち。

世間に名をとどろかせる男とどこで出会い、どうやって恋愛に発展させるのか…。

それは、1%の奇跡と、99%の必然。

彼女たちには、芸能人から愛される”理由“があるのだ。

そんな謎めいた女たちの、知られざる素顔に迫る!

▶前回:年下イケメンをペットのように見せびらかして喜ぶ女。しかし、まさかの結末が…。



2018年10月。

「咲良、お誕生日おめでとう!」

学生時代からの友人2人が、表参道のフレンチで私の誕生日をお祝いしてくれた。最高に可愛いバースデープレートに、美味しい料理、久々に飲むシャンパン。気の合う友人達と過ごす、本当に楽しい時間。

でも…。

「私ももう28歳かぁ…」

27歳までは、まだ20代半ばだと思い込むようにしていたが、彼氏もできないまま、いよいよ立派な「アラサー」に突入した。

「咲良、最近いい感じの人とかいないの?咲良が勤めてる外資系証券会社って、職場に有能なイケメンがいっぱいいるイメージ」

「咲良は昔から人形みたいに可愛いんだから、かなりモテそう!」

「う〜ん……」

仕事関係や、食事会で男性と知り合ったり、たまにマッチングアプリなんかもやってはみるけれど、「この人だ」と思える相手にはまだ出会えていない。

「咲良さ、まだ引きずってるの?5年前の彼のこと」

友人の鋭い言葉に、私はギクッとする。明らかに動揺する私を見て、友人達は皆、「やれやれ」といった表情を見せた。

―そっか、あれからもう、5年も経つのか…。

23歳の頃。私はクラブで知り合った人気バンドのボーカリストと付き合っており、最高に幸せな日々を過ごしていた。

と思っていたのに。

結局、二股をかけられていた上に、最後はあっさりとフラれたのだ。その後だって、いろんな人と付き合ったし、結婚まで考えてくれた彼氏もいた。

でも、本気の恋をしたのは、あの時が最初で最後だったかもしれない…。


人気バンドのボーカリストと付き合っていたという、この女性は一体…?

この歳になって、ふと思う。

ここ最近、誰と付き合っても満足できないのは、彼らが私の承認欲求を満たしてくれないからなのではないかと。ボーカリストの彼と付き合っていた頃は、“自分は芸能人の恋人”という優越感に浸っていた。それが、何よりもの快感だった。

自分1人で生きていけるくらいのお金は自分で稼ぐことはできるから、相手の収入がいくら高くても満足できない。

「…私、やっぱり恋人にするなら芸能人がいい」

私はお酒の勢いも相まってか、以前からずっと思っていたことをつい口にした。

「そして、芸能人と結婚して、ニュースサイトのトップとかに“お相手の一般女性”って書かれたい!」

そんな私の突拍子もない発言に、声を上げて笑う友人達。口では「応援するよ」と言っているが、どうせ冗談だと思っているのだろう。

―でも、私は、本気だ…。芸能人と付き合って結婚する。

28歳の誕生日、私は密かに決意した。





その日から私は、芸能人に近づくための戦略を立て始めた。

5年前、ボーカリストと付き合ったときは、そもそも出会い方が悪かった。クラブや飲み会で知り合ったら、結局は遊び相手としか見られない。

あと、芸能人でも“バンドマン”はダメだ。いわゆる“付き合ってはいけない3B男”というやつで、クズ男率が高い気がする。

―狙うなら…やっぱり俳優?

そう思ったとき、私の脳裏にふと一人の男性が浮かんだ。最近観た、単館系の映画に主演していた俳優・坂田修嗣。

知名度はまだ低いが、映画情報を扱うサイトで「今年来る俳優」として紹介されていた。何よりも、色白で整った塩顔が私好みだったのと、芝居が上手だったので、一瞬で彼のファンになった。

―でも、どうすればクラブとか飲み会以外で芸能人と知り合えるんだろう…。

情報収集のために彼のInstagramを眺めていると、ペットのチワワをドッグランへ連れて行っている様子が定期的にアップされていた。

―うちもトイプー飼ってるし、ドッグランで出会えたら理想的…!それにしても、ここはどこのドッグランなんだろう。

さらにInstagramを見ていると、見覚えのある風景での自撮りが。ここは恐らく、以前少し遊んでいた男性が住んでいた、港区のタワーマンションのドッグランだ。

「…これだ」

そのタワーマンションを検索すると、ドッグランが併設されていることが分かった。HP上の写真が、坂田の挙げていた写真の背景と一致する。そして、自分のコネクションを利用して調べ上げ、彼がこのマンションに住んでいるという証拠を掴んだ。私は、勢いに任せてタワーマンションへの引っ越しを決めた。

ちょうど自分の住むマンションも更新の時期だったし、貯金も結構貯まっていた。タワーマンション暮らしに憧れは持っていたので、いいタイミングではあったと思う。

万が一彼に会えなくても、タワーマンションには他にも芸能人が住んでいるかもしれないし、いい部屋に住むことで出会う人間の幅も広がるはず…そう自分に言い聞かせ、高額な初期費用を支払った。


好きな俳優と健全な出会い方をしたいという一心で、突如タワマンへの引っ越しを決めた咲良だったが…

そして、2018年12月から私のタワーマンション生活がスタートした。

低層階だったので眺望こそあまりよくなかったが、広いエントランス、居住者専用のレストラン、高いセキュリティシステム、パーティールーム、…何もかもが完璧で、とにかく最高の設備が揃っていた。

もともと、土日も家で仕事をすることが多かったから住環境を変えたことにより仕事はかなり捗った。友達を招待して、羨ましがられるのも悪い気はしなかった。

しかし、私はただ優雅にタワマン暮らしを楽しみたいわけではない。私はここで、何としてでも坂田と繋がらなくてはならないのだ。

―だって、相当散財しちゃったし…。

真の目的を果たすため、私はひたすらマンション内のドッグランに通い続けた。フレックス勤務を利用して、毎日少しずつ時間をずらし、坂田の姿を探した。

そして、ドッグランに通い始めてから約4ヵ月後。

いよいよ心が折れそうになっていた頃…ついに、坂田らしき人物と、1匹のチワワがドッグランに来ているのを見かけた。

人気の少ない、平日の早朝のことだった。



―大丈夫。何度もイメージトレーニングしたんだから、いける…!

突然の遭遇にかなり緊張しつつも、私はあくまで“犬目的”を装い彼に近づいていった。

「わぁ、可愛いチワワちゃんですね」

彼とは一切目を合わせず、足元のチワワをじっと見つめる。顔を見て近づいてきたと思われたら、警戒されてしまうから。

「ありがとうございます。友達から子犬時代に引き取って。その子はトイプードルですか?薄茶色で可愛いですね」

キャップを目深に被った彼が、顔を上げる。キラキラした笑顔が朝陽に照らされ、より一層輝いて見えた。

―うわ、本物の坂田修嗣だ…!顔小さい!眩しい!

「そ、そうです。トイプードルです。モモっていうんですけど…」

私は彼のオーラに若干たじろぎながらも、イメージトレーニング通りに会話を進めていく。

芸能人なので警戒されるのではないかと思っていだが、全くそんなことはなく、とてもフレンドリーな人だった。

愛犬家だからか、自分のペットを褒められるのが嬉しくて仕方がないという様子だ。

「モモちゃん、とっても人懐っこいですね。うちのハナとも仲良しになってくれて…」

坂田が、モモの頭を撫でる。その光景をうっとり見つめながらも、私はアピールの手を緩めない。

「普段はそんなことないんですよ、人見知りだし、他のわんちゃんともあまり仲良くできないのに…すごく珍しいです。ハナちゃんと相性がいいのかな?」

これは、少しウソだ。うちのモモは元々誰に対しても人懐っこく、どんな犬にも尻尾を振ってついていく。

「うちのモモがこんなに嬉しそうなの初めて…。また、ハナちゃんと一緒に遊んでもらってもいいですか?」

一方で、“モモが喜んでいる”は決してウソではない。モモのおかげで、私は堂々と“また会いたい”という気持ちを彼に伝えることができた。

「もちろんです。うちのハナも嬉しそうですし。僕、仕事で結構来る時間帯まちまちなんですけど、わりと平日のこの時間帯が多いかもしれないです」

さりげなく彼が来る時間も聞き出すことができ、私は心の中で飛び上がるほど喜んだ。まさか、本当に坂田修嗣と知り合いになれるなんて…。

―思い切って引っ越しまでして、本当に良かった…。

今回キューピッドになってくれたモモを抱きしめながら、私は夢見心地だった。


ドッグランで、ようやく坂田と出会えた咲良。ここから猛攻が始まる…

それから、私は平日の早朝を狙ってドッグランに行くようになった。

彼と会える確率は5回に1回程度だったが、ドッグランに行く際は毎回必ず髪を巻いて、ばっちりメイクして、ラフかつスポーティーでスタイルの良さが際立つような服装を心がけた。

そして、4回目に顔を合わせた際、ハナちゃんに似合いそうな首輪をプレゼントし「着けた写真を送ってほしい」という理由でLINEを交換することにも成功する。

お互いのペットの可愛い写真を毎日のように送り合って、LINE上でドッグランに行く日を合わせることもできるようになった。ついには彼のほうから、「首輪のお礼」ということで、居住者専用レストランでのランチに誘ってもらえた。

ドッグランへ行くときの服装とは全く違う、上品なAラインワンピースを身にまとい、“2人きり”でのデートに胸を高鳴らせる。



普段はペットの話ばかりだったけれど、ここぞとばかりに少し踏み込んだプライベートについて語り合った。

そこで彼はようやく、自分が俳優をしていると打ち明けてくれた。

「ごめんなさい…私、坂田さんのこと存じ上げなくて」

「いえ、僕なんてまだまだ駆け出しみたいなもんですから」

「でも、坂田さんは凄く素敵な声をされているなとずっと思ってました。セクシーだなって」

男性的な魅力を褒めると、彼は照れたように笑った。まんざらでもないというような表情を見せる彼。

「いけそう」と感じた私は、ここで一気に勝負をかけた。

「坂田さん、ワインとかお好きですか?友人がプレゼントしてくれた結構良い赤ワインがあるんですけど、私ひとりで開けるのもなんだかなぁと…。良かったら今度、うちで一緒に飲んでいただけませんか?」

彼が無類の酒好きなのはリサーチ済み。また、同じマンション内なので、部屋に誘うのはそこまで不自然ではないはず。

そして狙い通り、彼は二つ返事でOKしてくれた。



約束通り彼を部屋に招き入れてからは、お互いの部屋を行き来するような関係にまで発展した。

しかし、遊び相手になるわけにはいかないので「付き合ってない人とはそういうことをしない」という姿勢を断固として崩さず、それでも彼とはソファで少しイチャイチャするくらいのギリギリのラインを攻めた。

結果、彼のほうが痺れを切らし、2019年11月頃に「そろそろちゃんと付き合いたい」という言葉を引き出すことができた。

その後、同じマンション内ということもあり、あっという間に同棲を開始。自分の部屋も一応残したままで、モモと共に彼の部屋で暮らすことになった。

そして2020年の外出自粛を境に、私たちの中で“結婚”についての話も持ち上がるようになった。

3匹のペットを一緒に育てることで、既に“家族感”が形成されている私たち。お互いに、結婚の話は前向きに考えている。

―早く、“一般女性”の仲間入りがしたいなぁ…。

大きな窓から高層ビル群を眼下に眺めつつ、私は自分が“一般女性”としてニュースになる日を今か今かと待ちわびているのであった。


▶前回:年下イケメンをペットのように見せびらかして喜ぶ女。しかし、まさかの結末が…。

▶Next:12月9日 水曜更新予定
番外編:有名女優と付き合う一般男性の告白!