中国・上海地方の秋から冬を代表する味覚であり、今や日本でもおなじみになった上海ガニ。

この時期にしか食べられないというプレミアム感、そして日本のカニにはない濃密な味わいは女性ウケも抜群で、冬の誘い文句としてもぴったりな大人のご馳走だ。

今回はデートで行くなら押さえておきたい、上海ガニが自慢の5軒をピックアップ。定番料理の「姿蒸し」「紹興酒漬け」に加え、オリジナル料理を紹介する。

シェフそれぞれの思い入れが光る、スペシャルな上海ガニ料理をお洒落で落ち着いた空間でぜひ堪能してほしい。


試行錯誤を重ねて生まれた唯一無二のコースには、和魂漢才な精神が宿る

茶禅華@南麻布

東京屈指の予約困難な中華として知られる『茶禅華』。和の技術や美意識を取り入れた和魂漢才をテーマに、中華の概念を覆し続けている。

それは冬の名物、上海ガニもまた然り。その濃厚さゆえにコースでは2〜3品までとされることが多いが、『茶禅華』のコースには5〜6品、オス・メス合わせて4杯分の上海ガニが使用される。

まさに上海ガニ尽くしなコースを実現できるのは、川田智也シェフが和食で培った引き算の美学と、食材への鋭い洞察力があるからだ。


例えば鮮度やサイズへの留意はもちろん、「姿蒸し」の“蒸す”という行為ひとつにも深慮。

蒸す際に、卵と足の身の部分に火が均一に入るよう蟹の足に蓮の葉を巻く。そうすることでパサパサになりがちな身の味までをも最大限に引き出す。

ひとつの甲羅に、オス・メス双方の身と味噌、そして卵や白子を詰めて提供する際も、ベストなバランスで味わえるように日々配合を微調整するきめ細やかさ。


「紹興酒漬け」には、卵を持ったメスを使用するのが基本だが、『茶禅華』ではオスの大ぶりな味噌にも着目だ。

漬け置く期間は、カニの旨みと紹興酒のバランスを愚直に食べ比べて突き詰め、5日目が最良と判断。

タレの味一辺倒ではない軽やかな仕上がりで、身の風味も楽しめるようにしている。


「上海ガニの春巻き」は、上海ガニの身と味噌に毛ガニを加えて旨みを底上げ。

食感を与えるためにフカヒレも加えられ、わずかに空気を含ませた巻き加減も絶妙だ。

間違いなくここでしか食べられない魅惑のコース¥35,000は1月の中旬まで。年内はすでに予約でいっぱいだが、年を跨いででもぜひ体験してほしい。


恵比寿で愛される、カウンター中華の名店が登場!

モダンチャイニーズの先駆け店でオス・メスの食べ比べを

マサズキッチン@恵比寿

中華の枠を飛び越えた柔軟な発想から生まれる料理で、オープンから12年経った今もまったく色褪せない『マサズキッチン』。

「メスの卵や味噌のねっとりした旨み、もちもちとした食感の白子が旨いオス。それぞれが持つ独特な濃密さです」。店を率いる鯰江真仁シェフは、上海ガニの魅力をそう語る。


そんな持ち味を最大限に味わえるのが、オスとメスを食べ比べることができる「姿蒸し」だ。

ほぐした身と味噌を甲羅に詰めることで、食べやすさはもちろん、味噌が絡んだ身がしっとりと甘みを帯びる。

メスもさることながら、味噌がじんわり絡んだオスの身と白子のまったり感が堪らない。


卵のねっとり感に、茅台酒や砂糖を加え、少し甘めのタレを合わせた「紹興酒漬け」。

「姿蒸し」と同じ大きさのものを使うなど、サイズにもこだわり、漬け置く期間は1週間をベストとする。


「どんな料理にも合わせやすい」と鯰江シェフが話す、メスの味噌や卵を使用したアラカルトメニュー。

とろとろで濃厚な餡がふわふわな豆腐と絡まり、思わずご飯が欲しくなる美味しさだ。

こちらの上海ガニ料理3品を含むコース¥22,000は、1月いっぱいまで用意される。


旬な食材と組み合わせて上海ガニの可能性を追求する

新広東菜 銀座 嘉禅@銀座

中国飯店でキャリアをスタートし、香港やシンガポールで研鑚を積んだ簗田 圭シェフが腕を振るう銀座の『新広東菜 銀座 嘉禅』。

伝統を踏まえつつも、和の食材を積極的に取り入れた独特のセンスが光る“新広東料理”が評判だ。


「姿蒸し」では、蒸し上がりの状態を客にデモンストレーションしたあと、食べやすくほぐして甲羅に詰めて提供している。

まず8割ほど蒸して余熱を使いながら、日本人の好みに合わせた半レアで提供するなど、旨みを最大限引き出すことに余念がない。


「紹興酒漬け」は、紹興酒にアルコール度数の高い白酒の玫瑰露酒を加えて、殺菌力と風味をさらにプラス。

「ワインと似ている」と話すシェフは、漬け込んでコクが出てくる10日目からを食べ頃としている。


松茸入りの上海ガニチャーハンのように和の要素を取り入れた同店ならではのひと皿もラインナップ。

ほぐした上海ガニの身と味噌をジャスミンライスと炒め、土鍋に入れて底にお焦げができるように仕上げている。

以上の上海ガニ料理3品が入った特別コース¥15,000は、1月下旬まで。


南青山の新店の上海ガニも見逃せない!

上海ガニ本来の味わいにこだわった大胆な料理が魅力

慈華@南青山

惜しまれつつ閉店した名店『麻布長江 香福莚』を率いた田村亮介シェフが、昨年末にオープンした『慈華』。

よりシックになった店内で楽しめるのは、素材感を前面に押し出した上海ガニ料理だ。


カニの大きさによって蒸し時間を調節するという「姿蒸し」。身が固まり切るちょっと手前の蒸し加減がポイント。

「姿蒸しは大きければ大きいほど美味しい」と考えるシェフは、オス220g、メス190gと大ぶりなカニを使用する。

通常は他店と同じように身はほぐされるが、希望があれば写真のように解体した形でも提供してくれる。


「紹興酒漬け」では、八角やシナモンなどは加えず、陳皮と花椒のみと至ってシンプルな香辛料を使用。

漬け込んで2週間目からがおすすめのタイミング。舌にねっとりと絡み濃密な味噌の甘みが引き立つ。


スペシャリテのフカヒレ料理にメスの味噌を合わせた姿煮は、迫力の美味しさ。

肉厚のフカヒレの繊維一つひとつに、白湯スープとカニの豊潤な旨みがジワリと染み込む。

上記3品を含む、上海ガニ料理4品が付くコースは¥23,000。12月下旬頃まで展開する。


上海ガニの名門のDNAを受け継ぐ十番の人気店

紫玉蘭@麻布十番

歴代総理大臣もその味を求めて通ったという上海ガニの名門『中国飯店』。独自ルートで上質かつ鮮度の良い上海ガニを毎週仕入れている。

そんな名店の味をよりリーズナブルに味わえるのが姉妹店の『紫玉蘭』だ。

「本店に比べ、上海ガニはやや小ぶりにはなりますが、質は変わりません。」キッパリと語るのは林大料理長。


味噌と身を甲羅にほぐして提供する「姿蒸し」には、上海ガニの味を引き締め、臭みを消す効果のある黒酢のタレをつけていただく。

こちらには、とろみをつけた蟹粉の炒めものが花巻とともに付いてくる。


“酔っ払いガニ”とも呼ばれる「紹興酒漬け」の「官能的な味わいこそ上海ガニ料理の醍醐味」と語る林シェフ。

同店では八角やシナモン、花椒などのスパイスを入れたタレに、10日から2週間ほど漬け込んだものを提供している。


「上海蟹ミソかけワンタン」や「上海蟹ミソかけ和えソバ」など、上海料理店ならではの一品料理が多くそろうのも特徴。

コースでも楽しめる小籠包は、ベースの豚肉の餡とカニ味噌の完璧なマリアージュが楽しめるひと皿だ。

1月いっぱい楽しめるコースは、メスのみで構成される¥11,000のものからオス・メスの上海ガニ料理5品が堪能できる¥25,000のものまで3種類を用意する。