男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「ある日別居したいと言い出した夫。その理由とは?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「もう夫婦として機能していない …」夫に別居を決意させるほど追いつめた、妻の行動とは



金曜の夜。本来ならば仕事が終わって早く家に帰りたいはずなのに、僕の足取りは重い。玄関のドアノブに手をかけると、大きなため息まで出てきた。

「はぁ…」

そんな浮かない僕とは対照的に、妻の奈美が満面の笑顔で玄関にまでやってきた。

「お帰りなさい♡ビーフシチュー作ったよ♡」
「え?さっき、夕飯いらないって連絡していたんだけど…」
「え?」

みるみるうちに、奈美の顔が曇っていく。だが会社を出る前に、僕はちゃんと連絡を入れていたはずだ。

「もう少し、早く連絡くれればいいのに」

奈美はわざとらしいため息を吐き、ギロリとこちらを睨んでいる。完全に喧嘩モードに入った妻を見て、僕はこう言った。

「あのさ、奈美…僕たち、しばらく別々に暮らさないか?」


夫がもう限界だと感じた、妻の行動とは!?

A1:すぐ機嫌が悪くなる。


奈美と籍を入れたのは、2年前のこと。交際当初から奈美は「結婚したい」と言っており、交際期間半年で僕たちはゴールインした。

交際当時は、おとなしくて可愛らしかった奈美。だが結婚してから、彼女は変わった。

「奈美、今日の夕飯、ちょっとだけ塩味がキツかった …?もう少しだけ薄味だと嬉しいな」

例えば、夕飯の時。僕は関西出身のせいか薄味が好きなのだが、奈美の作るご飯はいつも少しだけ、味が濃い。

けれども作ってもらっている以上文句を言うわけにもいかないし、あくまでも角が立たぬように言ったつもりだった。

だが奈美は言い方が気にいらなかったようで、一気に機嫌を損ねてしまった。

「濃いとは思わなかったけど…ダメだった?」

つい先ほどまでとは別人のように低い、ドスのきいた声でそう言われ、僕はハッとする。

—ヤベ。またスイッチ押しちゃったよ。

結婚してから初めて気がついたことがある。それは彼女が不機嫌になりやすい、ということだ。

「ううん、ごめん。いつもありがとう」

一方で、喧嘩や争いごとは極力避けたい僕。

だからいつも僕のほうが謝り、丸く収めてきた(謝って済むならば、いくらでも謝る)。

ただ結婚生活が進むにつれ、奈美が悪態をつく頻度は、ますます増えていった。



「ねぇ、遅くなる時は早めに連絡してって言ったよね?」

食事の時間以外でも、奈美はちょっとしたことですぐイライラしていた。

連絡が遅いとか、LINEの返信がそっけないとか…。とにかく些細なことで、僕はよく怒られる。

「ごめん、先輩に捕まっちゃって。でも“食事はいらないよ”って連絡はしたよね?」
「一応新婚だし、起きて待っていようかと思ってるのに」

どうして僕は、いつも妻から説教されているのだろうか。

交際期間が短かったということもあるだろう。お互い、知らない部分が多いまま結婚したのも悪かったのかもしれない。

でもここまで毎日のように小言を言われることに、疲れてきてしまった。

「先に寝ていていいよ。奈美も仕事があるし、帰宅が遅くて申し訳ないなぁとは思っているから」
「でも連絡するくらい1分もかからないし、子どもでもできることだよ?お手洗いに行った隙にとか…」

—子どもでもできるって…。嫌な言い方するなあ。

しかも苛立っている理由が、非常に理不尽である。

こちらとしてはちゃんと連絡をしており、“起きて待っていてほしい”なんて一度も言ったことはない。

勝手に行動して、勝手にイライラしているのだ。そんな奈美と一緒にいるのが、どんどん辛くなってきた。

そしてトドメとなったのが、奈美の友人宅での出来事だった。


これだけは本当に無理…。夫が遂に逃げた理由とは?

A2:プライドをズタズタにしてくる言動に、心底疲れ果てた。


あれは、よく晴れた土曜のことだった。

奈美の友人である亜紗美の家でホムパが開かれるということで、僕たちは夫婦で参加することになった。

だがその会には、まさかのドレスコードが設定されており、ひな祭りにちなんでピンク色を着なくてはいけなかったのだ。

「え?マジで嫌なんだけど。僕、その会スキップしてもいい?一人で行って来なよ」
「はぁ?そんなことできるわけないでしょ!隆太はとにかく黙ってついてきて」

行く前から相当気が乗らなかったが、実際に参加するとさらに憂鬱な会だったと判明した。

僕以外の男性二人は経営者で、話が既に盛り上がっている。

僕は人見知りなので、そもそもこういう会が嫌いである。しかも着たくもないピンク色の洋服を着ている自分が滑稽に思えてきた。

それでも聞き役に徹してやり過ごしていたのだが、そんな僕を奈美がつついてきた。

「隆太も話に入れてもらったら?」

—なんで今この場で、そういうことを大きな声で言うのかな。

男としては、プライドがある。楽しそうに仕事の話をしている経営者たちの目の前で、僕だけ妻から子供のような扱いを受け、恥ずかしくなってきた。

「業界も違うし、僕は聞き役に徹するよ」
「えぇ〜せっかくなのに…」

奈美は大げさに顔をしかめ、またしても不機嫌になって、キッチンの方へ行ってしまった。

—ピンク色の洋服を着て、嫌な会でも付き合いで頑張って来たのに、なんで不満ばかりなんだ?感謝の言葉は言えないのか?

隣にいる妻が、急に色褪せて見えてきた瞬間だった。



そして僕を男性陣の輪の中に入れるのをようやく諦めたのか、奈美はキッチンでガールズトークを始めた。

「でも改めて見ると、やっぱり隆太くんってイケメンだよね」

誰かが、僕のことを褒めてくれているのが聞こえてくる。嬉しいなぁと思っていると、奈美はまさかの、全否定を始めたのだ。

「ありがとう。でももう隆太もいいオッサンだし、ハイスペな旦那さんのほうが羨ましいよ」
「そんなことないでしょ〜。広告代理店だっけ?稼いでいるし、いい旦那さんじゃない」
「ううん、二人のハイスペな旦那様たちに比べたら、うちは全然ダメだよ」

—うちは、全然ダメ…。

この言葉によって、僕の中で何かの糸がプツンと切れた。

ずっと我慢して頑張ってきたものが、雪崩のように一気に崩れ落ちていく。

男は、基本的に褒められて伸びる人種だと思う。プライドだって鬼のように高い。

そもそも誰だって褒められたいし、けなされるのは辛い。

そんなこと分かっているはずなのに、一番の味方でいてほしい妻に全否定され、そして毎日毎日小言を言われているうちに、男としての自信もなくなってきた。


否定されることに、もう耐えられなかった。一緒にいたいと思えなくなり、声を聞くのすら嫌になってきた。

正確に言うと、生理的に無理になってしまったのだ。

それでも奈美は、帰りのタクシーの車内でもまだ文句を言っている。

「ねぇ、そんなに今日嫌だった?隆太だけつまらなそうにしていたから」

ただ一言、「今日は一緒に行ってくれてありがとう」と言ってくれていたら、許せたのかもしれない。しかし最後まで、彼女は小言ばかりだった。

—もう限界だ。彼女といたら、ダメになってしまう。


こうして、僕は家を出て行くと決めた。


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好きになるのは、結婚願望のない男ばかり…