“隠れ家”はその昔、90年代においてブームとなり、それが進化を遂げていまに至る。

実はそのブームをけん引したのは広告代理店出身の女性だった、ということをご存じだろうか?

彼女はどのような狙いで、このジャンルを切り拓いたのか?その理由に迫る。





看板がなくても、美味しければ人は集まる


横山貴子氏は広告代理店などを経て、90年代に看板のないマンションレストラン『201号室』(現・『中村玄』)を立ち上げ、〝隠れ家〞ブームを先取りした人物。

彼女は〝隠れ家〞ブームについてこう語る。

「別にそれを狙ったわけではなかったんです。ただ看板はいらないなというのは漠然と考えていました」

その理由は、食べ歩きが好きな横山氏自身が、看板を見て店に入るということがほとんどなかったからだ。



ここが瞬く間に人気店になったこともあり、2年後に現在の『Club小羊』をオープン。それまで地味な郷土料理であったジンギスカンを「隠れ家」で提供することでそのイメージを変えた。

「大事にしたいのは意外性や非日常なんです。そこに美味しい料理があれば最強。隠れ家は、手段であって目的にはならない。やっぱり美味しい料理がないと、どんなに隠れ家として面白くても成り立ちませんから」。

現在は恵比寿『Club小羊』と渋谷『月世界』の3店舗を展開し、いずれも人気店として名高い。

飲食店としての使命を全うしながらも、時代が求めるものをいち早く見抜く。そしてそれをすぐに具現化する行動力こそ横山さんの最強の武器だ。

すべてが出尽くした感のあるこの時代、彼女がどう動くのかこれからも目が離せない。