東京には住宅街でありながら、名店が潜んでいる街が多々あり、それらは大抵、繁華街に隣接している。

港区であれば六本木と広尾、麻布十番と赤羽橋といった具合だ。ハイクラスな住人が多いことが理由だろう。

では港区に次ぐ人気エリア・神楽坂に近い住宅街とは?





国際的なアカデミック人が集う街


繁華街である神楽坂に隣接した住宅街は、「牛込神楽坂」。駅周辺は寺院が並ぶ穏やかな雰囲気だ。

近隣に「新潮社」や「旺文社」などの出版社があるほか、竹橋や大手町に近いため、新聞社の記者や大手町に勤める堅実系ハイスペな人々も住んでいる。

外国人も多く、街の顔ともいえる『メゾン・カイザー 神楽坂店』の伊豆実由紀さんはこう語る。

「神楽坂といえば、フランス人のイメージが強いと思いますが、お客様は欧米系からアジア系の方まで実に幅広いです。大学教授など、アカデミックな人が多い印象です」。

やはり、客筋の良さを感じられる。

そして牛込神楽坂周辺にも、名店が数多くひしめき合う。



『メゾン・カイザー 神楽坂店』の名物は「バゲットモンジュ」。一日に150本以上出る超人気の一品。



牛込北町交差点にある『バルマコ』は、地元の人が集う人気店。



『アンティカ オステリア カルネヤ』。2007年オープンと、この地域の先駆け的存在。熟成肉からジビエまで、あらゆる肉を楽しめるイタリアン。



レストランはザッと挙げただけでも、実力派揃いだ。フレンチの名店である『ルマンジュトゥー』や、熟成肉の『アンティカ オステリア カルネヤ』。

予約が取れないビストロ『BOLT』に、イノベーティブフュージョンの『SECRETO』といった調子だ。

『BOLT』の仲田高広シェフは、街の印象をこう語る。

「スマートで食べ慣れている人が多いですね。知名度がある街じゃないので、例えば上京してすぐにこの街に住むって人は少なくて、むしろ、東京のいろんな街を経験してここに落ち着いた人が多いと思います」。



昔は牛込神楽坂界隈で人気が出ると、神楽坂通りに出ていく流れがあったが、今はむしろこの静かな空気感を好むシェフが多いという。

『SECRETO』の薮中章禎シェフもそのひとり。〝秘密〞というお店のコンセプトを体現するのに、ここは絶好の場所だった。港区界隈のイケイケな雰囲気とは対極の、落ち着いて洗練された雰囲気に惹かれたという。

なるほど、歴史を紐解けば、この辺りは都内屈指の山の手エリア。地盤の良さから、武家屋敷が点在していたそうで、政治家や財を成した傑物の豪邸が多いとか。

神楽坂の空気をまといつつ、静かで品もある。近隣を散歩しながら前述したようなレストランを日常使いするのもセンスがいい。

こんなエリアをサラッと使ってこそ、大人の余裕を醸し出せるというものだ。


牛込神楽坂の住人をキャッチ!


村松由美子さん。矢来町で生まれ、今も在住という生粋の牛込神楽坂っ子の村松さん。

「昔は駅もなかったので、本当に“陸の孤島”でした。今はお店が増えて嬉しいです」。

好きなお店は『Rojiura Curry SAMURAI.神楽坂店』。