圧巻の演技力で、観客を作品の世界に引き込ませる。まさに「演技派女優」の冠が相応しい尾野真千子さん。

40歳を目前にした彼女に、改めて「女優とは何か」を聞いてみた。





“本当の私”は、どの現場にも存在している


公開中の『茜色に焼かれる』では、傷つきながらもたくましく生きる母親役を体当たりで熱演している。

自身が飲み込まれてしまいそうな重い役柄を演じることも多いが、オンオフをどう切り替えているのだろう?

「仕事=オンというわけではないんです。

現場に来てもずっとオフで『よーいスタート!』の声で女優になる。仕事場でも“素の尾野真千子”が存在していないと、役になりきれない。

そこがあやふやだと、自分が今何になっているのか、分からなくなってしまいますから」



上っ面の演技ってバレる。逆に本気の想いがあれば、見ている人に必ず伝わる


バラエティ番組で見せる、豪快なキャラと明け透けなトークで笑いを取る、快活な一面も尾野さんの魅力だ。

ところが「もともと人見知りで、人と話をするのも苦手」だったというから驚く。

「でもだんだん歳を重ねるにつれ、人と会う楽しさを覚えて、学ぶことも増えて。

同じ人とばっかりいたらそこで止まってしまうけど、新しい人と出会うことで世界が広がって、芝居も生き方も変わってくる。それが楽しいですね」

いい意味で影響を受けやすく、変化を恐れない。自分の感情に素直に生きてきた積み重ねが、今の尾野さんを作り上げている。

映画監督や同業の役者からも、尾野さんの演技力を絶賛する声は多い。では、尾野さんが思う「芝居が上手い人」とは?

「気持ちを一生懸命出そうとしている人が、私は好き。

周りからは『芝居が下手だね』って言われていたとしても、本気で想いを込めて芝居をしている人は、私は上手いと思うし、成長するし格好いい。

外側だけで気持ちがこもってない人の方が、下手だと思うし格好悪い。口先でやってるな、とか意外と周りにバレるものなんです。

だから私は、それが怖くて気が抜けなかったりします」

15歳のとき、映画のロケハンに来ていた河瀨直美監督にスカウトされ、デビュー作で主演。その作品をはじめ、数々の賞を受賞してきた尾野さん。

ドラマチックなヒストリーを含め、女優は天職に思えるが…。

「今もずっと『夢は女優』。まだ女優になりきれていないし、目指すものがたくさんある。胸を張って『女優です』って言えたとき、ようやく夢が叶うんじゃないかな」

実力ある女優のまっすぐな言葉には、底知れない熱量があった。


■プロフィール
尾野真千子 1981年、奈良県出身。97年に映画『萌の朱雀』で主演デビュー。主演映画『茜色に焼かれる』『明日の食卓』が公開中のほか、来年は『こちらあみ子』など数作品が公開予定。

■衣装
ベスト 12,100円〈コロンビア/コロンビアスポーツウェアジャパン TEL:0120-193-803〉、ワンピース 46,200円〈ジュンオカモト/ジュン オカモト ダイカンヤマ ストア TEL:03-6455-3466〉、ハット 17,600円〈サラヴァ/フェイス TEL:03-6304-2937〉、シューズ 17,600円〈ベジ TEL:03-5829-6249〉、その他スタイリスト私物




東京カレンダー最新号では、尾野真千子さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
尾野さんが東カレに語ってくれた、仕事以外に“全力”で取り組んでいることとは?

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