代々木上原の住宅街にひっそりと佇み、カップルから家族連れまで幅広い客層に愛される鮨店がある。

つまみと握りで構成されるおまかせコースは全部で約25品。

それほどのボリュームで税込18,000円という、こなれた価格設定で長年支持を集める人気店をご紹介しよう。




※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。



上原らしい落ち着いたカウンターで手の届く贅沢を満喫!


店内には、イチョウのナチュラルな材質をそのまま生かした白木のカウンターを配置。

大将の山本成彦さんは、都内の人気店を渡り歩きながら30年近くも鮨と向き合ってきたベテランだ。

8年前に念願の独立を果たし、代々木上原駅から徒歩2分のビル1階にオープンさせたのがここ『艪(カイ)』。

握りでは江戸前の伝統を押さえつつ、「映えるでしょ?(笑)」と高級食材をふんだんに使った一貫も積極的に繰り出す。

ゲストを楽しませることに徹した、怒涛のコースを見ていこう!


季節を感じる、ほっこりしたつまみでスタート!

まずは、季節の食材(取材当時は秋)に温かいあんかけをかけたつまみ。

蓮根はすりおろして調味し、饅頭の形に整えてふっくらと蒸し上げた。

あんかけには毛蟹のほぐし身を入れ、仕上げにいくら、銀杏、栗などをトッピング。

濃厚な旨みと優しい味わいが調和してのっけから心を掴まれる!


海の幸のありそうでなかったマリアージュが小憎い!

出汁でサッと煮た北海道産の牡蠣は握りに。

上からこんもりとキャビアをのせて上品な塩味をプラスしている。

ぽってりと太った牡蠣の旨み、キャビアのプチプチとした食感がサッパリとしたシャリと見事にマッチ!


握りにアレンジされたつまみの定番に酒好きは歓喜する!

つまみのひと皿、と思いきやこちらも握りになって登場。

細かく切って糸造りにしたカワハギを裏漉しに。たっぷりの肝と和えて握っている。

肝のリッチなコクとネギやシャリの酸のバランスも絶妙で、思わず「日本酒!」と叫びたくなる幸せが駆け抜ける!


高級食材が奏でる極上のハーモニーが今宵のハイライト!

炙ったのどぐろに北海道『小川商店』の生うにをのせ、さらにトリュフをスライス。

長崎県産ののどぐろはしっかりと脂があるから、トリュフの独特な香りとも相性がいい。

コクと脂、香りの一体感に恍惚となり、一気に華やかな気持ちになる!


仕入れにこだわる絶品中トロも登場!

王道ネタへのこだわりだって半端じゃない!

江戸前鮨の花形であるまぐろは、全国の名だたる鮨店が信頼を寄せる豊洲の仲卸『やま幸』より仕入れる。

大分県産の「中トロ」は、脂の甘みと赤身の旨みのバランスが実に秀逸。

滑らかな舌触りで噛み締めると儚く消え、フワッと鼻に抜ける香りの良さも格別だ!


「お腹いっぱい食べてほしい」とのサービス精神もさることながら、大将の気さくな人柄にも魅了される。

お腹の具合を確認しながらシャリを小さめにするなど、細やかな気配りに心から寛げるはずだ。


「他店と同じことはいや」と、江戸前の常識にとらわれないコースでユニークな鮨体験を提供。

月に1回の贅沢デートが叶う。そんな等身大の鮨店こそ今の時代にはちょうどいい。