この秋、高輪台に一軒の鮨店がオープンした。住宅街にポツンと佇むこの一軒は、暖簾や行燈も出ておらず、外観からは鮨店とはわからない。

一歩足を踏み入れると、ダウンライトが灯り、まるでバーのようなムーディーな雰囲気だ。

東京の鮨デートに、新たな風を吹きこむ一軒を紹介しよう。



※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。



バーを思わせる艶やかさに高揚する!


中に入ると、樹齢400年の分厚い檜を中心にインダストリアルなテイストも入れた空間はバーのようでもある。

ここは、高輪台に10月オープンしたばかりの『鮨 梢』。空間の艶やかさは港区的で、舞台のような劇場型鮨店だ。

それでいて大将の人柄が親しみやすいから、お洒落なのにすぐリラックスできる。

『鮨 なんば』出身の大将・梢さんは、その期待をいい意味で裏切り、独自の世界観で食べ手を唸らせている。



『鮨 なんば』譲りのイカの握りが美しい!


元いた『鮨 なんば』といえば酢飯とタネを1℃単位で温度管理する弩級の店。

学んだことはもちろん多いが、独立するからには『鮨 梢』にしかない鮨のバランスを追求した。

シグネチャーは、イカ素麺の状態で握られる佐賀県呼子産のイカ。これは『鮨 なんば』と同じ切り方で、空気が多く入ることでより甘みを感じやすくなる。

食感に華やかさが出て、シャリとの一体感も抜群。



他では叶わない、まぐろの食べ比べも楽しい!


「やま幸」からの中トロは、切り込みの有り無しを、2貫の食べ比べで。

切り込みを入れた握りは噛んだ状態から、脂がダイレクトに舌に伝わり、中トロを大トロのように感じる。

切り込みがない方を先に食べると、その旨みの立ち上がりの違いが明らかで実に楽しい。

鮨屋のなかでも珍しい、仕込みの技術の違いでの中トロ食べ比べが叶うのだ。



驚きの食感は細やかな手仕事が成せる技


鯵は歯が入りやすい細かなかのこ状で、口内で瞬時に崩れる際に旨味が立つ仕上がり。

精米仕立ての米による酢飯が骨格ある味わいだから、塩分を抑えても魚の強さを受け止められるのだという。


握りはもちろん、おつまみやお酒も秀逸!


運ばれれば歓声が上がるおつまみの数々


美しい握りはもちろん魅力的だが、“バーのような鮨店”を謳うからにはおつまみも秀逸。

某ラグジュアリーホテルと同じ、仏産アフタヌーンティースタンドにのって提供される前菜7品。

この日は、蒸し鮑、あん肝、いくらごはん、メヒカリの刺身、白エビの刺身、イカのウニ和え、新銀杏。シャンパンを開けたくなる至宝盛り合わせだ。料理はすべてコース22,000円より。



隠されたワインセラーからワインを選ぶのも楽しい!


そんな楽しいおつまみに合わせてくなるのは、もちろんお酒。

カウンターに立つ大将の背面は、壁と見せかけて実はセラー。お酒好きの大将だけあって、そのバラエティは実に豊かだ。

お酒好きをアピールすれば、特別にとっておきの一杯を提案してくれるはず。



有象無象に鮨店が立ち並ぶ東京において、大人たちの鮨経験値が上がるばかり。

だからこそ、これまで感じたことのない楽しさを求めてしまうもの。

店の佇まいも、つまみも、握りも、そしてお酒も大満足のこの一軒なら、ほかでは体験できない美食の夜が叶うに違いない。