男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「一夜を共にした翌朝。女が慌てて家を出ていった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:甘い一夜を過ごしたのに…。翌朝、女が男を残して慌てて家を出ていった理由は?



「あれ?ここどこだっけ…」

朝、見慣れない天井を見て、まだぼーっとした頭で考える。

時間が経つと同時に、徐々に思い出してきた。

昨晩デートをしていた雄太と一緒に夜を過ごしたことを。そしてここが雄太の部屋であることを。

「おはよう」
「あ…おはようございます」

隣にいる雄太の顔を見れない。真っ先に思ったことは、“早く帰りたいな”ということだった。

だから慌てて支度をし、マンションの下まで送ってくれた雄太に別れの挨拶をしてすぐに私はその場を去った。

「お邪魔しました!雄太さん、またね」
「うん、気をつけて帰ってね」

― “またね”はないだろうな。

そう思いながら…。


A1:話がとてもツマラナイ人だなと思っていた。


雄太と出会ったのは、食事会の席だった。身長も高くて、スラッとしている。しかも真面目そうで、爽やかな人だなという印象だった。

最初はあまり話さなかったけれど、隣に座るとすぐに打ち解けた。

「じゃあ雄太さんは、独身なんですか?」
「そうだよ〜。バツイチだけど、子どもはいないし…。もう別れて5年は経つから、独身生活も随分長くなったかな」

優しそうだし、ガツガツもしていない。落ち着いた雰囲気的に既婚者かと思ったけれど、違ったようだ。

「よく『子どもいそうですよね』とか言われるけど、全然」
「そうなんですね。でも落ち着いてますし、週末とかは子どもを公園で遊ばせているのがイメージできます(笑)」
「残念ながら週末はゴルフへ行ったり、ひとりで料理したりかな」
「お料理されるんですね!」

この時はまだ、気づいていなかった。でもこのあと食事に誘われて2人きりでデートした時に、色々と見えてくることがあった。



雄太が予約してくれていたのは、『いいと 麻布十番』だった。



「凛ちゃん来てくれてありがとう。忙しそうだから、無理かと思ってたよ」

今日も穏やかな雄太の周りには、ゆったりとした時間が流れている。

「そんなことないですよ〜!むしろお誘いありがとうございます」
「凛ちゃん仕事は忙しい?」
「そうですね、おかげさまで。雄太さんのお仕事って、金融系でしたっけ?」

たしか金融系だと言っていたことは覚えていたので、その話を振ってみた。すると、雄太は謙遜し始めた。

「そうそう。地味なサラリーマンですよ」

― こういうのって…。どう対応すればいいんだろう。

今日は初デートだし、楽しいと思ってもらいたい。何とかして会話を弾ませたいと思ったので、うまく対応してみる。

「何をおっしゃいますやら(笑)。オフィスはどちらなんですか?」
「オフィスは大手町だよ。凛ちゃんは自分で会社やってるんだよね?」
「そうなんです。一応、自分でやってます」
「すごいなぁ」

いい人だし、悪い人ではない。けれども会話がいまいちパっとしない。

「全然!別に起業なんて誰でもできますから。むしろ数字が苦手なので、金融系の人とかすごいなと思います。尊敬しちゃいますよ」

とりあえず目の前にあるお料理の話で、盛り上げてみた。

「すごいですね、これ♡」
「名物の『トリュフ お稲荷さん』だってさ」



「すご〜い」

そうはしゃいでいると、雄太が嬉しそうな顔をしている。

「凛ちゃんって、明るくていいよね。よく言われない?」
「まぁどちらかというと明るいほうだとは思いますが…。雄太さんはどっちですか?」
「僕はどちらだろうなぁ。まぁ暗くはないかな」

― …で!?その先は?

決して自慢話をしているわけでもないし、嫌なことを言ってくるわけではない。ただ会話のキャッチボールがなかなかうまくできない。

でも、求めるものが多すぎるのかもしれない。だから次のデートの誘いにも応じることにした。

「凛ちゃん、次は十番にあるイタリアンに行かない?僕の家の近くになっちゃうんだけど、美味しくて」
「いいですね!ぜひ行きましょう」
「来週末とかどうかな?」
「はい!」

しかしこの次のデートで体の関係を持ったものの、この先は“ナシ”と思ってしまうことになる…。


A2:関係が進めば、何か違う顔が見られるかと思ったから。


つまらなかった一度目のデートの反省を活かし、二度目のデートに行く前に準備をしながら考えた。

― 私の会話能力が低いのかな?どんな話をしたら盛り上がるかな…。

でも楽しいデートだったら、こんなこと考えもしないはず。若干憂鬱になりながらも、私は予約をしてくれていたお店へと向かう。

「ごめんね、こっちまで来てもらっちゃって」
「全然大丈夫です!むしろこのお店気になっていたので」
「本当に美味しいんだよ。下心とか、ないからね(笑)」
「分かってますよ〜」

やっぱりいい人なことに違いはない。気遣いができるし、何より優しい。穏やかな性格もいい。

「雄太さんはお料理されるんですよね?最近は何を作ったんですか?」
「最近は酢豚とか?」
「え〜すごい!今度食べたいです」
「うん」

けれども今日もやっぱり、会話が盛り上がらない。単純に、話がツマラナい。

― これは飲まないとやってられないな。

そう思ったので、私の飲むペースはどんどん早くなっていく。そして気がつけば、一軒目が終わった時点ですっかり酔っ払っていた。



「凛ちゃん、もう一軒行ける?」
「はい、行けます!行きましょう!」

こうして二軒目へと行ったけれども、この時私はずっと考えていた。どうやったら、この“イイ人”を恋愛対象として好きになれるだろうか、と…。

現在独身で、一流企業勤務。顔も悪くないし性格も良い。結婚なら、こういう人のほうが幸せになれると思う。

「凛ちゃん、ペース早くない?大丈夫?」
「全然大丈夫ですよ〜」

でもどうしても、トキメかない。胸がキュンとしない。

ただ冷静に考えれば、最高な人だと思う。

だから私は思い切って、交際を前提とした次のステップに進もうと思った。一歩踏み出せば何かが変わるかもしれない。ときめかない気持ちも、変わるかもしれない。

そう思い、私は二軒目を出た時に雄太の腕に絡みつく。

そしてそのまま彼の家へ行き、体を重ねた私たち。

でも私の気持ちには、何の変化も現れなかった。むしろ“結局微妙だったな…”くらいの気持ちしか残っていない。



結局、私は朝を迎えた時に気がついた。

「話のつまらない男性は、色気がナイ」ことに…。

顔の造形や、筋肉の話ではない。会話のスマートさやユーモアというのは、知性を感じられる。そしてその知性は、色気にもなる。

雄太は良い人だけれど、そういった異性を感じさせてくれ、ドキドキさせてくれるような要素がない。

「いい人なんだけどな…」

そう思いながら、私は中目黒の彼の家のマンションを出て、大通りでタクシーを拾って帰宅した。

きっともう会うことはないだろうなと思いながら。


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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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男が女に対して冷める瞬間