男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:年上の美女を落としたい…頑張ったのに男が振り向いてもらえなかった、たった1つの理由とは



健太とデートを繰り返し、半年が過ぎた。週末はなんとなく一緒にいるし、連絡も取り合う。

でも33歳でかつモテる健太は、「付き合おう」という私がずっと欲しがっている言葉を言ってくれない。

― さすがにもうダメかな…。好きだけど諦めるしかないかな。

何度もくじけそうになった。女友達からも「健太は遊び人だし、他に女もいそうだからやめておけ」と何度も忠告を受けた。

それでも私は、彼のことがどうしようもなく好きだった。

― これで会うのは最後にしよう。

そう思っていた矢先。ドライブで茅ヶ崎まで行った時、健太が突然こんな嬉しいことを言ってきてくれた。

「由希子、僕たち付き合わない?」
「も、もちろん…」

嬉しくて、涙が出そうになる。でもどうして、彼は半年もこの言葉を言ってくれなかったのだろうか…?


Q1:出会った当初、男が女に対して抱いていた感情は?


健太と出会ったのは、食事会だった。一見人が良さそうで爽やかな感じがしたけれど、よく見るとハイブランドのパーカに、高そうな時計を身につけている。それを見た途端に、私は引いてしまった。

― 彼は私とは違うタイプの人だ。

そう思ったのに、健太は私の隣にずっといて話しかけてきた。

「由希子ちゃんは、普段は何してるの?」
「私は事務職です」
「こういう飲み会、よく来るの?」
「いえ、まったく…。この前長年付き合っていた人とお別れして、久しぶりに来ました」
「何年くらい付き合っていたの?」
「……4年です」
「4年!?長いね」

いきなりこんなこと言うなんて失礼な人だなとは思った。でも人の懐にスッと入ってきた彼に嫌な感じはせず、発する言葉にはどこか優しさもあった。

「そうか…。でもそんなに長く付き合った人と、お別れするのは悲しいよね」

いい人なのか悪い人なのか判断がつかずにいたけれど、この翌日、なぜか健太のほうからデートの誘いがあった。

そして2週間後に、指定された『ピエール・ガニェール』へ行くと、上機嫌の健太がいた。



「由希子ちゃん、嫌いな物は何かある?…ってごめん、先にLINEで聞いておくべきだったね」
「いえいえ。嫌いな物はありません。何でも食べられます」
「お〜素晴らしいね。じゃあ適当に頼んじゃうね」
「ありがとうございます」

健太は、不思議な人だった。グイグイ来るのにでもそれが心地よくもある。そして気がつけば、すっかり私は健太のペースに巻き込まれていた。

「こんな綺麗で可愛い子が今フリーだなんて、ラッキーだな」

そんなセリフを、恥ずかしげもなく言える健太に驚いた。どう反応して良いか分からず、目の前の美しい「京都産七谷鶏の燻製とムース 雲丹のクリーム スペッツリ」に視線を落とす。



でも本人はいたって真面目な顔をして言っていた。

「健太さんって…すごいですね」
「何が?」
「そんなこと、サラリと言えて」
「気になる子にしか言わないよ」

― この人、相当モテるし遊んでるな…。

女のセンサーがそう言っている。でもどうしようもなく惹かれているのも事実だ。

「でも由希子ちゃん、モテるでしょ?華やかだし、なんかキラキラしてるし」
「全然ですよ。私、あまり外に出ないので出会いもほぼないですし」
「そうなの!?」
「基本的にほぼ自炊ですし…。仕事以外は家でゲームしたりドラマ見てのんびりするのが好きなんです」
「意外すぎるんだけど」
「よく言われます。でも毎晩飲み歩くとか、疲れてしまうから…」

顔立ちが派手なせいか、「遊んでそう」とかよく言われるけれど、基本的に家が好きだ。

そんな私とは対照的に、華やかで夜遊びがいかにも好きそうな健太。

― やっぱり、私とは正反対なタイプかな。

このデートで終わりかと思っていた。でも意外にも、ここから健太との関係は続くことになる。


Q2:男が女に決めた理由は?


初デートから1ヶ月に一度会い、2週間に一度会い、気がつけば週末は会うようになっていた私たち。

それでも私は、この関係がよく分からなかった。

いや、むしろ分かっていた。彼からすると私は究極に“都合のいい女”だったから。

何度こうやって会っても、うるさいことを言わない。束縛もしない。遊び人の彼からすると最適なのだろう。

「由希子、来週は外に食べに行かない?いつも食事を作ってもらうのは申し訳ないし…」
「ありがとう!楽しみだな〜」

たしかに最近、健太の家で私が食事を作ることが多かった。でもこうやって、健太は定期的に素敵なお店へ連れて行ってくれる。

予想外のサプライズで見た目も味も楽しめる、外苑前の人気フレンチ『L’EAU(ロー)』で食事をしながら、私は改めて健太を真正面から見つめた。



遊び人かもしれないし、モテるのは百も承知。まだ若いのに稼いでいるし、女性はいくらでも寄ってくると思う。

でも悲しいかな、健太の可愛らしいところも知っている。それに本当は真面目でイイ奴なのも知ってしまった。

「どうしたの?じっと見つめちゃって。俺に見惚れてた?(笑)」
「そうだよ、残念ながら」
「可愛いこと言うね〜」

いつも茶化してばかりで、健太の本当の気持ちがどこにあるのかは分からない。でも1つだけ言えるのは、彼といると楽しかった。

「でも由希子って、本当に遊びに行かないんだね。連絡しても家にいることが多いし…」
「そうだよ。だから言ったじゃん」
「前の彼氏と付き合ってた時、浮気とかしなかったの?」
「浮気?なんでそんなことする必要があるの?」
「由希子だったら、他の男も言い寄ってきそうだなと思って」
「うーん。あったかもしれないけど、そもそも興味ないかな」
「そういうとこ、サッパリしてるよなぁ」

感心したように頷く健太を見て、笑ってしまった。

「そんな当たり前のこと突然どうしたの。健太は?浮気するの?」
「俺はいいんだよ、別に」

相変わらずのオレオレ。こうやって何度も会っていても、「付き合おう」とは言わないくせに、私を精神的に縛っている。



ただこんな関係が半年続き、もういい加減に私も諦めようと思った。

「健太ごめん。私って健太の何なんだろう?私は結婚もしたいし、無理なら無理で早めに言ってほしい」

嫌われるのを覚悟で聞いてみた。でも健太の回答は、いつも通り曖昧だ。

「そうだよな…ごめん。考えるから」

この言葉を、私はまったく当てにはしていなかった。なぜならいつも通り曖昧にされて終わりだと思ったから。

でも今回ばかりは違ったようで、しばらくすると健太のほうからちゃんと「付き合おう」と言ってくれた。

かなりモテるハイスペックな健太。果たして、私の何が良かったのだろうか…?


▶前回:年上の美女を落としたい…頑張ったのに男が振り向いてもらえなかった、たった1つの理由とは

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:1月29日 日曜更新予定
モテ男が半年も“適当な関係”だった女を選んだ理由は?