男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「三度以内に告白しなかったのた悪かった?女がNGを出した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:何回目のデートで告白するのが正解?3回以上デートを重ねた結果、男に待ち受けていた悲劇



六本木一丁目近くの北風が吹き荒れる中。私はお店を後にした途端に、さすがに耐えきれなくなり、大輔に向かって頭を下げた。

「大輔さん、ごめんなさい。会うのはこれで最後にしましょう…」
「どうして?」
「ごめんなさい」

何度かデートを繰り返していた大輔。最初は良いと思っていた。ちゃんと向き合って前向きな答えを出そうとも思っていた。

でもデートを繰り返すうちに、相手のことなんて微塵も考えていない言動に嫌気がさしてしまったのだ。


A1:グイグイ過ぎて引いてしまった…。


大輔と出会ったのは、半年前に離婚が成立してから始めたマッチングアプリだった。

「バツイチってどうなんだろう」と最初は抵抗があった。でも大輔は会ってみるとそんなこと気にしていないようで、また年齢も34歳の私より12歳も年上ということで、安心感もあった。

「愛ちゃん、今彼氏本当にいないの?」
「そうなんです」
「なんで?」
「実は…半年前に離婚したばかりでして」
「そうなんだ!前の旦那さんは見る目がないね」

「離婚した」と言っても嫌な顔ひとつせず、笑い飛ばしてくれた大輔を見て、すごくいい人だなと思った。



「じゃあ今は自由だね。仕事は何をしているの?」
「料理研究家をしています」
「料理研究家…!お料理上手なんだね」
「それほどでもないですけど、人並みに」

最初は、お茶をしながらそんなありきたりな会話をしているだけだった。しかし後半になると、大輔は想像以上にグイグイときた。

「早速だけど、来週暇?次はご飯行かない?デートしようよ」
「来週ですか?たぶん大丈夫ですけど…。一旦仕事のスケジュールを確認してもいいですか?ひとつ、大きな仕事が入っていて」
「もちろん。いつまでにわかる?」

― 積極的だな…。

周りに草食系男子が多いせいか、大輔のこういう強気な姿勢が新鮮だった。でもこれが、最終的には徒となるのだが…。

結局私もスケジュールを調整し、翌週会うことになった。



「素敵なお店ですね!」
「でしょ?今日は特別なデートだから、とっておきの店を予約したくて。愛ちゃんいいところたくさん行ってそうだし」

先日会った際にインスタのアカウントも交換していたので、きっとそれを見たのだろう。

「愛ちゃんは、食べること好き?」
「はい。大好きです!でも最近は高級店だけじゃなくて、ちょっと隠れ家的な居心地の良いお店探しにハマっていて」
「わかる!あれ?僕たち相性良さげだね(笑)」
「そうかもですね〜」

適当に笑ってごまかすものの、大輔の強引さにちょっと引いている自分がいた。

なぜなら初デートなのに、食事の間中ずっと私を口説いてきたからだ。

「愛ちゃん、モテるでしょ?」
「どうでしょうね〜」
「ちなみに俺のことはどう思う?アリ?ナシ?」
「まだわからないですが…。でも完全にナシの人とは、こうやって二人で食事には来ないですよね」
「じゃあだいぶアリってことだ。嬉しいな」
「大輔さんって、面白いですね(笑)」
「好きな子にだけだよ、こんなトークするのは」

会ってまだ二度目なのに、かなりグイグイと来る大輔。しかも一度目はお茶しかしていない。

「俺、久々にいいなと思える子に出会ったかも。前向きに進めたいと思っているんだけど、どうかな?」
「私もですが、もう少しだけ時間をもらってもいいですか?」
「了解。でもそんなに待てないからね!」
「わかりました」

― え…今の段階で、もうそこまで言う!?しかも待てないって…。

大輔の圧に押されそうになりながらも、なんとか距離を取ることに成功した。

そしてここからも、私の気持ちやスケジュールなんて「まったく関係ナシ」と言わんばかりの言動が続くことになる。


A2:相手の気持ちなんて考えていない自己中さに嫌気がさした。


まず、会っていない時もすごかった。初デートから連日のように、大輔から「おやすみ」みたいな、日常的なLINEが頻繁に来る。

― 大輔:急だけど、今夜空いてないよね?
― 愛:今夜は約束があって…。
― 大輔:そうだよね、残念。急にごめんね!

「私たち、付き合ってないよね…?アナタ、彼氏でしたっけ?」

思わず突っ込みたくなるような連絡内容と頻度に、私は返信を打つのも徐々に面倒になっていく。

平日は忙しいし、用件以外のLINEをもらっても困るだけということを知らないのだろうか…。



ただ私のことを想ってくれているという事実はありがたいこと。しかし何度かデートを繰り返すうちに、私は気がついてしまった。

三度目くらいに会ったとき。この日は「買い物に行こう」と言い始めた大輔に付き合って少し早めに集合し、そのまま食事に行く流れとなった。

しかしもちろん、この日の大輔もグイグイと迫ってくる。

「愛ちゃんは、どういう人が好きなの?」
「私は穏やかで、尊敬できる人がいいです。あとは頭の回転が速い人ですかね」
「どういうこと?」
「咄嗟に物事を判断できる瞬発力がある人?」
「それって、俺のことじゃん!」

― え…?なぜそうなった??

いい人だとは思う。でも私の好きなタイプに大輔が当てはまっているかと言われたら、そうとは言えない。だからとりあえず話を大輔に振ってみる。

「大輔さんは、どういう女性が好きなんですか?」
「僕は愛ちゃんみたいな子だよ。明るくて可愛くて。しかも自分で仕事を頑張っている子」
「ふふ♡ありがとうございます」

適当に流していると、大輔はまた同じことを聞いてきた。

「ちなみに、今愛ちゃんの中で僕はどれくらいアリ?全然ナシではないんだよね?」
「そうですね」
「何がダメなの?」

前回伝えたはずだが、私はもう少し時間が欲しい。そんなに迫られると怖くなる。

ただストレートに言うと傷つけてしまいそうなので、遠回しに断ってみることにした。

「いや、ダメではないのですが…。私まだ離婚したばかりなので」
「え!?もう半年も経っているんでしょ?」
「いや…。色んな人に心配かけたし…」

すると、大輔は信じられないことを言い始めた。

「アプリに登録している時点で、関係なくない?しかも今さらそんなこと言うとかナシだよ。こうやって何度もデートをしているし、僕に対して失礼じゃない?」



― なんなのこの人…。人の気持ちとか本当に考えないのね。

もはや怒りさえ湧いてきた。

やんわりと距離を取ろうとしている私の気持ちなんて、まったく汲み取れていないのだろう。

「そうですよね…。わかってはいるのですが」
「まぁ急かさないけどさ」

― いや、これのどこが急かしていないの!?

大輔は一見、私のことを大切にしてくれるように見える。

でも実は自分のことしか考えていない。

私は「待って」と言っているけれど、そんなこと一切聞いてくれない。

私の気持ちなどまったくお構いなしで自分の都合やペースだけ押し付けてくる。

それに遠回しに断ったらまさかの怒り始めた大輔。そんな彼の態度から本性を垣間見た気がして、心底「生理的に無理だ…」と思ってしまった。

何を根拠にしているかわからない謎の自信を持った、バブル世代ではないのにバブル時代の雰囲気を漂わせるグイグイおじさん。

実は草食系男子より、一番厄介なのかもしれない…。



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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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別れては付き合うを繰り返す男女の末路