「もっとキャリアアップしたい」「もっと洗練されたオトナになりたい」「もっとモテたい」

そんな上昇志向が強いオトナのために、東カレ編集部が厳選した“ワンランク上の自分になれるための本”を紹介します。

最近活字離れが進んでいる貴方も「5分だけ」読んでみてください!

今回、ご紹介するのは、『世界最高の伝え方:人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える!「伝説の家庭教師」が教える「7つの言い換え」の魔法』岡本純子著(東洋経済新報社)。

▶前回:自動的に富が増え続ける、たった3語の呪文『JUST KEEP BUYING』とは



会社で少しでも強く言うと、パワハラだと言われてしまう。部下に行動を改めてもらいたいが、どう言えばいいのかわからない…。

家でも、子どもが、親が、妻が、夫が、わかってくれない。そんなフラストレーションを抱える人が激増しているそうです。

今回紹介するのは、そんな「コミュニケーションクライシス」に陥っている人たちに向けた本です。

膨大なコミュニケーション研究に基づき導き出された世界水準の「7つの言い換えルール」。

このルールを使えば、驚くほど簡単に相手の行動や反応が変わります。

今回は、本書の中から抜粋して、職場で今すぐ使える2つルールを紹介します!


▼INDEX
1. コミュニケーションは「正解のある科学」

2. ルール1:「大きな言葉」を「小さな言葉」に、「抽象」を「具体」に

3. ルール2:「命令」を「提案」「お願い」「問いかけ」に変える

4. 本書のココがすごい!


1. コミュニケーションは「正解のある科学」


「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と心理学者アドラーは言いましたが、言い換えれば、人の悩みはほぼ「コミュニケーションの悩み」であるということ。

つまり、抱えている多くの問題は、コミュニケーションで解決できるわけです。

でも、その解き方を日本人はほとんど教わりません。

数学の方程式や現代文の読解、さらにはもはや誰も使わない千年以上前の言葉の使い方については学校でみっちり教えてもらえるのに、人生で最も重要なスキルである「話し方」「聞き方」「伝え方」「対話の仕方」などについて、教育を受ける機会はほとんどない。

私は、新聞記者、PRコンサルタントを経て、2014年に渡米し、ニューヨークでコミュニケーションの修行を積みました。

アメリカで学んでわかったのは、コミュニケーションは脳科学や心理学、人類学などから導き出された「正解」や「方程式」がしっかり存在する科学であるということ。

日本では「コミュニケーション力=生まれつきの才能」と思われがちですが、海外では多くの人が幼少期から学校で1から10まで学ぶスキルなのです。

最近とくによく聞こえてくるのが、「職場や家庭で、部下や子どもにどうやって伝えればいいのかわからない」という声です。

こうした悩みの背景には、いわゆる「上意下達」「トップダウン」で命令し、叱りつける、指導するといった、これまでのスタイルが機能しなくなっている現実があります。

冒頭でも述べましたが、今回は膨大なコミュニケーション研究に基づき導き出された、世界水準の「7つの言い換え」ルールから、職場で今すぐ使える2つのルールを紹介します。

ほぼ同じ意味なのに、ほんの少し伝え方を変えるだけで、驚くほど簡単に、相手の行動や反応が変わります。


2. ルール1:「大きな言葉」を「小さな言葉」に、「抽象」を「具体」に


職場で、ついこんなふうに声をかけていませんか。

・ちゃんと準備しておいて
・徹底的にやって
・早めにお願いします
・スピード感を持って
・業績を上げて
・自信を持って
・自分から動け
・責任感を持って

これらの言葉はどれも抽象的で、相手の頭の中にビジュアルなイメージがまったく浮かびません。

このように、言葉の指す範囲が広すぎて、実際に何を指すのかわらない「抽象的」もしくは「精神論的」な言葉は、その範囲を狭くして、具体的な言葉や方法を示すほうが、よっぽど伝わります。

次のように言葉を「小さく」「狭く」「具体化」すると、より相手にイメージが伝わりやすく行動してもらいやすくなります。



・ちゃんと準備しておいて
➠明日のプレゼン、お客様からの5つの条件がクリアできているか、もう一度、丁寧に確認してもらえる?

・徹底的にやって
➠1カ月の調査票のデータを、一から見直してくれる?

・早めにお願いします
➠明日の正午までにお願いします

・スピード感を持って
➠1ステージを1日で終わるくらいのスピード感で

・業績を上げて
➠10%アップが今月の目標です。10本ならあと1本増やすということです

・自信を持って
➠自信のある「ふり」、たとえば、肩を広げて、鳥居のように立つ。そんなことから始めてみよう

・自分から動け
➠顧客リストづくりから始めてみようか

・責任感を持って
➠◯◯さんだからこそ、この大切なプロジェクトを任せたい



アメリカでは、小学生のうちから「Don’t tell, Do show」(ただの言葉で片づけるな、相手の頭の中にくっきりとイメージを浮かばせる言葉を使え)、と徹底的に叩き込まれます。

日本人は、「ちゃんと」「しっかり」といった抽象的・精神論的表現が大好きですが、こうした「心構え」は、頭の中にクリアなイメージが湧く、具体的な「行動」に言い換えたほうが、人は格段に動きやすくなります。


範囲を絞り込んで、言葉を映像化する


言葉は絞り込むほど、ビビッドに痛烈に相手の記憶に映像を残します。

野菜➠三浦半島でとれたキャベツ
山➠雪をかぶった真冬の富士山
アイスクリーム➠新幹線で350円で売っている抹茶アイス
動物➠和歌山のアドベンチャーワールドのパンダ

どうでしょうか。「抽象的な言葉」を「具体的な言葉」に絞った途端に、絵が浮かぶようになりませんか。


3. ルール2: 「命令」を「提案」「お願い」「問いかけ」に変える


年功序列社会の日本では、年上・目上の人が、下の人に「命令・指示」をして、下の人は上の人に従い、「報告・連絡・相談」(ほうれんそう)をすべき、というトップダウンスタイルが基本でした。

しかし、令和の現代、こうした昭和型は、はっきり言って「超時代遅れ」です。

「上→下」ではなく「対等な立場」に立ち、相手を尊重するコミュニケーションがこれからのスタンダード。

上から目線の命令を、横からの目線の「提案」や「お願い」「問いかけ」に言い換えるだけで、相手はよっぽど動きやすくなります。



下記のつい言ってしまいがちなフレーズ、言い換えてみましょう。

・絶対遅れるな
・やる気を出せ!
・サボるんじゃない!

押し付け型の命令は、相手の反抗心に火をつけ、かえってこじらせてしまう副作用があるほか、子どもや部下が自ら考え、行動する力を奪ってしまいます。

「しつけ」や教育という名目の行き過ぎた支配は、長期的に見てなんのメリットもありません。

・絶対遅れるな
➠締め切りギリギリにならないようにしたいよね
・やる気を出せ!
➠なんでモチベーションが下がったのか教えてくれる?
・サボるんじゃない!
➠どこが難しいんだろう。どうしたらいいかな?

明らかに「命令」より「提案」のほうが、相手の行動を導きやすいのではないでしょうか。

部下の「ほうれんそう」を待つより、「提案」や「問いかけ」のクセをつけていきましょう。
職場でも、一方的に決めつける前に、落ち着いて、

・どうした?
・最近、仕事はどう?
・調子はどう?
・心配そうな顔をしているけど、何か困ってない?
・◯◯◯についてどう思う?

などといった声掛けから始めてみてください。



「命令型」は百周遅れ、令和の新しいリーダーシップ像とは


ここ最近、就任した新社長たちとお話しする中で、気づいたことがあります。

かつてのような「トップダウン型」「強権型」のリーダーは減り、「対話型」「共感型」のリーダーがとても増えているのです。

みなさん「話を聞くこと」や「対話」「チーム」を大事にしています。

サッカー日本代表の森保監督や、WBCで日本代表を率いた栗山監督なども「チーム重視」「全員がリーダー」と口にするように「共感・対話型」のリーダーシップを発揮していましたね。

「ダルビッシュさんは年下の選手にも同じ目線で話してくれています。そこで僕の意見を言って、またそれに対する意見をもらったりする」

千葉ロッテマリーンズの佐々木投手はこんなコメントをしていましたが、上下関係にこだわらず、フラットにコミュニケーションできるチームだったからこそ、最高の成績を残せたのではないでしょうか。

リーダーは「強権・教官型」から「共感型」へ。

これはグローバルの流れです。

実際にアップルのティム・クック、マイクロソフトのサティア・ナデラ、グーグルのサンダー・ピチャイなどは、まさに社員に寄り添い、背中を押す「共感」系リーダーの代表格。

イーロン・マスクのような例外もいますが、気がつくと、アメリカの企業リーダーはほとんどが「共感型」にシフトしています。

この潮流が日本にも押し寄せている、ということ。

とくに最近、職場で「心理的安全性」「エンゲージメント」が重要だなどとよく言われます。

心理的安全性とは、組織の中で、自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態を指します。

「エンゲージメント」とは、仕事や組織への愛着や、やる気などを意味しますが、日本ではどちらも絶望的に低い言葉問題視されてきました。

これらの「心理的安全性」や「エンゲージメント」などを実現するためにも対話力・共感力がますます重要になってきているということです。


4. 本書のココがすごい!


今回紹介した、『世界最高の伝え方:人間関係のモヤモヤ、ストレスがいっきに消える!「伝説の家庭教師」が教える「7つの言い換え」の魔法』のすごいところは下記に集約される。

①コミュニケーション力は、「才能ではなく、スキルだ」ということを明確に言っているので、コミュニケーション上手になれると自信がつく

②「7つの言い換えルール」が実践的で、家庭や職場どんな場面でも実践しやすいものになっている。

③「世界最高の伝え方」は、文章による伝え方にも応用できることがわかるくらい、引き込まれる文章、構成になっている。


【著者】 岡本純子

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション戦略研究家。

株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。英ケンブリッジ大学院国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。

読売新聞社に入社後、経済部記者として日本のトップリーダーを取材。アメリカでメディア研究に従事した後、企業経営者向けメディアトレーニング、プレゼンコーチングに携わる。

その後再び渡米し「グローバルリーダー」のコミュニケーション術を学ぶ。新聞記者時代に鍛えた「言語化力」「表現力」、PRコンサルタントとして得た「ブランディング」のノウハウ、アメリカで蓄積した「パフォーマンス力」「科学的知見」を融合し、独自の「コミュニケーション学」を確立。

現在は、日本を代表する大企業のリーダー、政治家など「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。著書に、シリーズ累計20万部を突破した『世界最高の話し方』『世界最高の雑談力』(共に東洋経済新報社)など。


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