今週のテーマは「美人なのになぜか二度目がない女。その理由は?」という質問。さて、その答えとは?

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マッチングアプリで出会った美咲と別れたあと、僕は、もう少し飲みたい気分だったので、近くにある行きつけのバーを目指した。

少し暖かくなってきた東京の夜風が気持ちいい。

すごく綺麗だったし、スタイルも素晴らしかった美咲。

でもそんなことよりも、僕の中もっと気になる部分があった。

「昔はきっとモテたんだろうな…」

今でも美咲は十分美しい。たしか今年で33歳くらいだったはずだけれど、年齢は一切関係ない。

ただ美咲のように、美人だけれどモテない女性は一定数いる。

何よりも残念なのは、彼女たちが“なぜ自分がモテないのか”、わかっていないことだ。


A1:外見だけに惑わされていて中身が見えていなかった


美咲とは、マッチングアプリを通じて出会った。

僕が4年付き合っていた彼女と別れ、かなり落ち込んでいたとき、同期からマッチングアプリを勧められた。

アプリに登録して驚いたのは、可愛い子が多いこと。そんな中、特に目を引いたのが美咲だった。

「すごい美人!」

そう思い、僕はすぐに“いいね”を押した。すると美咲からも反応があり、見事にマッチ。順調に話が進んで、土曜の昼過ぎに会うことになった。



最初に美咲を見た時、写真通りの美人で驚いた。てっきり、写真は加工しているのかと思っていたが、違ったようだ。

「初めまして、奏多です」
「初めまして美咲です」
「写真と全然変わらないですね…むしろお綺麗です」

美しい人を前にすると、テンションが上がるのは男の本能だ。

僕も、初対面の時、美咲が美人なので舞い上がっていた。

「本当に、美咲さんって綺麗ですね。よく言われると思いますが」
「いえいえ、そんな」
「お仕事は何をされているんですか?」
「私は美容クリニックの受付をしています」
「だから肌とかまでそんなに綺麗なんですね!」

最初は、軽い会話から始まった。しかし20分くらい経っても、美咲の口数は少ないまま。

― もしかして緊張しているのかな?

そう思ったので、僕は少し話を掘り下げてみることにした。



「美咲さんって、アプリを通じて何人とお会いしましたか?」
「…奏多さんで、2人目です」

― だからか。

まだ、多くの人と会っていないことで好感度が上がる。アプリでのデートに慣れていないことがわかったので、僕から話を振って一生懸命盛り上げようとした。

「そうなんですね。1人目の人はどうでしたか?」
「いい人だったんですけど、結局一度会ってお茶をして、それっきりでした」
「美咲さん、お綺麗だから絶対人気だろうなと思って。会ってくれてありがとうございます」
「こちらこそです。奏多さんも人気ですよね、絶対」
「いや、僕はどうなんですかね。でも真剣に出会いを探してます」

たしかに、登録して以来自分でも驚くほど“いいね”が来ている。でも、きっとそれは“商社マン・30代前半・独身”という、条件が良いからだと思う。

僕は、たくさんの人に会うより、一人ひとりとの出会いとご縁を大切にしたいタイプ。だから美咲と1時間ほどお茶をしたあと、次のデートにも誘うことにした。

「よければ、今度は食事しませんか?」
「はい、ぜひ♡」

こうして、次は夜デートをすることになった。しかしこの初デートでも、2回目のデートでも、美咲がモテない要素は存分に散りばめられていた…。


A2:会話のキャッチボールがまったくできない。


2回目のデートは恵比寿にある『酒家 の元』を予約した。

店内の照明は程よく抑えられて、雰囲気も良いし食事もお酒も美味しいので、喜んでもらえると思った。



今日の美咲は、黒のタートルネックにミニスカート、それにブーツを合わせていて、美脚がさらに際立っている。

「…美咲ちゃんって、本当に美人さんだよね」
「ありがとうございます」

こうして、美咲との二度目のデートが始まった。しかしデートを開始して数分後。僕は、あることに気がついた。

「美咲ちゃんって、食べ物だと何が好きなの?」
「私は、こういう感じの和食が好きです!」
「本当?よかった〜。じゃあ店選びは正解だった…ってことかな?」
「はい、そうですね♡」

一見、滞りなく会話が進んでいるように見える。会話の内容も問題ない。

でも「旬魚の酒蒸し 実山椒青葱油で」を食べながら、僕はこれまでの美咲との会話を振り返った。



初デートの時から、美咲からは何一つ質問されていない。

― あれ?これって僕が一方的に僕が質問しているだけで、美咲はそれに答えているだけ…?

家族の話題を振った時もそう。

「じゃあ美咲ちゃんは、ひとりっ子なの?」
「そうなんです。だから兄弟とか姉妹がいる人が羨ましくて」
「そっかー…」

普通、この会話をしたら「奏多さんは、兄弟がいるんですか?」となるはず。でも美咲は何も聞いてこない。

だから耐えられなくなって、自分から話を振ってしまう。

「僕、兄がいるんだけど。逆にひとりっ子が小さい頃は羨ましかったけどな」
「兄弟いるほうが楽しそうですけど」
「どうだろうね。まぁ兄貴のことは好きだけど」

その後、もちろん沈黙が待っている。僕が会話を始めない限り、美咲は何も言ってこない。

「美咲ちゃんは実家には帰るの?」
「年に1、回くらいですね」
「岐阜かぁ〜。ごめん、行ったことない(笑)」
「なんで謝るんですか(笑)岐阜、なかなか来る用事ないですよね」

そして僕は、推測した。

彼女は、きっと昔から綺麗でチヤホヤされてきたのだろう。だから自分から盛り上げるとか、話題を膨らますという発想がないのかもしれない。

デートでは、男性が盛り上げて当たり前。楽しませてくれて当たり前だと心のどこかで思っているに違いない。

だから質問もしてこないし、相手を盛り上げようという気遣いもない。

美咲も外見は素敵だし、悪い子ではないと思う。でも僕にとっては、楽しいどころか気疲れした時間だった。

― 仕事のクライアントでもないのに、なんでこんなに盛り上げて気疲れしているんだろう…。

そう思うと急に虚しくもなってきた。

しかもこういう子に限って、LINEのお礼や返事も遅い。

― 奏多:今日はありがとうございました!

“ないな”と思ったので、僕は解散直後にさっさと美咲にLINEを送った。しかし、美咲から返信が来たのは翌日の夕方だった。

― 美咲:こちらこそ、昨日はありがとうございました。

世の中には、綺麗な人や可愛い人はたくさんいる。

その中でも選ばれる女性は気遣いができて、最低限の会話のキャッチボールができる人だと思う。


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