TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月12日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の阪口采香さんが“配信の権利関係”について述べました。

◆オンライン文化祭、楽曲使用で権利関係は?

新型コロナウイルスの影響を受け、文化祭や体育祭など学校行事の様子をオンラインで配信したいという学校側のニーズが増加。音楽の著作権を管理するJASRAC(日本音楽著作権協会)によると特に文化祭では楽曲の演奏や合唱などが行われることから、オンライン配信に関連した問い合わせが大幅に増えているということです。

これまでも文化祭では演奏や合唱が行われていましたが、権利者の許可・使用料が必要だったかといえば、基本的には必要なし。「実演の場合に限るが、“営利目的ではない”、“観客から料金を取らない”、“実演家に報酬が支払われない”という場合は権利者の許可なく使うことができる」と阪口さんは解説。

ただし、営利目的かどうかの認定は厳しく、お金を取らないというだけではダメで、例えば何かのPRだったり、営利団体が関係していたりすると営利目的とみなされる可能性もあり、「慎重な判断が必要」と指摘。とはいえ、従来の学園祭はそれにあたらず、権利者の許可や使用料が発生しない側に属しているようです。

かたやオンライン配信は、原則的には権利者の許可・使用料が必要。

まず配信(=公衆に向けて送信)するには、「公衆送信権」という別の権利が絡んでくることから、原則として上記の3要素による免責が働かず、権利者、JASRACなどの管理者からの許諾が必要に。但し、JASRAC管理の楽曲の場合、YouTubeやニコニコ動画などJASRACと包括的な使用許可契約を結んでいるサイトに関しては、サイト側が権利の処理を行っているため「個人での許諾・使用料は不要」と阪口さん。

一方、CDの音源を使う場合は別問題で「CDを作っているレコード会社の権利問題も絡んでくるので、その場合にはレコード会社の許諾が必要」と注意を促します。

◆複雑でわかりづらい音楽の権利関係…

総じて阪口さんは、現状の配信権利関係は「非常に複雑で利用しづらい」と苦言を呈し、「もっと活発に利用できたほうが音楽文化の発展にとってはいい、もっと自由に利用できるようにするべき」と主張。とはいえ、全て自由に利用できるとなると、楽曲がお金儲けの手段にされ、アーティスト側が困ってしまうため、「悪質なものだけに罰則を与えるような形にすれば、バランスも取りやすいのでは」と言います。

そんな阪口さんの話を聞き、「これは大事な点」と関心を示すMCの堀潤。なぜなら韓国のK-POPが世界に広がったのは、こういった権利を緩くし、使いやすくしていたから。

また、弁護士の山岸久朗さんはInstagramの新機能“リール(Reels)”を引き合いに「アーティストによって権利意識の差がある」と指摘。というのも、一部の若いアーティストはみんなが使えるように続々と無料で使用を許可しているのに対し、そうではないアーティストも多いそうで、「著作権はお金儲けを禁止しているもので、僕らが無料で楽しむ分にはいいのではないか。その分その曲が世間に広がるなどいい効果もある」とメリットを挙げます。

阪口さんも同意しつつ、最後にアーティストとクリエイターの権利について言及。著作権上はアーティストと作詞家・作曲家・演奏家・実演家などのクリエイターの権利は分けているそうで、「クリエイター側の権利は保護が手厚いが、アーティスト側はまだまだ薄い部分があるので、その辺も制度改革して高めていってほしい」と望んでいました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross