TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。7月29日(金)放送の「モニフラZ議会」では、全国初の交通税導入に関して、さらにはローカル線の未来について、Z世代の論客が議論しました。

◆ローカル線が赤字により廃線の危機に

JR東日本が初めて公表した収支によると、対象となった35路線66区間の全てが赤字。ローカル線は今、存続か廃線かの岐路に立たされています。

そんななか、滋賀県ではローカル線・近江鉄道を守るべく、全国初の「交通税」導入の検討を開始。県民からは賛否の声があがっています。

近江鉄道は、そもそもコロナ禍前から28年連続赤字で、利用者負担だけで維持するのは困難です。しかし、廃線にした場合、県民のアンケートでは31.7%が「通学できない」という声があり、必要性があるのは確か。そうした背景から維持費を賄うべく、新たな税負担が必要となっているわけですが、交通税のデメリットとしては県民の負担が増えることに加え、利用者と非利用者の不公平感が出ることなどが挙げられます。

アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは、この問題に対し「全体として廃線の流れは仕方ない」と見解を示します。というのも、地方に行くと電車よりもバスや車のほうが、利便性が高いから。「それは当たり前のことで鉄道は明治時代に作ったもの、高速道路は昭和・平成・令和に作ったもの。技術は全然違う」と指摘しつつ、ただし近江鉄道は必要とする声もあり「残したほうがいい。税金という手段もやむを得ない」とも。

生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんも「公共交通機関は一番脆弱な立場にある方が使うもので、例えば運転ができなくなってしまった高齢者や学生。本当に必要なもの」と鉄道の必要性を訴えます。

その上で「単に増税するのではなく、どういう街づくりをし、列車を活用していくのかというビジョンを示した上での増税であれば、私は致し方ないと思う」と語り、「税金が取られているなら、使おうという気持ちになるかもしれない。それで車の利用が減り、環境問題にもつながれば」と期待します。

一方、慶應ビジネススクール2年(MBA)の池田颯さんは「交通税ということで話題になっているが、そもそも税金は全て同じ」と持論を展開。税金は必要なところに使われ、みんなで負担していくものなので、「こうした議論が大切」とさらなる議論を求めます。

ここで阿部さんは、ひとつの論点に言及。交通税が導入されれば、滋賀県は全ての県民から税金を徴収することになるが、近江鉄道があるのは県の東側で、西側に住む人はあまり使わないこと。「どうしても不公平感が出てしまうので、それをどうしていくのか。それが問題の根本であり、今後挙がってくるであろう課題」と案じます。

また、阿部さんによると近江鉄道存続のために滋賀県が出すお金は3億円だそうで、同県には近江鉄道以外にも赤字ローカル線はあり、それはどうするのか。さらには、「そもそも3億円という負担を県民が請け負うことができるのか」と阿部さんは危惧。

街頭の声を聞いてみると「必要としている人がいるが民間企業で賄えないのであれば税金を使うべき」(19歳 学生)、「必要な人は増額しても利用する。増額するしかない」(24歳 会社員)、「使う人と使わない人で税率を変えるのが良い」(23歳 会社員)、「無料シャトルバスの活用やお年寄りを送迎してくれるような会社などがもっとあれば良い」(29歳 会社員)など賛否両論ありました。

キャスターの堀潤曰く、北海道の十勝地域でも過去にローカル線が廃線になりましたが、現在は無人の自動運転バスを走らせ、実証実験などを進めているそう。

そうした代替案もありますが、阿部さんからは「近江鉄道も仮に線路を全て道路にし、その上にBRT(Bus Rapid Transit)、バスを走らせることも検討されているが、そのほうが赤字が増える」との指摘も。そのほかにも運転手確保が困難なことなど、さまざまな問題があるそうです。

◆重要なのは誰が必要としているのか

ローカル線存続に向けて、現在、さまざまな動きが起こっています。まずは国が主導する協議会の設置。そこでは利用促進策やバスへの転換の可否などが検討されていきます。

それに先駆け、富山市では2006年に廃線となったJR富山港線を使ってLRT(次世代型路面電車)を運営。4つの新しい駅を作り、運行本数を増やしたことで1日あたりの利用者は2.2倍に増えたとか。

野村総研に地域に鉄道が必要な場合どうすればいいのか聞いたところ、公的資金を入れて利便性を高めることや自動運転への切り替えでコストを見直すこと。さらには、高校を駅前に作るなど鉄道が使われる街づくりなどを挙げていました。

キャスターの田中陽南からは「電車はその地域の人たちだけが担わないといけないものでもないのかなと思う。ファンもいるし、全国からもっと(資金を)募る計画を考えるべきなのでは」と声が。

これに谷口さんも同意し、クラウドファンディングやふるさと納税の活用を提案します。また、「税金を投入するのであれば、それをベースにした地域を作っていくのが大事」とも。

例えば、都営の公共交通機関では障害者手帳を持っている方は無料で使えますが「そうしたところまで含めた公共政策としての鉄道というのを考えないといけない」と主張します。

総じて、最後にZ議会を代表し、阿部さんが提言を発表。それは「使わなきゃいけない人は誰かを考える」。

阿部さんは「これがこの問題で一番大事なことであり、今回の場合は高校生。彼らが不都合に置かれてしまうのは、最も避けないといけない。彼らをどうするのか、それを最優先に考えながら、税金のあり方を考えてもらいたい」と訴えると、谷口さんも賛同し「誰が一番困るのかに焦点を当て、そういう人たちを含めたディスカッションができれば」と望みます。

堀も「維持するか、後退するかという話になりがちだが、そもそももっと潤うような何かが生まれればいいが、そこがなかなか見つからない」と惜しんでいると、阿部さんは「それこそ自動運転の特区にするのはいいアイデア」と言及。谷口さんからは「高校の問題で言えば、例えば高齢者施設と一緒にし、路線がひとつになるとかそういうのもいいかなと思う」と新たなアイデアも生まれていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag