TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月20日(月・祝)放送の「フラトピ!」は、特別編としてお届け。自民党外交部会長の佐藤正久参議院議員を迎え、“アフガニスタン情勢”について議論しました。

◆アフガニスタンへの自衛隊派遣は決断が遅かった!?

タリバンがアフガニスタンの政権を掌握し約1ヵ月。その間、日本は自衛隊を派遣し現地の日本人を退避させましたが、佐藤議員は「自衛隊派遣については否定的な意見はほぼなく、むしろ遅いという意見が多かったことに時代の変化を感じた」と言います。というのも、ひと昔前であれば海外に自衛隊を派遣するとなると多くの批判があったから。

そして、「遅い」と言われた派遣のタイミングに関しては「決断が遅かったという部分はある」と認め、「日本人が反省しなければいけないところ」として現地にいる方々に対する思いが他国に比べて希薄であると指摘。今回は命の危険性があるということで、結果的におよそ500人を日本に運び、その後は日本に残るか、第三国に行くかを確認する段取りを組んでいたものの「残念ながらタリバンの侵攻が数日早く、その計画は頓挫した」と佐藤議員。

アフガニスタンの近年の流れを振り返ると、旧タリバン政権が統治し内戦が続くなか、2001年に「米同時多発テロ事件」が発生。アメリカは国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディンを首謀者と断定し、彼を匿ったとされるアフガニスタンに報復を行い、旧タリバン政権は崩壊。2011年にはアメリカがビンラディンの殺害を発表します。そして、10年後となる今年、駐留アメリカ軍の完全撤退を表明。タリバンが再び政権を握り、いかに命の危険があるアフガニスタンの人たちを国外退避させるのか、各国でその対応が分かれています。

◆民主主義は失われた…揺れるアフガニスタン

今回、番組では前アフガニスタン駐日大使のバシール・モハバットさんにインタビューを敢行。まずはタリバン政権樹立による変化を聞いてみると「民主主義が失われた」と明言。そして「人権の問題、女性へのリスペクト、言論・マスコミの自由に加え、音楽を聴くなど当たり前の自由もできなくなる。それこそ地獄そのもの」とモハバットさんは顔をしかめます。

なかでも問題視されているのが女性権利の抑圧で、「もはや宗教ではない。インドネシアからモロッコまで全てイスラム諸国だが、どこにもそんな国はない。女性は立派に仕事をしているし、勉強もファッションも自由」と嘆くモハバットさん。

現地の人々の多くはタリバン政府に不満を抱き、一部の人は恐怖で家に閉じこもり、一方で国外に退避する人も後を絶たないとか。そして、今後どうなるのか「いろいろな意味で心配」と案じます。

現状、最高指導者のアクンザダ師は「少数派や貧しい人々の人権を真剣に守る」、「イスラム法の枠内で健全で安全な教育環境を提供する義務がある」としていますが、実態は閣僚に女性は含まれず、治安を管理する内務大臣にはアメリカがテロ指定する最強硬派の指導者が就任。そして、旧政権で女性を抑圧した勧善懲悪省が復活しています。また、学校が再開されるも、そこに女性児童の姿はなかったとも。

◆韓国は無事退避、日本はなぜ自衛隊派遣が遅れたのか?

慶應義塾大学 総合政策学部4年の阿部将貴さんは「人権が侵害され、男女差別もあり、これは本当に由々しき事態」と心を痛め、「日本に逃げたいと希望している人を積極的かつ迅速に受け入れるべき」と主張。

すると、佐藤議員は「アフガニスタンの人権問題は非常に深刻」と危惧し、現在は日本だけでなくG7、国連も含めて支援の方向だと言います。さらに、現地にはまだ多くの関係者が残され、その救出に向けてカタール・ドーハにあるタリバン事務所と調整しているそう。また、今回は安全性を担保することで自衛隊機の派遣が可能となりましたが、問題はアフガニスタン国内における空港までの輸送で「土地感もない状況で自衛隊がやるには議論が必要。アメリカ軍もイギリス軍もやっていない」と頭を悩ませます。

これまでの経緯は、8月15日にタリバンが首都カブールを制圧し、17日には日本人大使館職員12人が英軍機で脱出。そして、23日に岸防衛大臣が自衛隊機の派遣命令を出したものの、26日にカブール国際空港付近で自爆テロが発生しました。

では日本以外の国はどうだったかと言えば、韓国はアフガン人職員ら390人が無事に退避。日本ももっと自衛隊派遣の判断が早ければと叫ばれていますが、遅れた要因について佐藤議員は情報が不十分だったことに加え、「政府の躊躇があった」と吐露。「韓国政府は15日に派遣を決定しているが、自衛隊はその1週間後。この差は大きい」と悔しさを露わにします。そして、その責任は首相でなく政府全体にあるとし「外務省から防衛省に要請しないと自衛隊は動けない。要請があったのは20日で23日の派遣命令なので、それ自体は遅くはなかった。外務省からの要請が遅れたことが大きい」と私見を述べます。

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、判断の遅れの背景には「自衛隊のあり方があるのでは」と示唆し、さらには自衛隊法の問題点を提起。今回の件に関して、アフガニスタン政府の同意など状況が整わなければ動けない自衛隊法「第84条の3」と安全性さえ担保されれば輸送は是とする「第84条の4」のどちらでいくのか、その判断が難しかったのではないかと推察します。

これに佐藤議員は「自衛隊機を隣国に派遣しておけば状況は全然違った。まさに言われた通りの部分はあったと思う」と言います。そして、他国と異なる日本の問題点、今後の課題を提示。それは大使館員やJICAスタッフとその家族などは退避したものの、日本企業の現地職員やODA、NGOで働く人、さらには日本で民主主義を学び、アフガニスタン政府で働いていた人などは優先度が低く救出できなかったこと。他国ではそういった人たちもカバーしているとあって「そこまで考えないといけない。これが次の課題」と佐藤議員。

◆常に自衛隊が使えるように…法改正と国民の意識改革を!

阿部さんからはさらなる提言も。「自衛隊は安全地帯でしか活動できないのが問題。日本人の命を守るという意味でもリスクを冒していいんじゃないか」と訴えます。佐藤議員もそこは吟味しているようで「確かに自衛隊法では条件がある。もう少し運用に幅を持たせる法改正が必要」との見解を示します。

一方、由井さんからは「緊急事態に自衛隊はいかに対応するのかが一番の問題。法改正も然り、改めて議論しなければいけない」との声が上がり、さらには今回の輸送に関して陸路の活用はできなかったのかとの質問も。

佐藤議員はまず、今回は自衛隊の活動地域が空港のなかに限られていたと説明し、自衛隊法上は安全が担保されれば陸上輸送も可能と言います。そしてその際、武器の使用は「第84条の4」では正当防衛や緊急避難などに限られ、「第84条の3」では任務遂行上必要であればと格上げされるだけに、後者のような形での陸上輸送が望ましいとも。

かつて日本では海外への自衛隊派遣はタブーとされ、多くの反対がありましたが、今では誰も文句を言わなくなるなど、国民の間でも徐々に意識は変化しています。そんななかで佐藤議員は「自衛隊法の改正、条件緩和を議論するのは国会議員の仕事であり、これを国民に説明するのも我々の仕事」と主張。

最後に自衛隊はどんな組織であるべきか伺うと「いざというときのために運用できる体制にしないといけない。要は国民のなかに自衛隊は使っていいもの、使うべきだという意識を上げる努力を我々政治家がやるべき」と力説。そして、「“国民の防衛意識を超える防衛力は作れない”という言葉があり、国民の代表が我々政治家。国防が不十分であることを国民のせいにはできないので、我々から発信していくことが大事」と語ります。

また、アフガニスタンに残された人たちについては、外務省とともに退避に向け動いていると佐藤議員。さらに、命からがら陸路で脱出した人たちの救助を命じ、すでに10名がそうして帰国したそう。ただ「メインは空路での脱出、他国と力を合わせて救っていきたい」と展望を述べます。佐藤議員によると、タリバンは今、何よりお金を求めていて、現地に残された人はある意味、人質のように思っている節もあると言い、「多くの国と連携することでその壁を打ち破ることが大事」と今後の方向性を示していました。

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