TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月8日(水)放送の「フラトピ!」では、“子ども・若者の自殺対策”についてキャスターの田中陽南が取材しました。

◆小中高生の自殺者数が過去最多…上半期は上回るペースに

今回、田中が訪れたのは、この日コメンテーターZとして出演する大空幸星さんが理事長を務めるNPO法人「あなたのいばしょ」。ここは365日24時間、オンラインでチャット相談ができるサポートを行っています。

夏休み明け間近の8月下旬には相談が殺到。少なくても1日700件以上、多いときは1,000件を超えることもあるそうで、大空さんは「新学期が始まると、学校に行きたくないという子どもからの相談がかなり増えつつある」と言います。

小中高生の自殺は年々増加。コロナ禍の影響が指摘された2020年は年間499人と過去最多を記録し、さらに今年上半期は236人と昨年を上回るペースに。

田中の取材中にも、いじめと虐待被害に悩む10代からの相談が。学校にも家庭にも居場所がなく、頼れる相手がいないと「あなたのいばしょ」に連絡してきたそうで、大空さんは「あらゆる世代がコロナ禍で問題を抱えている。特にコロナ禍が長引くということは、すなわちステイホームが長引くので、DVや虐待、家が安全ではない人たちからの相談が増えている。それが深刻な問題」と危惧。

件の10代の相談者に対しては行政に連絡し、支援を要請。大空さんは「子ども、若者たちは心の拠り所や逃げ場がないという問題がある、我々のところに助けを求めにきてもらいたい」と希求。

こうした相談を受ける大空さん自身、過去には家族の問題に苦しみ学校に行けない時期もあり、自死を考えたこともあるとか。しかし、「僕は偶然高校3年間同じ担任の先生で、その人に出会って助けてもらった」と明かします。そうした経験から誰でも悩みを抱えたときに確実に頼れる場所を作りたいと「あなたのいばしょ」を立ち上げた経緯を語ります。

◆居場所がない子ども・若者たちをサポート、心の拠り所を提供

さまざまな事情で居場所を確保できない子どもたちのため、食事や受け入れの場をサポートする団体もあります。東京都調布市にあるNPO法人 青少年の居場所「Kiitos」では、生きづらさを抱えた若者を支援しようと、12年前から誰でも、いつ来てもいいという居場所を提供。中学生から社会人まで心に傷を抱えたさまざまな世代が訪れています。

代表の白旗さんは「機能不全家族というか、そういう子どもたちが多い。家に居場所がない、学校でも受け入れてもらえない、そういう子どもたちがここに来ている」と言います。

Kiitosはボランティアの協力で運営され、居場所の他にも手作りの昼食と夕食を提供。なぜなら「食事には不思議な力があり、楽しく食事をしているとおしゃべりが弾むのと一緒で、自分が知らない間に開放されていたりする」と白旗さん。

現在はコロナ禍のため会話は最小限となっていますが、みんなで食事をとることで心を開くきっかけに。ほぼ毎日Kiitosに来ている20代の男性は「ご飯がちゃんと食べられる場所があるのはとても助かっている。ここに来ると少しだけ自分を出せるというか、無理に笑う必要も喋る必要もなく、自分にとっては心の拠り所」と感謝の言葉を口にします。

また、学生時代に通っていたという20代の女性は「ここがなかったら今、私は生きていない。ここがなかったら、育児を頑張ろうとも思えなかった。その勇気や決断するきっかけをくれたのは、Kiitos」と振り返ります。「帰ってきていいよ」という言葉に救われ、さらには「帰ってきたときに甘やかすだけではなく、怒るところは怒ってくれるし、反応も言葉も全部が私の生きる糧」とKiitosへの思いを明かしました。

◆相談を受け止める現場の声…行政・政治は具体的な支援策を

「あなたのいばしょ」には9月に入っても毎日1,000件以上の相談が寄せられているそうで、その数は昨年に比べ倍以上。そんな現状に、大空さんは「支援者側のメンタルをいかに維持していくかが重要」と案じます。

「日々、死にたいという相談を受け続けることはしんどいので、そこのサポートを優先している」と現場のリアルな声を伝えます。

また、Kiitosについては「本当に素晴らしいと思う」と称賛し、「いつでも頼っていい、いつでも自分のことを受け止めてくれる場所があることは大事。僕にとってはそれが先生だったが、Kiitosのような場所があることで多くの命が救われている」と敬慕。

そして、大空さんはこうしたサポートは行政がやるべきではないと明言します。なぜなら、行政・政治には任せていられないから。「NPOや民間がやっていい。ただ、そこに対してしっかりとサポートするのは行政の責任であり役割」と指摘し、「おそらくKiitosもいろいろと足りていないことはあると思う。行政に対して求めたいこともあると思う。行政・政治はそれを受け取り、具体的な支援策に繋げていくことが一番必要」と訴えます。

日本財団による調査では「本気で自殺を考えたことがあるか?」という質問に対し、15〜19歳のおよそ3人に1人が「ある」と回答。その理由として最も多かったのは、いじめなど学校に関わる問題で6割以上。次いで家族の問題、病気や心身の悩みでした。

また、厚生労働省作成の警察庁の統計データによると、コロナ前は自殺者数が減少傾向にあるなかでも19歳以下の若年層は横ばいか微増となり問題視されていました。そして、2020年になって自殺者が急増。大空さんはこうした状況を異様な状況と指摘し、「あらゆる支援策が効いていない可能性がある」と懸念します。

というのも、子どもや若者から相談を受けるなかで周りに人がいる・いないはほぼ関係なく、いたとしても頼れない状況があると言い、「支援策は客観的に把握可能な状況に基づき行政が制度を作っており、友達や家族がいれば大丈夫だろうと思っているが、実際はそうした人がいても相談できないという問題がある。それが重要」と大空さんは強く主張。

◆頼ることは負けじゃない…スティグマをなくそう!

さらに今行うべきこととして、大空さんは「スティグマをなくそう」と提案。「スティグマとは負の烙印、汚名などと言われるが、要は頼ることが恥ずかしい、頼ることが負けだというような感覚」と補足します。

日本はこの30年間でスクールカウンセラーの配置箇所を300倍に増加。現在は3万ヵ所以上あるものの、その間にも小中高生の自殺者数は3.5倍に増えています。これはスクールカウンセラーに責任があるわけではなく、「スクールカウンセラーのもとに行っていることが友達に見られたら恥ずかしい、頼ることが負けだと思ってしまっている」と大空さん。スクールカウンセラーや相談窓口など受け皿を拡充することも大事である一方で、それ以前にそうしたところに行けない、頼れない人がいることを考えなければいけないと言います。そして行政も「スティグマを社会全体でなくしていくという強い政策を推し進めていかなくてはいけない」と力説。

フリーアナウンサーの鈴木杏花さんも「自分から言いに行くことはすごく勇気が必要だと思うので、少しでも当事者が行きたい気持ちに傾くように、周りの人も自分から声をかけたりできれば」と言います。そして、スティグマを社会からなくすためにも「経験がある人や実体験がある人はシェアし、より話しやすい社会作りをしている必要がある」と述べます。

最後に、キャスターの堀潤は、「今、苦しくてつらくて悲しい思いをして“死にたい……”と考えている人がいたら、ぜひNPO法人『あなたのいばしょ』を頼ってみてほしい」と呼びかけました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag