TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、女性初の杉並区長に就任した岸本聡子区長を迎え、“市民参加政治の進め方”について、Z世代の論客と議論しました。

◆区民との対話を強調し“さとこビジョン”を公開

今年7月の就任会見で「区民の声や思いをより意識的に聞き、対話と理解を深めたい」と区民との対話を強調し、自身の指針“さとこビジョン”を掲げ、区政に邁進している岸本区長。このさとこビジョンに関しては、岸本区長の就任前から区の職員が着々と仕分けを進め、先日その経過がWebサイト上で公開されました。

岸本区長の取り組みを具体的に見てみると、すでに「まちづくり基本方針骨子案に区民の意見を募集」、「『聴っくオフ・ミーティング』など区民との対話集会の開催」などを実施。そして、「気候市民会議」や「住民参加型予算の導入」などを検討中。

また、杉並区長選挙における争点のひとつでもあった区内の児童館再編計画に関し、一部を廃止していく動きがありましたが、岸本区長は公約で以前と同数に拡充するとしており「廃止の方向を変えたい。区民の話を聞いてしっかり考える」と表明しています。

そんな岸本区長に対し、microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんからは「政治の進め方」についての質問が。ビジネスでは優先順位を決め集中投資、さらには意思決定権限の分散化などが定石ですが、政治においてはどうなのか。渋谷さんは「多様な意見を聞きながら最終意思決定をするのはかなりハードルが高い」、「区や都、国というレベルになってくると、ひとりで意思決定は無理。そうしたなかでの意思決定はどうしているのか」と尋ねます。

これに岸本区長は、過去にNGOや市民組織で活動していた頃は「やりたいことをやりたいときにやるのが基本だった」と振り返り、「今は区民からもらっているお金をどのように、いつ使うかという責任が発生しているなか、時代の先を読まないといけないという政治的な判断もあり、その組み合わせが本当に難しい」と実感を語ります。

◆幅広く意見を聞くために心がけていることとは?

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんからは、オープンな会議を企画しても、集まるのはそのテーマに関心がある人のみで若者はほぼ来ないなど、参加者が限られてしまう現状があるとし、「公正”かつ“広く”意見を聞く方法を、どう作っていくのか」という質問が。

岸本区長は、「くじびき民主主義」と「多様なチャンネル」と返答。前者は、例えば気候変動問題についてなど、無作為抽出で選ばれた区民のなかで参加可能な方々と一緒に学び提案していくもの。後者は、「聴っくオフ・ミーティング」と題し、岸本区長が区民からもっと意見を聞きたいテーマについて、区民と対話する集会を開催。就任以降、これまで2回開催され、「杉並らしい子どもの居場所」、「人と環境にやさしいまちづくり 自転車に乗りやすいまち」というテーマで、区民と直接意見を交わしました。

このように、無作為抽出と意見したい人のふたつを軸に、新たな方法を模索していると説明。

アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは、国際NGOでの活動経験のある岸本区長に「国際開発では“参加型開発”といったこともあるが、そうしたことを参考にされて政治にも取り入れているのでしょうか?」と問いかけると、岸本区長は「おっしゃる通り」と頷き、「(規模が)大きかろうが小さかろうが(大事なのは)チーム」と主張します。

対して阿部さんは「国際開発では、参加型開発にも是非がある。例えば(首長が)岸本区長だからできるが、(この先)岸本区長でなくなったときにそれが定着するかわからない。これをどう定着させ、どういうふうにやっていきたいですか?」とさらに質問。すると「やはり仕組みを作らないといけない」と岸本区長。さらに「区民が参加するチャンネル、恒常的なものを作っていくことが重要」とも。

キャスターの堀潤は、岸本区長の「杉並区政を民主主義の学校にしたい」という言葉が印象に残っているとし、「有権者であり、参加者である私たちもいろいろな参加の仕方があることを知ったほうがいい」と述べます。

番組Twitterの「スペース機能」に参加していた、知的障害児を育てているという視聴者からは、子どもの居場所づくりについて、「児童館など多くの公共の場所は健常の子どもたちを念頭に設計されていて、障害を持っている子どもたちには不都合がある場合もある。障害を持つ子どもたちはどのように参加していけばいいのか?」という質問が。

この声に岸本区長は「今の大きな課題」と頷きつつ、「これまで杉並区には障害のある子どもとそうではない子どもが一緒に学ぶ取り組みが数多くあった。今まで培ってきた経験やみなさんの力を活かし、それを守っていくと同時に広げていく」と明言。学校教育だけでなく児童館での活動も含め、統合教育をしていく考えを明かします。

なお、さとこビジョンにも「誰もが暮らしやすい地域を目指す」とあり、障害者に対しても「知的障がい者・身体障がい者・精神障がい者を分け隔てなく一貫して支援し、例えば移動支援については現在障がい者レベル1までの支援をレベル2まで拡大し、必要な人がサービスを利用できるようにします」と明記され、保健福祉部も「すでにやっている」の「D」と判定されています。

岸本区長は、区長になって実は区が取り組んでいたことを知ったという案件が多々あり、障害者への移動支援拡大がまさにそうで、「そういうことを含めてたくさん勉強させてもらった」、「区民としての視点は実は全然見えていない」と言及。これからは「(そうしたことを区民に)見せていかないといけない」と喫緊の課題を挙げます。

◆大切なのは情報の公開、区政の透明化

さらに、杉並区民からは阿佐ケ谷駅北東地区の再開発に関する要望も。「商業施設の全体像が見えてこない。中途半端だと寂れていってしまう」といった懸念や「下町感は残してほしい。あまり新しくなるのもちょっと寂しい」という意見もありました。

この再開発の目的は、「防災性・安全性の向上」に加え、「賑わいや医療など都市機能の強化」がありますが、「反対意見が強くある場合は、計画を見直す」と岸本区長。一方で、担当者は区議会の答弁で「地域の問題解決のため重要な事業であり、進める必要がある」としています。

岸本区長は「杉並区民はとても地域に愛がある。みんなここはどうなっていくのかさまざまな意見があるが、愛があることが重要で、今後どうなっていくのかの情報をしっかりと出していく。そしてその議論の場を作っていくことが、特に北東地区に関しては大切だと思っている」と力強く語ります。

とはいえ、すでに開発が進み、もしものときには利害関係など大きな問題が考えられますが、阿部さんは「政治家の役割は、優先順位を決めること」と指摘。そして、「時に泣いてもらわないといけない決断をしなければいけないこともある。そういう覚悟がおありなのか、聞いてみたい」と問いかけると「まさにそれに応えていかないといけない」と岸本区長。

阿佐ケ谷駅北東地区の再開発についてはすでに議論を重ね、議会からの賛意を得ており、全てをひっくり返すことはできないものの「それを今、開いていくことが重要」と区政の透明化を示唆。さらに岸本区長は「その上で新しい課題、気候変動のような課題を考えたときに“まちづくり”はどうなのか(区民に)問うていきたい」と自身の考えを述べていました。

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