TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。2月3日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」では、政策コンサルタントの室伏謙一さんが“銀行法改正の問題点”について述べました。

◆菅政権が推し進める2つの法案

金融庁は、銀行が融資などの本業とは別の分野で稼げるよう、業務範囲の拡大を認める方針です。主に地方銀行による活用を期待しているとのことです。

室伏さんが注視する「菅政権のショック・ドクトリン法案の本丸」は2つ。1つは「産業競争力強化法案の一部を改正する等の法律案」。これは菅首相が就任当初から推していた中小企業の再編に関することで、室伏さんは「淘汰のための法律」と厳しく非難します。

この法律案のなかには「中小企業等経営強化法」をはじめ、さまざまな改正案が含まれており、その趣旨は「中小企業から中堅企業への成長促進」。生産性を上げるために中小企業を大きくしようと、菅首相が以前から提唱していたことですが、室伏さんは「それはウソ話」と指摘。そして、「(この法律案は)要するにM&Aのための支援措置を作っている」と解説。実際、中小企業庁ではM&Aビジネスを推進する研究会が立ち上がり、「中小企業を大きくする、成長のためにM&Aが必要という話をしている」と言います。

◆銀行法の改正で想定される負の連鎖

2つ目は「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(仮称)」で、「要は『銀行法等の一部を改正する法律案』」と室伏さん。

これもかなり多岐に渡るそうで、ポイントは「銀行業務の範囲の規制の見直し」で、その意味は「融資ではなく出資の範囲を拡大すること」。それにより銀行が地域の中小企業の経営に参加したり、やもすれば経営権を奪うことも可能になると説明。

しかし、その後どうなるかといえば、銀行は短期主義的ですぐに現金化しようとするため、経営権を握った会社を外資などに売り飛ばすことが予想され、室伏さんは「中小企業、ものづくりの現場で長時間かけて研究開発するのが困難になる」と危惧。また、日本の中小企業の問題点の1つに「事業承継」があり、経済産業省はその解決策としてもM&Aを考えていたとか。

MCの堀潤もまさに外資による買い漁りを恐れていたようで、その防御策を懸念すると、室伏さんは現状ではガードする手段は「ない」と断言。そして、「結局、株主資本主義が上場企業に配当増を要求し、配当のために人件費や投資がカットされている」と問題点を提起します。

事実、この30年間で人件費も投資も伸びていないものの経常利益は伸び、配当は6倍になっており、「つまり、設備投資をせずに技術を買ってくるとなるとM&Aになってしまう」と室伏さん。

一方、買収された中小企業は、人員削減はもちろん、買収した側が無駄と判断すれば切り捨てられる事業もあるだけに、室伏さんは「実はそういうものが有機的にあるからこそ中小企業はうまくいっている」と悔やみ、さらには「雇用が失われるということは地域の消費も小さくなり、地域も衰退していく」と負の連鎖を指摘。配当のために会社や事業が売却され、地域の産業やものづくりの現場が失われることにも繋がるだけに、室伏さんは「だからこの法律は絶対に止めなければならない。ほとんど報道されていないが、ぜひ注目し、議論していただければ」と強く訴えていました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross