TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。11月22日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、政府が決定した“55.7兆円の経済対策”について深掘りしました。

◆子ども1人あたり10万円の給付…所得制限は必要か!?

政府は11月19日、財政支出で過去最大55.7兆円規模の経済対策を決定。その中身は、まず「新型コロナ感染拡大防止」に22.1兆円。そこには医療体制の強化や事業者・困窮者支援などが盛り込まれます。そして、9.2兆円の「社会経済活動の再開と危機への備え」には、Go To トラベル再開などがあたり、看護師や介護士、保育士の賃上げなどを含む「“新しい資本主義”の起動」に19.8兆円。また、「防災・減災 国土強靭化」に4.6兆円としています。

これに対し、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、前年度の補正予算の未執行分が約20兆円あるため、今回の実質的な予算としては“過去最大”というほどのものでなく、「財政出動派も緊縮派も両方不満の“中途半端な規模”になっている。岸田さんがいろいろな人の声を聞きすぎた結果ではないか」と率直な印象を語ります。

そして、大空さんが注目すべきは“給付”で、「所得制限を設けるのはナンセンス」と明言。昨年、特別定額給付金として10万円を給付した際の効果検証も済んでいないなか、今回の政策は「妥当なのか考えなくてはならない」と疑問を呈し、「所得制限をなくして全国民に配る。なんらかの所得制限が必要とあれば、事後課税すればいいだけの話」と力説します。

というのも、DVや虐待などの問題が起きている家庭では「世帯主に給付したところで本当に支援が必要としている人には届かない」と指摘。実際、昨年の給付時もそれが問題として挙がっていただけに、それが改善されなかったことを悔みます。

今回の給付については、子ども1人あたり10万円相当(現金5万円と子育て関連商品などに使える5万円分のクーポン)の給付。そして、住民税非課税世帯へも10万円。さらには1人あたり最大で2万円相当のマイナポイントの給付があり、売り上げが減った中小企業に最大250万円などが給付されます。

しかし、子どもへの給付には条件があり、主たる生計者の所得制限が960万円。例えば、1人で970万円の収入がある家庭は対象外で、年収950万円の収入がある人が2人の世帯収入1,900万円の家庭は給付の対象となり、これを問題視する声も少なくありません。

キャスターの堀潤は「世帯ではなく、必要な子どもの数だけ支給できればいいと思う」と見解を示します。

こうした給付の在り方について、岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんは「人によっては今10万円もらえることが助けになるので、これはこれで大事」としつつ、「ただ、それは一時的なもの、初動で、本当に大切なのは子どもたちにいかにして10万円を稼げるか、その方法を教えてあげること」と言います。あくまで給付金は急場しのぎであり、自力で10万円を稼げる人になる支援を考えるべきと主張します。

◆観光地が熱望するGo To トラベル再開、前回との違いは?

来年1月下旬から2月上旬に再開を予定している「Go To トラベル」に関しては、前回は旅行代上限14,000円と地域共通クーポンの上限6,000円の支援でしたが、今回は移動費込みのパック旅行の場合は、上限10,000円で宿泊のみは上限7,000円。地域共通クーポンも平日3,000円、休日は1,000円となり、平日と休日に人が分散することを見込んでいます。

ここには前回の課題を改善しようという意思が感じられますが、大空さんは観光地の人たちはGo To トラベルの再開を心待ちにしていると代弁。少しずつ観光客が戻ってきているとはいえ、コロナ前に比べればまだまだで、なおかつインバウンドもないのが現状のため、「国内の需要を喚起していくことは必要」と断言します。コロナ禍で苦しむ観光業の方々を鑑み、感染症対策と同量の熱量を持って「経済対策に取り組まなければいけない」と訴えます。

一方、鈴木さんは、昨今大きな問題となっている原油価格の高騰がGo To トラベルとバッティングしないか、「せっかくのキャンペーンを削いでいくような動きにならなければいいと思う」と案じます。

◆保育士・介護士、看護師の賃上げ…その姿勢は評価すべき

今回は公定価格に関してもテコ入れを図り、保育士と介護士は月9,000円の増額。看護師はまずは月4,000円増額し、段階的に上げ最終的に9,000円の増額に。その理由としては、保育士・介護士と看護師の平均月収に若干差があるからとしています。

これに大空さんは「もう少し上げてもバチは当たらない。これまでやってこなかったので、こうしたところに取り組もうとしていることは評価するべき」と言い、「岸田政権は、格差を縮小させ、一緒に成長を目指すという姿勢自体は、素晴らしい。今までの自民党政権で見られなかった姿勢」と称賛します。

その一方で、「今回の経済対策は、(規模が)中途半端」と改めて指摘。「経済対策と1つにまとめているが、本当に経済対策になるのかは未知数。過去の政策を含めエビデンスは結構出揃っていると思うので、それを踏まえた上で今回はもう少し丁寧に政策を立案してほしかった」と唇を噛みます。

また、鈴木さんも金額の程度はさておき、「気持ちの問題も大きい。本当に頑張っている方々に対してこうした取り組みがなされたことは励まされるし、評価されていると思えるきっかけになる」と、大空さん同様その心意気を買っていました。

◆多額の経済対策の末に借金依存の日本…それでも財政出動は必要

最後は一連の経済対策を実現する上での財源について。26日に経済対策の裏付けとなる補正予算案31.9兆円を閣議決定する予定です。しかし、これで21年度末時点での普通国債の残高は1,000兆円超に。国際通貨基金(IMF)によると、日本の政府財務残高はGDPの約2.6倍となり、財源不足を赤字国債で賄う「借金依存」となるようです。

より大きな財政出動を主張する政治家も多いなか、先日、財務省の幹部が週刊誌に巨額の経済対策に対する疑義を呈し、大きな話題となりました。これに大空さんは「財政規律を正し、次の世代にツケを残さないという考えは立派だと思うが、今現実的に、今生きている人たちが苦しみを抱え、問題を抱え、支援を必要としている」と訴え、「そうした人たちへの支出をバラマキだとするのは完全に強者の理論であり、人の弱みをわかっていない」と異議を唱えます。

堀も「今、暮らせる力、稼げる力がないと、将来も先細ってしまう」と口を添えると、「これが一番の経済対策であり、その辺りの感覚が一般の市民とは違う」と大空さんは問題視していました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag