TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。10月18日(月)放送の「フラトピ!」では、“衆議院と18歳選挙権”について深掘りしました。

◆著名人が投票を促す動画をアップするもZ世代の反応は…

10月16日、多くの著名人が衆議院選挙の投票を呼びかける動画「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」がYouTubeで公開されました。これに日大文理学部 助教の大澤正彦さんは「素晴らしいアプローチ」と評価。というのも、1票の価値を若者に説くにも限界があり、自分の1票も多勢に無勢だとある種の諦観さえあるなか、「著名人が投票するムードを作ってもらえると投票に行くことがかっこいい、その他さまざまな理由で投票に行くような雰囲気になっていく。そうして全体が変わっていく」と期待を寄せます。

しかし、Z世代の大学生が番組に集結する「Zフォーラム」に参加していた法政大学 田中研之輔ゼミの植木紗羅良さんは、その動画が言いたいことはわかるものの「選挙に対する情報が少ない。(投票に行く)積極的な気持ちにはなれない」と率直な感想を述べます。

ちなみに、この日「Zフォーラム」に参加していた4人の大学生はまだ投票に行ったことはなく、大澤さんが「どんな情報が欲しいですか?」と尋ねると、植木さんは「立候補者が何を訴えたいのか、何をしたいのかが知りたい。そこが入ってこない」と返答。それはインターネットで検索するなどしてわかることでもありますが、「若者はSNS、そこで自然と目に入ってくると盛り上がると思うが、なかなか自らは検索しない」と話します。

このやりとりに「植木さんの話を聞いて安心した」と反応したのは、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さん。「芸能人が政治を語るのはある種タブー化されてきたなかで、こうした政治的な関心を高めようというムーブメントはデメリットが何もない。投票率を上げたいのであれば義務化すればいいだけの話だが、そうではない」と主張。「ただ投票に行くだけでなく、ちゃんと選んで投票することが大事」と自身の見解を示します。

◆若者が政治に無関心な理由…今の生活に不満がないから

2017年の衆院選の年代別投票率を見てみると、総じて若年層の投票率の低さが顕著。キャスターの堀潤は「レンジを広げ、俯瞰して見ると、やはり政治不信・政治汚職が増えた30年ほど前から一気に投票へのモチベーションが下がっている。これは政治の責任かなとも思う」とその要因を示唆します。

大空さんも堀の意見に頷きつつ「権力の暴走を防ぐという観点では投票率を上げることは大事だが、政治が若者のほうを向いていないから若者の投票率を上げろというのは違う」と指摘。例えば昨年、定額給付金10万円が給付されましたが、それ以外に住民税非課税の学生には最大20万円の給付がありました。大空さんは、この“学生だけ”というところに不平等さを感じたそうで、これはすなわち政治が若者に配慮したという証左でもあります。

むしろ大空さんは「重要なのは生活に余裕のない人、精神的に余裕のない人が投票に行けるかということ」と主張。「投票に行かない人は政治に文句を言うなという声もあるが、それも絶対に違う」と異議を唱え、「本来、政治はそこを見ないといけないが、なかなかそこを見ていない。自分が生活的、精神的に余裕がないときに(選挙に)足を運べるかといえば運べない。まずは最低限として投票機会の均等化をすべきであり、ただ単に若者に投票行こうというのは表層的な議論に過ぎない」と力説します。

「Zフォーラム」に参加していた加治木基洋さんは、投票に行かない理由として「そもそも政治に関心がないというか、政治家を見ても僕たちにどんなメリットがあるのかわからない」と言います。さらに、選挙会場に足を運ぶのはハードルがとても高いと言い、「オンライン投票があれば、(若者の)投票率は上がるのではないか」とも。

堀から、オンライン投票が可能になった場合にどういう意図で投票に行くのか問われると、加治木さんは「今は全く政治のことがわからないのでピンとこない」と政治への関心のなさが浮き彫りに。そして、「僕たちは物質的にも満足しているし、生活に困っているわけでもない。若者が政治に興味がないのは、ある程度(今の生活に)満足しているから」と話します。

◆政治に興味のない若者へ、堀潤が語る切実な思い

さらに詳しく若者の投票率を掘り下げてみると、2016年の参院選、2017年の衆院選、2019年の参院選、どれも19歳が低いことがわかります。その背景には構造的な問題があると言われ、なかでも課題となっているのが“住民票”の問題。大学進学や就職で地元を離れた場合、多くの人が住民票を移していないことです。

住民票を移してはいないが投票したい、そうした場合の対応策として「不在者投票」というシステムがあります。これはまず、元々住んでいた地域(住民票がある地域)の選挙管理委員会に投票用紙など必要書類を請求します。すると、投票に必要な書類が郵送され、それを持って今住んでいる地域で投票を行うと、そこの選挙管理委員会が元々住んでいた地域に投票用紙を送付してくれます。

「Zフォーラム」に参加していた密原玲奈さん、そして植木さんもこの制度は知らなかったそう。植木さんは実家を離れ、住民票を移していないという当事者だそうで、「ありがたいシステム」と興味を示します。

こうした住民票の問題がある一方で、大澤さんはそれだけに固執してしまうことに危惧。不在者投票の周知は重要ではあるものの、投票率の低さは住民票問題以外にもさまざまな要因が考えられるため、「1つの観点だけでなく、多くの人がいろいろな観点から分析すべき」と注意を促します。

堀は、実生活に不満のないなかでどうすれば若者が選挙に積極的に参加するのか、そのモチベーションを案じると、「Zフォーラム」参加者の黒澤洋士さんは「例えば政治が大事、選挙に行こうなど、そうしたことをいろいろと説明されても若者は“うっ”となってしまう」と実感を語ります。そして、そんななかで大事なのは「心理的な部分」と語り、「芸能人の動画なども次の日には忘れてしまうので、そうしたことをもっと僕らに刷り込んでほしい。そうすればきっといつか僕らも動く」との発言も。

堀は「僕からの提案」と呼びかけ、「Zフォーラム」参加者と向き合います。「たとえ自分に不満がなかったとしても、世の中には困っている人、大変な思いをしている人がたくさんいる。それこそ政治に参画するための情報や機会さえ恵まれない人もいる。そういう人のためにみんなの1票を活かしてほしい。そんな参加の仕方もある。ぜひ周りの困りごとを探してみてほしい」と訴えていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag