TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。10月11日(月)放送では、デジタル庁統括官の村上敬亮さんを迎え、“デジタル庁の未来”について議論しました。

◆デジタル庁設立の背景、ミッションと課題は?

9月1日、各省庁を統率する司令塔組織として、行政のオンライン化をはじめデジタル改革を推進する目的で「デジタル庁」が発足。約600人の職員のうち3割はIT企業の社員ら民間企業出身者を起用しています。

デジタル庁のミッションには、新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」の電子化や、公的給付金のスムーズな配分バランスの構築、マイナンバーと預貯金口座や運転免許証などの連携などが挙げられています。また、自治体関連では子育てや介護など、暮らしに密接した31の手続きをオンライン化するなどの目標も掲げられています。

しかし、さまざまな課題もあり、平井前大臣も出席したNTTからの高額接待問題では官民の癒着が浮き彫りに。組織の透明性の確保が命題となり、一方でデジタル化の進展により個人情報の取り扱いが増大し、これまで以上に十分な管理が求められます。

デジタル庁の組織体制は、岸田首相、牧島デジタル大臣に次いで小林副大臣、山田大臣政務官、事務方のトップである石倉デジタル監がいます。そして、その下に「戦略・組織グループ」、「デジタル社会共通機能グループ」、「国民向けサービスグループ」、「省庁業務サービスグループ」の4つのグループがあります。

菅政権肝いりの組織であるデジタル庁。発足の経緯に関して、村上さんは「スマホの利用率で言えば日本は世界No.1という調査がある。しかし、デジタル全体の競争力となると、スイスのIMD(国際経営開発研究所)によると27位。スマホ(利用率)が1位で(デジタル全体の競争力が)なぜ27位」と疑問を呈し、「さらに、今回のコロナに対する一連の対応のなかでは“デジタル敗戦”と言われている議論もある。そういうなかで当時の首相が発起し、自民党本部のなかでも声が上がった」と設立の背景を解説。

そして、「去年の9月の段階ではデジタル庁ができるかわからなかった。しかし、それがたった1年でできたというのは、政治のイニシアチブで(スマホ利用率)1位と(デジタル全体の競争力)27位のギャップにあった思いが一気に形になった」とこの1年を振り返ります。

◆社会のデジタル化とともに声なき声を拾える役割に

キャスターの堀潤は村上さんの“デジタル敗戦”という発言に注視し、なぜそんなことになったのか尋ねます。すると村上さんは、「(要因は)いろいろあると思うが、これまで日本は教育、医療、行政サービスなどそれぞれの分野が縦割りでバラバラに管理していた。なまじそれが良くできていたので、いざ横串を通してデジタルでやろうと思った瞬間に全部バラバラだった」と日本の行政を取り巻く問題を挙げ回答。今後はただデジタル化を図るだけでなく、より仕事がしやすいように横串を通していくと話します。

一方、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、また別の方向から村上さんにデジタル庁への疑問を投げかけます。

現在、デジタル庁では外部の有識者を招き、デジタル社会のあり方を議論する「デジタル社会構想会議」を開催していますが、大空さんは「その会議に、まさに行政の縦割りの弊害によって、制度の狭間に落ちた人たちを最前線で支える相談支援現場の人間が1人も入っていない」と問題視。多くはITベンチャーの方々で、「デジタルの恩恵を受けるべき人たちの声を代弁する人がいないことにかなり危機感を持っている」とデジタル庁に声なき声を吸い上げるスキームがどれだけあるのか問います。

大空さんの真摯な意見に、村上さんは「これまでのシステムはネットワークからハードウェア、ソフトなど全部自分で作り込んでいた。そうなると時間がかかり、時間がかかると情報システム部門という専門部署ができ、ますます現場から離れたところでシステムはどうするのかという議論が始まる」と既存のシステム構築のスキームとその問題点を示唆。

しかし、今はネット環境が整備され、API連携も可能になり、誰もがある程度ネットワークを共有化できるため、システム構築にかかる時間も短縮。「簡単に作れる=情報システム部門を飛ばして、現場が直接システムにタッチできる。そうすると大空さんの話にあるようなNPOや現場の声がシステムづくりに反映できるようになる」と村上さん。

総じて「今まで国のシステムは重かった。そこをどうやって軽くしていくか、それから現場が今したいことをすぐにシステムに反映できる、そういう時代に向けて全体を変えていかなければいけない。その役割をデジタル庁が担いたい」と抱負を語ります。

大空さんは村上さんのシステム論は理解しつつも、「デジタル社会構想会議という会議体があるにも関わらず、そこにNPOなど現場の声が入っていないことが問題」と改めて唱えます。そして、「組織として、まずは政策の意思決定プロセスに今まさに困っている人の声が入る体勢にしていただきたい」と訴えると、村上さんは「デジタル庁の職員の中にもNPO出身者は数多くいる。いろいろな形でたくさんの意見を募り、僕もこうして直接どんどん聞くようにしたい」と話していました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag