TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月23日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」では、矢野経済研究所 社長の水越孝さんが“ニュースの読み解き方”について述べました。

◆資金循環統計、タンス預金が101兆円は事実?

日本銀行が発表した2020年10月〜12月の資金循環統計によると、昨年12月末時点で個人が保有する現金が初めて101兆円に達し過去最高に。高齢者を中心に自宅で現金を保管する「タンス預金」を増やす傾向が強まっているとみられ、政府が去年支給した一律10万円の定額給付金の一部が貯蓄に回った可能性があるということです。

今回、水越さんはこのニュースを検証しながら、「“フェイクに騙されないために”ということを考えてみたい」と言います。まず「資金循環統計」とは何かといえば、政府、日銀、銀行、企業、家計のなかのお金の移動を調べている統計。そのなかで家計の貯金が増えたわけですが、「家計には、いわゆる個人事業主の事業性資金も含まれることも念頭に」と注意を促しつつ、水越さんは「高齢者を中心に自宅に現金を保管することで増えたのか、10万円の給付金があったから増えたのか、これは考えるべきところ」と指摘。

統計上は確かに現預金が増えていますが、現金が増えたのは約5兆円。それも流動性預金=普通預金が増加しています。一方で定期預金が解約され、借入も12兆円増。さらには株式も売却されており、「ということは、資産性の預金を解約し流動性に置き換えているのではないか、という仮説が想像され、“高齢者”や“タンス”ということは、ここには全く出てこない」と水越さんは統計を読み解きます。

次に勤労者世帯を見てみると、前年に比べ収入は増えているものの世帯主の収入は減。つまり配偶者の収入で補っているわけですが、一方でお金を使う機会がなく消費支出は圧倒的に減っており、「減っていることが貯金を増やすことになる」と水越さん。

さらに、収入階層別で見ると、年収平均250万円の人も1,168万円の人も貯金は増えていますが、資産が純増しているのは富裕層のみ。「つまり最初のニュースではあたかも家計が豊かになっている印象があるが、それはフェイクであり、事実から読み取れるものではない」と言います。

◆統計のプロが教える、分析に重要な2つのポイント

総じて水越さんは、「事実をあたる際には、原典をあたってほしい」と提言。新聞記事に記載されている内容や数字だけでなく、オリジナルの原典や現場を見ることが大事だそう。そして、意味付けをするときには「その数字の代表性、その数字が何なのかをよく考えること」。その上で、「事実と事実を関連付ける。変化を考慮する。それを自分の言葉で表現してほしい」と訴えます。

最後に水越さんは「とっておきの奥義」として、統計を分析する際の2つのポイントを伝授。それは「同じグループから違いを見つけ出す」と「違うバラバラなものから同じ要素を見つけ出す」こと。「これをやっていれば分析だけでなく、毎日の生活が豊かになるし、1日1日が輝く。ぜひやってほしい」と胸を張ります。

MCの堀潤は同じ数字でも比較することで違いがあること、さらには「株式の売却や定期を崩すということは、不安で現金を増やさなくてはいけないという厳しい状況が見えてくる」と感想を述べると、水越さんも「単に10万円をもらって、みんながそれを貯め込んでいるのかと言えば、決してそういうわけではない状況が浮かんでくる」、さらには「視点を変えてみる、視点と対象との距離を変えながら見ていくと、より多面的なものが見えてくる」と話していました。

番組では、視聴者に「去年の定額給付金をどうしましたか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆去年の定額給付金をどうしましたか?全部使った……2,013票一部使った……420票全額貯金した……522票

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00(※番組終了)レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross