俳優中尾彬さんが心不全のため、亡くなったことが22日、分かった。81歳だった。

 中尾さんは1942年8月11日、千葉県に生まれた。61年に武蔵野美術大油絵学科入学後、日活の第5期ニューフェイスに合格するも絵画を捨てきれず、翌年大学を中退してパリへ留学。帰国後、劇団「民芸」に入団し、翌年の映画「月曜日のユカ」でデビューした。

 映画ではゴジラシリーズや北野武監督作品「アウトレイジ ビヨンド」(12年公開)、「龍三と七人の子分たち」(15年)にも出演。「龍三と――」では東京スポーツ映画大賞助演男優賞を受賞した。

 テレビではNHK大河ドラマ「義経」「龍馬伝」、TBS系「下町ロケット」やテレビ朝日系「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」など数々の話題作に出演した。

 近年はバラエティー番組にも進出。ズバリと核心を突いた物言いがお茶の間に好評だった。

 関係者によると、中尾さんは5月に入っても仕事をこなしていたという。

 妻の池波志乃とは芸能界きっての〝おしどり夫婦〟で有名だった。中尾さんはネクタイが嫌いで、スカーフやマフラーをぐるぐるにして巻く「ねじねじ」スタイルはトレードマークだった。

 このところは〝終活〟にも励んでおり、千葉県や沖縄県に所有していたアトリエなどを少しずつ売却。今年3月には故郷の木更津市に美術品のコレクションを寄贈していた。

 突然の訃報に芸能界は騒然となっている――。