織田信成氏“モラハラ提訴”の勝算は?

織田信成氏“モラハラ提訴”の勝算は?

 関西大学のアイススケート部監督を辞任したプロフィギュアスケーター・織田信成氏(32)のモラルハラスメント訴訟の行方が注目されている。無視や陰口などのモラルハラスメント行為により精神的苦痛を受けたとして、同部の浜田美栄コーチ(60)に対し1100万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。織田氏は「フィギュアスケート界の悪弊へ一石を投じたい」と涙ながらに訴えたが、勝算はあるのか。

 織田氏は18日の提訴後に大阪市内で開いた会見で「事実を明らかにするのと同時に、僕にとってすごく大切な場所でもあるリンクで、今後ハラスメント行為がないようにしてほしいという思いで(提訴しました)」と目に涙を浮かべて話した。

 訴状によると、浜田コーチは、織田氏が監督就任を承諾した2017年2月ごろから、コーチ間で取り決めたリンク使用のルールを無視し、危険なレッスンを始めた。織田氏が苦言を呈したところ「あんたの考え方は間違っている!」などと激高。レッスンは中止されたが、織田氏に対し嫌がらせや無視を行うようになった。さらに、同年4月に織田氏が監督に就任すると、関係者らに「(織田氏は)監督に就任してから偉そうになった」「勝手に物事を決めている」などと噂を流布するようになったという。

 モラハラ行為は一度は収まったが、今年1月、織田氏が部員の練習時間の変更を提案すると、浜田コーチは直後からモラハラ行為を再開。次第にエスカレートしたため、織田氏は恐怖や不安を感じて体調を崩し、入院した。

 平昌五輪4位の宮原知子や紀平梨花らが師事する浜田コーチ。織田氏にとって同コーチは「素晴らしい指導者で発言力がある。30歳近く年が離れており、僕は指導者としては未熟者なので、僕の口から何かを言うのは難しい環境だった」。

 織田氏は7月に関西大学に調査を依頼したが、思うような結果が得られず、9月に監督を辞任。大学には「10月に弁護士から『関西大学はハラスメントの調査を行っていなかった』と報告を受けたが、大学は『ハラスメントがなかった』と発表した。矛盾を感じたし、この件を明らかにする意思がないと判断し、提訴した。真摯に対応してくれれば、ここ(裁判に)までならなかった」と不信感を口にした。

 今後はどんな展開が予想されるのか。元プロボクサー・高山勝成氏の代理人として、アマチュア登録実現に尽力するなど、スポーツに関する調停などに詳しい弁護士法人創知法律事務所の岡筋泰之弁護士はこうみる。

「モラハラは原告が立証しなければならない。録音やメールの履歴など、事実関係の裏付けと、相手が事実を認めたとしても、損害賠償を負うほどのモラハラに当たると評価されるか、2つのハードルがあります」

 今年5月に成立した改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が裁判の行方に影響する可能性もある。

 岡筋弁護士は「織田さんの主張する内容がすべて真実だとするならば」とした上で「パワハラの指針に例示された6類型にある『精神的な攻撃』『人間関係からの切り離し』に該当する可能性がある。そうなると、証拠が重要になる。昔は『言った言わない』に持ち込まれ、認められないことも多かったが、最近は録音・録画をしていることも多い。独裁体制といわれる世界では、何らかの反撃材料を持っている人がいる場合があり、織田さんに味方する人もいるかもしれない」とも。

 関西大は「提訴の内容については承知しておらず、コメントは差し控える」とし、浜田コーチとは連絡が取れていないとしている。


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