強い組織は事がうまく回る――。首位を快走するソフトバンクは30日の楽天戦(みずほペイペイ)で攻撃陣が今季最多14安打を集め、8―0の快勝。4月を戦い終えて18勝6敗2分け、貯金12と開幕ダッシュを決めた。

 決勝弾の山川と中押し弾の柳田が初のアベック弾を完成させ、怒とうの7連勝。きっちり白星で月を締め、5月からの好調持続に弾みをつけた。小久保監督はシーズン序盤の貯金量産にも「先は長いです」と短く制し、手綱を締め直した。

 凡事徹底、油断なし。グラウンド内の統制はもちろん、現場を支える組織もうまく機能しているようだ。指揮官が言うように先は長い。ゆえに「転ばぬ先の杖」は大事だ。快調に首位を走るチームにあって、懸案がなかったわけではない。

 その一つに〝所沢問題〟があった。それは敵地・西武戦のベルーナドームからチーム宿舎への長時間移動。顕著化したのは4月12日からの3連戦だった。試合後、想定を上回る渋滞などの交通事情もあって宿舎までのバス移動に2時間を費やした。疲弊した選手の体への負担は言わずもがな。選手たちの間からは蓄積疲労が濃くなる夏場や長いシーズンを見据え、故障リスクを懸念する声が相次いでいた。

 ソフトバンクの所沢遠征時の宿舎は今季から新たに変更された。昨年まで定宿だった都内のホテルが閉館。それに伴い、埼玉県内のホテルに移っていた。ただ今回の問題はふたを開けてみなければ顕在化しなかった案件で大事なのは事後の動きだ。迅速に選手の意見を集約した結果、今週末の所沢遠征からはより近場の宿を一時的に確保。球団の担当者が奔走し、ゴールデンウイーク真っただ中で善後策を見いだしたことに、チーム内からは感謝の声が上がった。

 政権始動時に小久保監督は球団全体に向けて、こう言っていた。「選手のためになるかっていう議論をしたらいい」。覇権を失って4年。勝てる組織を取り戻そうとしている。