陸上男子100メートルで世界選手権2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(東レ)にとって〝日本記録〟はあくまで通過点だ。

 今季のサニブラウンは初戦から10秒02をマーク。現段階でパリ五輪の参加標準記録(10秒00)を突破できていないが「遅かれ早かれ出る」と自信をのぞかせる。5月上旬の世界リレーの決勝は脚に張りを訴えて欠場を余儀なくされるも「元気です」と復調ぶりをアピールした。

 世界選手権の決勝では「100パーセントの力が出せなかった」と不完全燃焼に終わった。だからこそ、パリ五輪に懸ける思いは人一倍強い。「自分のパフォーマンスを出したい。メダルラインに届きたいし、金メダルを取りたい。やりたいこと、つかみたいことがいっぱいある」と意気込んだ上で、山縣亮太が持つ日本記録(9秒95)については「五輪でメダルを取るには9秒8台が必要。アジア記録(9秒83)くらいは出す勢いでいかないといけない」と力を込めた。

 16日にはサポートを受ける東レとスポーツメーカーのプーマが共同開発した商品の発表会に参加し、新ウエアに袖を通したサニブラウンは「パフォーマンスも上がることは間違いない」とにっこり。パリ五輪に向けて、新たな相棒をゲットした。