陸上男子100メートルのサニブラウン・ハキーム(25=東レ)は〝マーケティング〟の観点からも、周囲を驚かせている。

 5月上旬に行われた世界リレーの400メートルリレー予選では1走を務め、パリ五輪切符獲得に貢献。決勝は脚に張りを訴えて欠場したが、16日の取材では「元気です」と復調ぶりをアピール。その上で「五輪でメダルを取るには9秒8台が必要。アジア記録(9秒83)くらいは出す勢いでいかないといけない」と、日本記録(9秒95)の大幅な更新に意欲を見せた。

 そんなサニブラウンは、世界選手権同種目で2大会連続のファイナリストとなった。日本の歴史を塗り替えるスプリンターの存在感は、競技外でも絶大だという。サポートするスポーツメーカー・プーマの担当者は「(世界選手権で)履かれていたスパイクが非常に好評で、販売の影響力は非常に高かった。スパイクに関しては、世界選手権後はほぼ即完売するぐらいだった。ランニングシューズでも完売するのは、本当に一部の商品くらいなので、非常に効果を感じている」と目を丸くした。

 この日は所属先の東レとプーマが共同開発した商品の発表会に参加し、約2か月半後のパリ五輪に向けて「自分のパフォーマンスを出したい。メダルラインに届きたいし、金メダルを取りたい。やりたいこと、つかみたいことがいっぱいある」と決意表明。花の都でさらなるフィーバーを巻き起こすことはできるか。