【球界こぼれ話】5月下旬に入りプロ野球は早くも中盤戦に差し掛かろうとしている。

「先日開幕したと思ったらもう交流戦か…」。取材現場ではこんな声がチラホラ聞かれるが、そんな現場で今「ちょっと今年はおかしいのでは」とささやかれる話題がある。一部チームの対戦カードがシーズン序盤から不可解なほど単調に組まれていることである。

 例えば日本ハム。4月9日の火曜に熊本、11日の木曜に北九州でソフトバンク戦が行われたのだが、翌週の16日火曜からも本拠地・エスコンで同カード2連戦が開催された。さらに3週間後の今月6日からも敵地・福岡で3連戦が組まれたため、わずか1か月の間に同カードだけで計7試合。しかもその全てが週前半だった影響で「中6日」で回る各チームの先発投手は同じ顔ぶればかり。ソフトバンク・有原と日本ハム・山崎に至っては5月上旬というシーズン序盤で早くも3度の直接対決を余儀なくされたのである。

 日本ハムは4月末から5月中旬にかけてのオリックス戦、ロッテ戦でも同様の傾向。今月10日、17日のロッテ戦では本拠地、敵地の違いはあったとはいえ2週連続で佐々木との対戦が続いた。

 このあまりにも単調過ぎるカード編成。実際にプレーする選手も困惑気味のようで、ある選手に聞くと「プレーに影響はありませんが」としながらも胸中をこう明かす。

「(日本の)先発投手は基本的に中6日で回るので同じ曜日に先発投手が登板するのはよくあること。ただ、今年は極端に同じチームとの対戦が同じ曜日に組まれたり、見事なまでに2週連続で対戦するケースがありましたから。さすがに『またこのカードか』とは感じていました。試合を観戦するファンも短期間で同じカード、同じ投手の対戦を何度も見たくはないでしょう。ファンの関心を高めるためにも今後はもう少しそのあたりを考えてもらいたいですね」

 日本のプロ野球はセパ各6チームの計12チーム。ア・リーグとナ・リーグを合わせ計30球団もあるMLBのように多様なカードは組めない。それでも週前半や週後半など対戦カードの日程をずらす配慮を施せば、同じ先発投手の直接対戦は多少なりとも回避できる。前出選手の言うように工夫は必要だろう。

 日程の編成は各チームとも本拠地球場の稼働状況や選手移動などを考慮するため想像を絶する難解な作業と言われる。だが、昨今はAI(人工知能)などの力を借りることも可能だ。カード編成に携わる担当者の苦労は承知の上で来季はファン、選手のためにも周囲が納得する「絶妙なシーズン日程」を作成してもらいたい。