初Vへ大きく前進だ。大相撲夏場所9日目(20日、東京・両国国技館)、大関琴桜(26=佐渡ヶ嶽)が幕内阿武咲(阿武松)に攻め込まれながらも、土俵際で突き落として逆転勝ち。2敗をキープし、首位に並んだ琴桜は「内容が良くないので。いい相撲ではないけど、しっかり体が反応したのは良かった。攻めていった方がいいのはもちろんだけど、星がつながれば次につながっていく」と冷静に振り返った。

 審判長を務めた粂川親方(元小結琴稲妻)は「立ち遅れたが、懐が深いし、重い。(対戦相手は)あそこ(土俵際)まではいくけど、みんなあそこから前に出られない」と持ち味を分析。優勝争いでトップに並んだことを受けて「気合入るでしょ」と大関の心情を推し量った。

 今場所は1横綱2大関が休場。もう一人の大関豊昇龍(立浪)は4敗に後退する中、一人で気を吐いている。琴桜は「休場力士が多い? 何も。自分のやることに集中して、やっていくだけ。それが(勝ちに)つながっていけばいい。余計なことは考えずに、しっかり集中して自分の準備をしたい」と平常心で取組に臨んでいる。

 10日目は、結びで大関経験者の幕内高安(田子ノ浦)との一番。3日目から腰痛で休場していたが、この日から再出場して豊昇龍を破っている。念願の初優勝に向けて、負けられない戦いが続く。琴桜は「一日一番、いい日も悪い日もあるけど、いい方向につなげていければ。気持ちを切らさないように、集中してやっていきます」と力を込めた。