阪神は21日の首位攻防第1ラウンド・広島戦(マツダ)に2―6で完敗。投打ともにふるわぬ試合内容に終わり、2位の新井鯉に0・5ゲーム差と詰められた。対広島戦で防御率0・39と相性の良さを誇っていた右腕・村上も5回9安打5失点の投球内容で4敗目。これには岡田監督も「こっちの自滅やろ」とボヤくしかなかった。

 今季の岡田虎にとって広島は、ここまで2勝5敗1分けとセ・5球団の中で唯一負け越しているチーム。打力の乏しさこそ否めないが、充実した投手陣と鉄壁の守備力で勝機を手繰り寄せる難敵にこの日も手を焼いてしまった格好だ。虎指揮官も「新井になってからガラッと(広島のチームカラーが)変わったからな」と、その手腕に一目置いている節さえある。

 赤ヘル愛を前面に押し出す新井監督の〝陽キャパワー〟も虎を苦しめている。1日に行われた広島―阪神戦(マツダ)では、それを象徴するかのような一幕が繰り広げられていた。

 この日は試合開始前から雨が降り続き、両軍ともに室内練習場をメーンとした試合前調整を余儀なくされていた。両軍の選手、スタッフが球場敷地内をせわしなく行き来する中、大勢の番記者をひきつれた新井監督と、旧知の阪神球団スタッフが通路内でばったりと遭遇。すると新井監督は「おお! ○○! いつもサイン教えてくれてありがとうな!」と周囲に響き渡る大声で、あいさつ代わりの〝毒ガス〟を猛噴射。当然ながらジョークではあるものの、両軍の関係者が入り交じる衆人環視の場で〝サイン漏洩〟を示唆するような一撃をかまされた当該関係者は、ただただタジタジになるしかなかった。

 この一幕を爆笑とともに見届けた関係者一同は「新井さんさすがや…」「陽キャすぎるやろ…」と鯉将の圧倒的な陽のオーラに改めて感服。ホーム・マツダスタジアムの大声援を背に圧倒的な一体感を演出する新井監督の強烈なキャラクターを周囲に印象付けた形だ。

 昨季18年ぶりにリーグ制覇を果たした猛虎だが、シーズン終盤に驚異的な粘りを見せ、最後まで阪神を追いかけ続けたのも新井鯉だった。今季の行く末は果たしてどうなるのだろうか――。