巨人は21日の中日戦(東京ドーム)で延長12回の末、1―1で引き分けに終わった。

 7回に1点を先制された直後の攻撃で即座に同点に追いついたが、勝ち越すことはできず。両チーム合計14人の投手をつぎ込んだ4時間25分の死闘は、勝敗がつかないまま幕を閉じた。阿部監督は8回途中1失点と好投した山崎伊を筆頭に「投手陣は何も責められません。チャンスで打てないだけ。まあ、何とかしようとしているのは見えるので、明日は打ってくれるでしょう」と前を向くほかなかった。

 この日からは苦労人の立岡宗一郎外野手(34)が戦列に加わった。左ヒザ前十字靱帯の損傷で2年近いリハビリを経て、育成から支配下に復帰。早速「2番・右翼」で先発出場し、3打数無安打ながら2つの犠打を決め、1四球を選んだ。「ボロボロになってもチームのために貢献したい」と意気込む男の〝シブい働き〟に指揮官も「いい仕事をしてくれたし、まあこれくらいはできる選手だと思ってたんでね」とたたえた。

 立岡の職人ぶりはヤングGたちにも大きな刺激となるはずだ。20日には秋広、山瀬、佐々木の若手野手3人の登録を抹消。大幅な入れ替えを断行した中でのハッスルぶりに、チーム関係者の一人は「阿部監督は若手に対して『自分たちの武器を試合で見せてほしい』と思っているわけであって、必ずしも目に見える結果だけを望んでいるわけではない。昇格して即『武器』を見せつけた立岡のプレーを、若手は目に焼き付けて発奮してほしいですよね」と期待した。

 非凡な才能を持ちながら、何度も故障に泣かされてきた立岡のカムバック。自分の役割に徹する姿が、伸び悩む若手たちの「カンフル剤」となるのかもしれない。