日本プロレスリング連盟設立第2弾大会として開催された15日の「ALL TOGETHER(AT)」(北海道・北海きたえーる)は、課題が残る内容となった。メインでは新日本プロレスの内藤哲也(41)とノアのジェイク・リー(35)が激闘を繰り広げたものの、肝心の観客動員数は2156人(主催者発表)と寂しい結果に。5月6日の前回大会(日本武道館)に続き集客面で苦戦したATは今後、どうするべきなのか――。本紙の取材に応じた内藤が緊急提言だ。

 ATは2011年8月に東日本大震災復興支援チャリティープロレスとして初開催された。5回目を迎えた今大会は前回大会と同じく能登半島の復興支援チャリティー大会として行われ、初めてシングル戦がメインに。デスティーノでジェイクに完勝した内藤は「大合唱を北陸の皆さまに届けましょうよ!」と呼びかけ、代名詞の「デ・ハ・ポン!」大合唱で大会を締めくくった。

 しかし、リング上の熱気とは裏腹に会場は空席も目立ち、動員は2156人にとどまるなど集客面の課題も残った。前回大会も4583人で、同じ日本武道館で行われた第1回大会の3分の1以下という観客数だった。

 この現状を内藤は「2回とも非常に厳しかったですよ。でも、それがお客さまが出した答えであり、今現在のプロレス界が置かれる状況だということを真摯に受け止めないといけないですよね。被災地だけでなく、我々も立ち上がらないといけないなと」と分析。その上で「次にやるなら被災地で、もしくはプロレス界がもっと力をつけた上で元気を届けないと。これじゃあ、どっちの支援か分からないですからね」と問題提起した。

 さらに近2大会が、今年発足した日本プロレスリング連盟発足記念大会の側面も持っていたことへの違和感を示す。「ATってチャリティー大会なわけじゃないですか。能登半島の復興支援で集まることはいいと思うんですけど、それが連盟発足記念大会だと言われて、やってる俺自身も『えー、そうなの?』って感じでしたから。見てる人もやってる選手たちも、ごっちゃになってる人は多いと思いますよ」

 ATはあくまで有事の際にプロレス界が協力して元気を届けるもの。連盟の記念大会とは分けて考え、コンセプトを明確化すべきだという。そのため「本当に日本に元気を届けないといけない事態が発生した時には、ATをやればいいと思うんですけど」と前置きしつつ「連盟として今後も大会を開催し続けたいのであれば、ATの名前とは違うブランドがあってもいいんじゃないかなと。連盟の活動として、新しい形をつくるべきだと思いますよ」と提案した。

 そもそも連盟は、プロレス界の課題を政府や自治体などと交渉する際、窓口を一本化するために昨年末に設立されたもの。存在意義が大きいことは疑いの余地もない。業界発展のためにはATという大会名から〝卒業〟するべきという内藤の声は連盟に届くのか――。