元MMAファイターの石井慧(37)がボクシングの世界ヘビー級4団体統一王者オレクサンドル・ウシク(37=ウクライナ)と、スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)についての会話を交わしたと明かした。米WWEの「ザ・ロック」ことドウェイン・ジョンソン(52)がマーク・ケアー役を演じるハリウッド映画「The Smashing Machine」の撮影現場で繰り広げられたやりとりとは――。

 カナダ・バンクーバーから電話取材に応じた石井は、映画撮影について「すごく充実していて、精いっぱい頑張っていますよ。ひと言で言うなら、自分が俳優としてここまでできるということに驚き、桃の木、ストラッサー起一、ええ加減にせえや、コラ!って感じです」と相変わらずの調子で順調ぶりを感じさせた。

 作品内では2000年1月の「PRIDE GP2000開幕戦」でケアーと対戦したエンセン井上役を演じる。「一番苦労したのは、せっかく伸ばしたひげを剃らないといけなかったことですね」。ただしエンセンといえば5月に麻薬成分が含まれたチョコレートを国際小包郵便で輸入した疑いで、麻薬および向精神薬取締法(輸入)違反容疑で逮捕されたばかりだ。

 それでも石井は「僕はエンセンさんが好きなんで、演じられてうれしいです」ときっぱり。「昔、結構空港とかでバッタリ会って話をさせてもらったりしたんで。(MMA)転向当初に田代まさしさんから『石井君はエンセンみたいなスタイルを目指せばいいんじゃない』って言われたんですよね」と声を弾ませた。

 さらにイゴール・ボブチャンチン役のウシクや、主役のロック様ら出演者が集まっていた時の豪華な会話も披露する。「日本で試合をしたことはあるのか?」と問われたウシクが「やったこともないし、行ったこともない。日本には重量級にいいファイターがいないから機会がないんだ。でも軽量級には井上尚弥っていうヤツがいて、55キロくらいなのにみんなパンチでKOしてすごいんだ」と絶賛し、場は大いに盛り上がったという。

 ところが石井は、ウシクに賛同できなかった。「僕はそれ聞いてカチンときて。『ちょっと待て、ウシク。その言葉、お天道様が許してもストラッサー起一が許さないぞ』って止めたんです」と意味不明な言葉を口走る。しかも「日本にはシューホー・タカヤマ(高山秀峰)っていう実家暮らしのすごいヘビー級ボクサーがいて、世界大会にも出てるんだよ」と演説したそうだ。

 高山は「3150ファイト」などで活躍するヘビー級ボクサーで、石井のボクシングデビュー戦の相手。ゴルフとの二刀流で、ドライビングコンテスト(ドラコン)競技の世界大会にも出場している。「あ、でもドラコンの世界大会とは言ってないかも…。言おうとしたらウシクが『そんなヤツがいたのか! それなら戦ってみたい』ってノリノリだったんで黙っておきました」

 とにもかくにも、撮影は順調に進んでいる様子。今回現場からは以上とのことだが、また続報に期待したいところだ。

【井上尚弥は日本人選手初のPFP1位】ウシクが絶賛した井上は世界4階級制覇王者で、アジア勢初となる2階級(バンタム級&スーパーバンタム級)4団体統一王者に輝くなどモンスターぶりを発揮している。昨年スーパーバンタムに階級を上げると、7月にスティーブン・フルトン(米国)、12月にマーロン・タパレス(フィリピン)に勝利し、2戦で4団体統一。5月6日には、34年ぶりにボクシングが開催された東京ドームで、〝悪童〟ルイス・ネリ(メキシコ)に6ラウンドTKO勝ちした。

 米ボクシング専門誌「ザ・リング」が選定する最新パウンド・フォー・パウンド(PFP=階級差のない最強ランキング)で2022年6月、日本人選手として初の1位に。ネリ戦で再び1位に返り咲いたが、その後はウシクにその座を奪われている。