【赤ペン! 赤坂英一】ドジャース・大谷翔平の自宅報道問題が波紋を広げている。日本テレビとフジテレビがロサンゼルスの新居を空撮し、その映像と住所を特定できる内容を放送したことに大谷が激怒。米メディア「ドジャース・ネーション」などでも報じられているように、両局を「出入り禁止扱い」にして締め出したというのだ。

 大谷の怒りは至極もっともである。背番号17を譲ったジョー・ケリー投手は1月、野球の人気ポッドキャストにゲスト出演。大谷に対するアドバイスを求められると、こう“警告”していた。

「住居を決して知られてはいけない。いつ空き巣に入られるかわからないからね。年に1回は、車や自宅が狙われる危険にさらされる恐れがある」

 実際、昨年もドジャースの選手数人が空き巣の被害に遭っており、富裕層を標的とするグループの犯行と見られている。

 また、大谷の元通訳で違法賭博に関与していた水原一平被告は、胴元のマシュー・ボウヤー氏から電話がかかってきた際、大谷の前の住居の近くにいるとにおわされたことがある、と証言している。「いま大谷が犬の散歩をしているのが見えるぞ。これから彼にイッペイのことを話してやろうか」と脅迫されたそうだ。

 そうした最中に自宅を報道されれば大谷が怒り出すのも無理はない。真美子夫人の抱く不安や恐怖も相当なものだろう。

 しかし、その一方で、時代の移り変わり、アメリカと日本の違いも痛感する。20年ほど前までは、何か騒ぎが起こるたび、プロ野球選手や監督の家へマスコミが押しかけるのは、ごく普通の取材方法だったのだから。

 特に巨人では当時現役バリバリの中心選手として所属していた松井秀喜氏、清原和博氏の去就が注目を集めた2002〜04年ごろ、オフになるたびに記者たちが夜な夜な自宅マンションの前に集結。あまりのうるささに迷惑千万だとして、怒り心頭に発した近隣住民が警察に通報したこともある。

 とりわけ印象深いのは、今月14日にNHKで追悼ドキュメンタリーが放送された門田博光さんである。南海がダイエーへ身売りした1988年、門田さんは福岡への単身赴任を拒否して移籍を希望。番記者が朝から近鉄沿線の自宅へ行くと「家には来るな!」と怒りまくっていた。

 ところが試合に行く時間になると、最寄りの学園前駅へ記者を引き連れ、彼らの分も切符を買い、当時の本拠地・大阪球場そばの難波駅まで延々と自分の言い分をまくしたてるのだ。

 ああいう人間くさい取材はもうできないだろうな。そんな昭和の昔話も思い出させてくれた大谷の取材拒否騒動だった。