広島・森下暢仁投手(26)が25日のヤクルト戦(マツダ)で、ドジャース・大谷翔平投手(29)をほうふつとさせる「二刀流劇場」で本拠地を沸かせた。

 投げては自身初のマダックス(100球未満での完投)となる91球、2安打無四球で完封勝利。打っても今季2度目となる猛打賞を記録し、リーグ戦再開後の初先発に「本当にいい(再)スタートが切れた」と胸を張った。これで投手としては6勝(3敗)、防御率1・58と首位のチームを支えるだけでなく、野手顔負けの打率4割2分9厘(21打数9安打)となった。

 その実力は球界でもすでに「打てる投手」として広く認知されているが、神童ぶりは高校時代の大分商時代から始まっていた。パの九州地区担当スカウトによれば、高校時代は「野手」でのドラフト指名と育成を検討した球団もあったという。結果的に本人が大学進学を希望し、プロ志望届を出さなかったため実現しなかったが、高卒でプロの門を叩けば、違うキャリアを歩む可能性も十分あったと明かす。

「ちょうど彼が高校3年のころ、日本ハムで大谷が投打二刀流をプロでも成功させつつあった時期。我々スカウトも〝次の大谷〟になれる素材という視点で、高校生を見る機会は多かった。森下はそんな素材の一人」と着目したといい「実際に高校では投げなくても、三塁とか遊撃で試合に出ていたし、打者としては地元・大分出身の内川聖一(元ソフトバンク)のように、力任せではなく広角に打てる。投手だから〝地肩〟もあるし、当時から体形的には細身で身体能力は抜群。高校で志望届を出していれば、プロでは遊撃とか野手での指名を考える球団もあった」そうだ。

 球界の名門・明大に進み、プロ1年目から才能を発揮し続ける投球と同様に、打撃のポテンシャルも本格化してきた背番号18。森下版の二刀流は今後ますます注目されそうだ。