西武 渡辺SDでも流出止められず…炭谷もFA表明で高まる危機感

 西武は7日の浅村栄斗内野手(27)に続いて8日、炭谷銀仁朗捕手(31)がFA権行使を表明した。会見で炭谷は「本当に悩んでいますし、当然残留も考えています。いろいろ悩む中で他球団の評価も聞いてみたい。今まで14年にFA権を取ってずっと使わずにライオンズにいましたけど、今回はそういう気持ちになったので宣言しました」と揺れる心境を告白。浅村同様「SDには『(権利を)行使するからといってこれで終わりじゃない。最後の最後まで話をしよう』とも言ってもらえたんで、本当に感謝しています」と、渡辺久信シニアディレクター兼編成部長(53)の誠意あふれる残留要請に深く感謝の意を示した。

 今年から交渉役となったのが渡辺SD。前日、浅村が明かした「浅村が出て行って来季、ライオンズが優勝できるイメージが湧かない」という殺し文句も含め、移籍へと向く両者の気持ちを最後のところでつなぎ止め、最終交渉に望みを託しているが、だからこそ球団内には危機感があふれている。

 関係者の一人は「SDがあそこまでの熱意で交渉しても(流出を)止められないとなると、ウチにはもう手立てがないことになる。交渉人の問題ではないということになってしまうから…」とポツリ。

 ここまで12球団最多16人のFA流出者を出している原因の一つが交渉担当者の問題とも捉えられていたからだ。

 西武編成の基礎をつくった故根本陸夫管理部長の一番弟子だった浦田直治取締役編成部長が2003年に勇退。しかし、その後を継ぐはずだった楠城徹スカウト部長(現九州国際大付監督)が04年に失脚し、退団すると同年暮れの堤義明オーナーの失脚も重なって西武は混乱期に突入した。

 急きょ、球団本部長職に抜てきされた前査定担当の前田康介氏(04〜11年)はその高圧的な物言いと「宣言残留は認めない」という対応でFA選手の態度を硬化させ05年の豊田清(巨人移籍)、07年の和田一浩(中日移籍)、10年土肥義弘(米独立リーグ)、細川亨(ソフトバンク移籍)、11年許銘傑(オリックス移籍)、帆足和幸(ソフトバンク移籍)と8年間で6人の主力が流出。その後を継いだ鈴木葉留彦球団本部長(12〜18年)はその反省から一転し「宣言残留」を容認し対話路線にシフトした。

 しかし、選手との価値観の相違は埋まらず12年の中島裕之(アスレチックス移籍)、13年の片岡治大(巨人移籍)、涌井秀章(ロッテ移籍)、15年脇谷亮太(巨人移籍)、16年岸孝之(楽天移籍)、17年野上亮磨(巨人移籍)と在任7年でやはり6人の主力が西武を去って行った。

 その負の流れに歯止めをかけるべく登板した〝情熱の交渉人〟渡辺SDでさえ流出の抑止力にならないとなると…。西武のFA対応はさらに混迷を深めることになる。


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