青森県五所川原市の山﨑徹さん(65)は青森、つがる、弘前の3市に店舗を構えるラーメン店「中華そば文四郎」の店主でありながら、マジシャンとしての顔も持つ。「ハンドパワー」でおなじみのMr.マリックさんを師と仰ぎ、マジシャン名は「Mr.文四郎」。ラーメン店でも、「マジックショー」の食券(500円)を購入したお客さんに披露し、楽しませている。

 「千円札をよく見ていてください」。4月中旬、青森市浪岡の中華そば文四郎浪岡店。記者の目の前で山﨑さんが、プラスチック製の透明な囲いの上に両手をかざし力を送ると、中で棒の上に載せられた千円札が回転を始め、ぽとりと落ちた。「これはずっとやりたかったマジックで、去年覚えた。マリックさんにも『すごい』と言われた」と笑顔を見せた。

 山﨑さんは旧森田村(現つがる市)出身。中学時代の修学旅行で、デパートの手品用品の実演販売を見て手品の面白さにはまった。大学時代に自身も実演販売を経験。その時にMr.マリックさんに出会い、今も交流を続けている。

 大学卒業後は長年、福祉関係の仕事をしながらマジシャンの活動を続けてきた。一方、昔からラーメンを作ったり食べたりすることも大好きだった。友人に勧められたことを機に出店を決意。2015年に弘前店(弘前市小比内)、17年に柏店(つがる市柏)、今年2月に浪岡店をオープンした。

 山﨑さんは平日は柏店、土日は浪岡店にいることが多い。両店では山﨑さんがいる時、「マジックショー」の券を食券機で購入でき、食事をしながら目の前で数種類の手品を楽しめる。「ラーメンもマジックも、お客さんの喜ぶリアクションを見るのが楽しい」とにんまりする山﨑さん。ラーメンがおいしいのは「『ハンドパワー』を入れているから」と冗談を言って笑った。

 浪岡、柏の両店では、千円札を触れずに動かすマジックに成功したお客さんに現金1万円を贈る企画を実施中。両店は年中無休。