落馬事故で意識不明の重体となっていたニュージーランド競馬の日本人騎手・柳田泰己さん(28)が9日、搬送先のワイカト病院で死亡し、競馬界から悲しみの声があふれている。

 柳田さんはケンブリッジ競馬場で開催された3日の9Rで落馬。頭部と頸椎を負傷し、昏睡状態に陥っていた。日本から家族が駆け付け、集中治療室で懸命な処置が行われたが意識は回復せず、帰らぬ人となった。関係者によると、最後は延命措置が止められ、家族に看取られたという。

 高校2年のオーストラリア留学中に競馬と出合った柳田さんは、騎手を志して2013年に鳥取県の競走馬トレーニングセンター「大山ヒルズ」で下積み。2017年にニュージーランドでデビューした。昨シーズンは42勝を挙げ、人気騎手として将来も嘱望されていた。

 今回の訃報を受けて、SNSで容体を心配していたJRA騎手の池添謙一は「柳田泰己くん 知り合って、2か月も経ってません。色々話をしようと、相談させてくださいと言われてまだ全然できてなかった。ただただ残念でなりません。ご冥福をお祈りします」とツイートした。

 また、原点の地・大山ヒルズで柳田さんに馬乗りを教えた佐藤弘典氏は「素人の状態から門をたたき、海外ジョッキーになるんだという夢を達成し、喜んでいた。本当に残念でかわいそうで仕方がない。あまりにもショックで空っぽになった感じです」と話した。

 大山ヒルズ時代、柳田は「ボウズ」と呼ばれて先輩たちに親しまれた。当時をよく知る他の関係者は「マジメで野心があって騎手になりたい気持ちがブレなかった。最初は右も左も分からない状態だったが、努力を重ねて『行ってきます!』と海外へ飛び立ったことを覚えている」と振り返る。

 ニュージーランドでは「タイガー」の愛称。地元メディアのオタゴ・デイリー・タイムス紙は「礼儀正しく、献身的な若者を忘れない。タイキは夢を叶え、それは彼から決して奪うことはできない」と死を悼んでいる。

著者:東スポ競馬編集部