17日、阪神5R・2歳新馬戦(芝内2000メートル)は1番人気のザパリスマッチ(牝・茶木)が逃げ切り勝ち。サトノダイヤモンドの2世代目として、26戦目にしてようやく初勝利を挙げた。これで勢いに乗ったか、翌18日、中山4Rの2歳未勝利戦(芝内1800メートル)では昨年の阪神JF2着馬でクラシックに駒を進めたシンリョクカ(桜花賞6着、オークス5着)の全弟となるサトノオラシオン(牡・堀)が2番手から抜け出して快勝した。
先日、社台スタリオンステーションが2023年度の種付け頭数を発表。最多となったのはキタサンブラックで242頭だった。22年は200頭超えは一頭もいなかったが、今年はコントレイル、マインドユアビスケッツ(ともに211頭)、サートゥルナーリア(201頭)と4頭が200頭以上の繁殖牝馬を集めた。
一方、人気が急落したのがこのサトノダイヤモンドだ。初年度から4年連続で種付け頭数は130〜140台と安定していたが、今年は前年から85頭減の58頭と一気に減ってしまった。
サトノダイヤモンドはディープインパクト産駒で、母はアルゼンチンのGⅠ3勝という良血馬。セレクトセールで2億3000万円(以下税抜き)で落札された。新馬戦では落札価格2億4000万円というロイカバードとの2億円馬対決が話題となったが、2馬身半の差をつける完勝だった。
その後、GⅢきさらぎ賞まで無傷の3連勝と期待通りの快進撃だった。皐月賞は3着、ダービーはマカヒキのハナ差の2着とGⅠの壁にはね返されクラシック制覇にはあと一歩届かなかったが、秋はGⅡ神戸新聞杯を制したのに続き、GⅠ菊花賞も快勝。ディープインパクト産駒として初めての菊花賞馬に輝いた
さらに年末のGⅠ有馬記念でもキタサンブラックをクビ差退けて優勝。この年の最優秀3歳牡馬にも選ばれた。年明け初戦のGⅡ阪神大賞典も勝って連勝を4に伸ばすと、GⅠ天皇賞・春3着を経て、GⅠ凱旋門賞に向けて渡仏。ここで15着と大敗を喫するとその後遺症が尾を引き、5歳時にGⅡ京都大賞典を制したものの、かつての輝きは取り戻せなかった。
種牡馬サトノダイヤモンドの人気凋落の理由としては、やはり初年度産駒の不振が考えられる。重賞勝ちは、繁殖シーズンも終わろうかという5月の京都新聞杯=サトノグランツの1勝だけ。オープン馬も前述のシンリョクカとの2頭しか出ていない。正直、種付け料300万円の種牡馬としては、物足りない成績だ。今年の2歳戦での初動も鈍くで、さらに印象は悪くなってしまっただろう。
今週の神戸新聞杯に出走するサトノグランツ(牡3・友道)が父譲りの成長力を見せ、秋のGⅠ戦線で結果を出せば、状況は好転するかもしれない。
著者:東スポ競馬編集部