21世紀に入ってからJRAでのカンパイは一度もない(※写真は本文と関係ありません)
21世紀に入ってからJRAでのカンパイは一度もない(※写真は本文と関係ありません)

 8日の川崎競馬場で2度(4R、7R)発生したカンパイ。ただでさえ珍しい出来事が、同じ日に2度起きてしまったのだから競馬ファンにとっても大きな話題となった。

 そもそもカンパイとは、発走委員が真正な発走でないと認めた場合に発走をやり直すこと。その場合、ゲートの前方200メートルの地点に白旗を持った係員が、発走委員の合図を受け、白旗を振り騎手に発走のやり直しを知らせることになっている。

 JRAでももちろん、カンパイの事例はある。最後に起きたカンパイとなると、1997年12月20日までさかのぼる。中山で行われたダート1200メートル戦(当時=3歳500万下)。的場均騎手騎乗のエフワンナカヤマと横山典騎手騎乗のマチカネシルヤキミが同着1着となったレースだ。

 当時を知る的場調教師に話を聞くと「普通は外枠の馬が最後入れなんだが、そのレースは1番枠の馬が最後に入ることになっていたんだ(※)。それをスターターが忘れて、スタートを切っちゃった。千二なら普通はテンから行かすけど、俺はすぐにカンパイだってわかって引っ張ったよ。だから勝ったのかもな(笑い)」と振り返った。

 なお、JRAで起きたカンパイは、平成に限ると先のレースと90年3月31日に行われた中山6R(当時=サラ系4歳未勝利)の2例のみ。21世紀に入ってからは一度もない。決して歓迎すべき出来事ではないが、実際に目の当たりにした方にとっては貴重な経験と言えるかもしれない。

 ※ゲートに入るのが遅い外枠にゲート入りが悪い馬が並ぶと、発走までに時間がかかってしまう可能性がある。速やかにレースを行うために、係員がより速くゲートから離れることができる最内枠に、ゲート入りに難のある馬が最後に入ることが昔はあった。実際に97年12月20日のカンパイが起きたレースでは、1番枠の馬が最後にゲートに入っている。

著者:東スポ競馬編集部