日本ダービー2024

[GⅠ日本ダービー=2024年5月26日(日曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル]

 GⅠ直行など省エネローテがもてはやされる現代競馬。それは日本ダービー(26日=東京芝2400メートル)も同じだ。2021年シャフリヤールのキャリア4戦目Vを筆頭に、多くて6戦目での戴冠というのが〝令和ダービー〟。ただ、そんな結果ばかりで面白いのか? たまには真逆のローテでコツコツと走ってきた地味な存在が報われてもいい。叩き上げのコスモキュランダが優等生相手にアッと言わせる。

 キャリア8戦はジューンテイクに次ぐ多さ。皐月賞馬ジャスティンミラノを筆頭に3戦の馬も複数いる中でコスモキュランダの戦績は〝特異〟に映る。が、もっと〝特異〟なのは、これだけ使い込んでいながらさらに状態が上がっているところだ。

 1週前追い切りは南ウッドで5ハロン65・3ー36・8ー11・4秒の切れ味。騎乗した小林勝(レースはM・デムーロ)は「前走より感触がいいです」と厩舎サイドに話したという。予定以上の時計が出てしまったのは「能力と現在の調子の良さがあるのかな」と加藤士調教師。〝65・3秒〟は現在の充実度を表す指標のひとつだ。

 デビュー8戦目の皐月賞で2着激走。普通ならそこで下り坂を迎えてもおかしくないのに、さらに上があった。その理由についてトレーナーは、「数は使っていますけど、傷んだところもないですし、そのへんは普段リラックス、悪く言えばサボろうとする面がいいほうに出ているんでしょう」と話す。寝る子はよく育つ、ではないが、のんびりした性格が使い減りを阻んだ一番の要因だという。

 使いながら良くなっているのはレースも同じだ。デビュー当初は集中力を欠くところが目立っていたが、それが徐々に解消し、課題のひとつであるゲートに関しても、前走の皐月賞は従来よりもうまく決まった。レース後、「勝ったかと思いましたが…」と悔しそうに話した加藤士師だが、すぐさま「距離は長くなったほうがいいと思います」と前を向いた。すでにこの瞬間からダービーでのリベンジが始まったということだろう。

「不器用なところはありますけど、トップスピードに入ってからがすごくいい馬ですからね。東京の左回りも大丈夫です」とトレーナー。これまでの連対5戦の平均単勝人気が「5」。走っても走っても人気にならない穴党賛美のお買い得ホースでありながら、普段はちょっぴりサボり癖もあるおちゃめな一面も…。なんだか応援したくなる馬だ。

〝8戦目〟の皐月賞では2着に激走したコスモキュランダ(緑帽)
〝8戦目〟の皐月賞では2着に激走したコスモキュランダ(緑帽)

著者:東スポ競馬編集部