22日午後から行われていた、厩務員・調教助手3労組(関東労・986名、美駒労・122名、関西労・238名=いずれも4月20日現在)と日本調教師会との団体交渉が23日に決裂。これにより事前通達通り、組合側は25日午前0時からのストライキに入るが、土曜の中央競馬(東京、京都)は開催される運びとなった。

 ストライキ決行は4労組共闘となった昨年3月18日に続いて2年連続となる。昨年は新賃金体系(2011年から導入)の廃止→従前の賃金体系に戻すことを求めて土、日曜2日間の開催ストライキを通告。一方、調教師会側は調教師と組合非加入者、および補充員(退職後に再雇用されたヘルパー)などで開催業務を行い土曜の競馬が開催された。関西最大の全馬労(904名=4月20日現在)の離脱も影響し、残る3労組はストライキ解除を強いられ19日の日曜競馬は通常通りの開催となった。今年の春闘で3労組は基礎賃金の3%程度の増額などを要求していたが、回答(0・64%増)との溝が埋まることはなく、昨年に続くストライキ突入を選択した。

 通常、東京競馬に出走する関東馬は美浦トレーニングセンターからレース当日に移動する。しかしストライキの影響を考慮し多くの関東馬が金曜(24日)の移動を選択した。土曜の出走馬は計137頭中133頭、日曜の出走馬はダービーに出走するシックスペンスを含め133頭中、19頭が金曜日に東京競馬場に移動した。関西馬は前日輸送が一般的だが、日曜東京出走の43頭中、3頭が金曜輸送を選択している。なお、日曜京都8R・キョウエイカンフはストライキの影響(発表事由は事故のため)で取り消しとなったが、この措置によりレース当日の出走取消が大量に出る可能性は少ないと思われる。

 JRAの佐野健吉競走担当理事は「ストライキ、労働争議は憲法上、認められていますが、多くのお客さまが毎週楽しみにしておられる中央競馬の開催に関してご心配をおかけすることに関しては大変申し訳なく思っております。JRAとしては調教師、非組合員、補充員等で通常通り、2場開催を施行します。全作業のストライキが通告されていますが、トレセンにおきましても各調教師が自厩舎でどういうことができるか、把握して取り組んでいると聞いております」とコメントした。なおJRA本部には24日14時30分現在で、開催の有無に関して電話・メールで17件の問い合わせがあった。

 なお、日本調教師会の会長を務める中竹調教師も「今般の労働組合側の春闘要求に関しては、本会としましては誠意をもって交渉し、精一杯の努力をしてまいりましたが、残念ながらストライキに至る事態となり、競馬を楽しみにされているファンの皆さまに対して、ご心配をおかけしております。本会といたしましては、JRAおよび関係団体の協力も得ながら、5月25日(土)の全レースにつきましては、管理馬を出走させる予定です。今後も魅力ある競馬をファンの皆さまに提供するため、全力で強い馬づくりに邁進してまいりますので、今後とも中央競馬の応援をよろしくお願いします」とコメントを発表している。

著者:山河 浩