10月〜12月期の概況
全業種総合の業況判断D.I.は前回(22年7月〜9月期)と比べ11・7ポイント改善の▲(マイナス)10・6となった。この数値はコロナ禍以降の調査(20年3月期)において最も良く、製造業、卸売業を中心に価格転嫁の動きが強まったことから売上増加、収益改善につながったことが要因とみられる。
インボイス制度に関する特別調査では、9割以上の企業が「既に取り組んでいる」、または「取り組む意思がある」と回答している。
1月〜3月期の見通し
来期予想は7・0ポイント悪化の▲17・6。売上額D.I.、収益D.I.も共に悪化の予想となっている。
製造業
製造業は前回調査から31・0ポイントの大幅改善をみせ業況判断D.I.は18・1、売上額、収益も大幅改善した。
主要取引先からの受注回復や新規取引先の獲得につながったことに加え、原材料高騰分の販売価格への転嫁が徐々に進み、収益改善が図られたようだ。また、円安の影響で海外企業との商談が成立した企業も見受けられる。来期の予想業況判断についても、2・3ポイントとプラス域での推移となっている。
卸売業
業況判断D.I.は前回調査比1・5ポイント悪化の▲22・2となった。食品卸売業では販売価格への転嫁を進めた企業がみられた。建材卸売業では既存取引先からの受注増加や新規取引先の獲得に繋がったことから売上額・収益共に大幅に改善した一方で、取引先の業況悪化により売掛金回収の目途が立たず、資金繰りに影響が出ている企業も見受けられる。
来期予想は3・7ポイント悪化の▲25・9。
小売・飲食業
業況判断D.I.は前回調査比13・1ポイント改善し、▲32・2となった。新型コロナの影響が依然尾を引く中でも、飲食店では昼間の来店客数が回復していることに加え、忘年会等の予約が少人数ながらも入ったことから改善に繋がったようだ。しかし、原油価格や飼料価格上昇に伴う仕入価格高騰の影響は今後も続くと予想され、感染拡大の兆しもあることから、先行き不透明な状況は続くと考えられる。
来期の業況判断予想は6・5ポイント悪化の▲38・7。
サービス業
サービス業は全国及び県と比較して低く、業況判断D.I.は前回調査比4・8ポイント悪化の▲39・6となった。宿泊業は全国旅行支援が売上増加に繋がった一方、理美容業では来店頻度の長期化や消耗品の価格高騰等で収益環境が悪化している。また、運送業では輸送コスト分の価格転嫁が進んでいる企業は限られ、荷主変更や配送路線の見直し等に努める企業が見受けられる。来期予想は3・0ポイント小幅悪化の▲42・6。
建設業
住宅関連の建設工事に加え、首都圏エリアの工場の改修工事やビル建設の動きが活発したことから受注状況が改善し、建設業の業況判断D.I.は前回調査比13・0ポイント改善の▲4・9となった。しかし、原材料価格は世界情勢悪化や物流費高騰などを背景に継続的に価格が上昇しており、見積書の有効期限を短くするなど対応策を行う企業が見受けられる。
また、人手不足は依然として厳しい状況が続いている。来期の業況判断予想は1・5ポイント小幅悪化の▲6・4となっている。
不動産業
業況判断D.I.は前回調査比12・0ポイント悪化の▲6・1で、売上額・収益共に大幅悪化している。調査エリア内での不動産需要は引き続き高い水準で安定しており、販売状況は好調なものの、商品仕入では他エリアからの不動産業者参入に伴い、仕入価格が高騰。慢性的な商品不足と保有商品不足による販売機会損失が生じている。
来期の予想業況判断は3・0ポイント小幅悪化の▲9・1。
■調査時期/2022年12月上旬
■調査地域/秦野市、伊勢原市、平塚市、厚木市、開成町
■調査企業数/340社
■回答企業数/322社
※D.I.値とは、ディフュージョン・インデックス(DiffusionIndex)の略で、「良い」「やや良い」と回答した企業の割合から、「悪い」「やや悪い」と回答した企業の割合を引いた値。値が小さいほど業況判断は悪いということを表す。