川崎の工場夜景を楽しみながら、川崎産のワインと食材を――。市内の工業と農業をつなぐ、1日限定の特別バスツアーが5月14日(日)に開催される。工場夜景を見ながらフレンチを楽しめる「レストランバス」の特別企画で、市内産のワインや、玄米、イチゴを使った料理が提供される。

レストランバスは、WILLEREXPRESS(株)(東京都)が企画実施する。2階建てバスの1階にキッチン、2階に対面式の座席とテーブルが設けられ、観光名所の景色を見ながら、食事を楽しむことができる。市内では、市、川崎商工会議所、(一社)川崎市観光協会による「川崎産業観光振興協議会」が企画協力し、都内の夜景や川崎の工場夜景を巡るツアーを昨年から行っている。

特別ツアーでは、通常ツアーと同じ名所を巡るが、提供料理が異なる。岡上の蔵邸ワイナリーで醸造されたグラスワイン4種に加え、岡上産の玄米やイチゴを使用した、前菜やデザートなどが登場。ワインと食材を提供するのが、農業生産法人(株)カルナエストの代表取締役・山田貢さんだ。

岡上で代々続く農家に生まれた山田さん。市北部の立地に着目し、都市農業の変革をテーマに、農業の6次産業化や食育活動などを、多岐にわたり行っている。2022年には、岡上でブドウ栽培から醸造までを手掛けるワインを完成させた。

今回提供する玄米は無農薬で栽培。イチゴは、AI技術を活用して育てられたものだ。

市職員から工場夜景を巡るバスツアーでの、ワイン講座を依頼された山田さん。企画内容を聞き、「これまでは料理の食材に、川崎産のものが使用されていなかった。それなら、『オール川崎』でやってみては」と、食材の提供を提案したという。

川崎南北を一つに

一夜限りの企画だが、「川崎北部の農業、南部の工業、どちらの振興にもなると思う」と山田さん。「川崎の南北をつなげるのが課題だと思っている。一つの市内に農業と工業の見どころがあるのはおもしろいはず。今回のバスツアーが川崎をつなげることになれば」と展望を語る。

今後は麻生区だけではなく、市内の農家から農産物を集めることも視野に入れる。「季節感を味わえるよう、夏野菜の企画もできれば」。ツアー詳細は川崎産業観光振興協議会ウェブサイト。