本厚木駅周辺で、大雨による浸水対策として工事が進められていた雨水貯留管(全長約1・1Km)が3月に完成した。元々ある排水管の水量が一定に達した場合に、さらなる雨水を貯留管が一時的に受け入れる仕組み。10年前の浸水被害をきっかけに形になった。

元々この地域の雨水は2本の大きな排水管を通り、平塚市四之宮にある処理場に流れていた。事業のきっかけとなったのが、2013年に見舞われた大雨。温帯低気圧の影響で1時間あたり65ミリという豪雨となり、駅周辺を中心に深さ50cm程度の浸水が発生した。道路の一部は水没し、当時の本紙紙面には消防団員が夜を徹して出動したという記述もある。

これを受け、市では2つの大きな浸水対策を進めてきた。一つは2019年に駅南口近くのあさひ公園の場所に完成した雨水貯留施設。厚木市役所本庁舎と同じサイズの大空間で、小学校のプール40杯分を溜められる。貯留した水は晴れた日にポンプで排水管に戻す。公園の地下にありその存在は見えないが、すでに雨をためた実績がある。

もう一つが今回の雨水貯留管だ。あさひ公園の施設同様に、既存の排水路の水位が高くなった場合に、雨水を取り込む。施工はシールドと呼ばれる掘削機で掘り進めながら、トンネルを造る工法が採用され、時には昼夜で掘削が進められていた。完成した管は直径2・4mあり、プール14杯分を貯められる。雨水は中央公園のポンプで排水管に戻される。

貯留管は中央公園から厚木消防署、さらに東にに続き、アミューやイオン、2027年に完成する市役所や図書館などの複合施設予定地近くまで延びている。

この2つの貯留施設により、2013年当時と同規模の雨が降った場合でも、浸水の深さをおおむね10cm以内に抑えることを目指す。