優位な客の立場を利用して店員に理不尽な要求や謝罪を強要したり、店内で迷惑行為を行う「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が社会問題になっている。市内小売業大手スーパーアルプスの労働組合では、店舗や店員に対する悪質な行為の防止に理解を求めようと独自にポスターを製作し、5月から各店舗に掲示を始めた。

店員の態度や商品に言いがかりをつけて土下座や過剰な賠償を求めるものから、特定の店員に対する暴言やつきまといなど、カスハラの種類はさまざま。「業務改善につながるクレームと異なり、ハラスメントは業務や店員の心身に支障をきたす行為。企業は防止策を講じて、従業員とお客様の安心を守る責任がある」と同組合の塩澤伸久さんは強調する。レジで店員をどなりつければ店員が萎縮するだけでなく、周囲の客にも不快な思いをさせてしまう。「ごく一部の話ではありますが、こうした行為をなくすことで、店員が笑顔で接客ができて、お客様にも気持ちよく買い物を楽しんでもらいたい」

周知浸透に期待

「お客様は『神様』だけど、『神様』もルール違反はダメ!」――。製作したポスターでは毅然とした表情の塩澤さんがサッカーの審判のようにカードを突き出して、カスハラへの注意を呼びかけている。報道などを通じてカスハラが知られるようになり、国もマニュアルを作成して企業に対策を呼びかける今、塩澤さんは「私たちができる具体的なアクションとして、ポスターを製作した。ここ八王子からこうした動きが広がっていけば」と期待を込める。